太陽が静かに燃え続ける仕組みから、未来のエネルギーを生み出す実験炉まで。核融合と核分裂、似ているようでまったく異なる原子核反応の世界を、全10問のクイズで一気に駆け抜けます。閉じ込め方式の違いや研究施設の名前、発電に期待される利点まで、知っているようで曖昧な知識を一問ずつ確かめながら、エネルギーの最前線に触れてみましょう。
Q1 : 核融合反応によって生命が支えられている理由として、太陽のエネルギーが最終的にどのような形で地球に届くか、正しい説明はどれか。 核融合で生じた中性子が直接地球に届く 核融合で生じたヘリウムガスが地球に到達する 核融合で生じたエネルギーが光(電磁波)として地球に届く 核融合で生じた放射性廃棄物が地球に届く
太陽の中心部で起こる核融合反応によって生じたエネルギーは、太陽内部を長い時間かけて移動し、最終的に可視光線や紫外線、赤外線などの電磁波(光)として宇宙空間に放射される。この光が地球に届くことで、植物の光合成や気候、生態系の維持など、地球上のほぼすべての生命活動を支えるエネルギー源となっている。ヘリウムや中性子自体が地球に飛来するわけではない。
Q2 : 核融合発電が将来のエネルギー源として期待される理由としてよく挙げられる利点はどれか。 二酸化炭素を多量に排出する 燃料のウランが豊富に必要 制御不能な暴走事故が起きやすい 長寿命の高レベル放射性廃棄物が少ない
核融合発電は、燃料として海水から得られる重水素などを利用できるため資源が豊富であることに加え、核分裂のように長期間にわたって管理が必要な高レベル放射性廃棄物を大量に生じにくいとされている。また、反応を継続させるには燃料供給とプラズマ閉じ込め条件の維持が必要なため、核分裂のような連鎖反応の暴走が起きにくい点も将来のエネルギー源として期待される理由の一つである。
Q3 : 核融合反応が起こるために必要な、プラズマの温度・密度・閉じ込め時間に関する条件を示す基準を何と呼ぶか。 ローソン基準 プランク定数 シュレーディンガー方程式 ハイゼンベルクの不確定性原理
ローソン基準は、1955年にイギリスの物理学者ジョン・ローソンが提唱した、核融合反応によって投入エネルギーを上回るエネルギーを得るために必要なプラズマの温度・密度・閉じ込め時間の条件を示す指標である。核融合炉が実用レベルの発電を実現するためには、このローソン基準を満たすプラズマ状態を安定して維持する必要があり、現在も世界各国の実験炉でこの条件の達成が目指されている。
Q4 : 日本国内にある大型のトカマク型核融合実験装置で、茨城県那珂市にあるものはどれか。 LHD(大型ヘリカル装置) JT-60SA KSTAR EAST
JT-60SAは、量子科学技術研究開発機構(QST)が茨城県那珂市で運用している大型のトカマク型核融合実験装置であり、日欧協力のもとで建設された。超伝導コイルを用いて高性能のプラズマを長時間維持する実験を行い、ITERでの核融合反応の実現に向けたプラズマ制御技術の確立を目的としている。なお、LHDは岐阜県土岐市にある核融合科学研究所のヘリカル型装置である。
Q5 : 核融合反応と対になる原子核反応で、ウランなどの重い原子核が分裂してエネルギーを得る反応を何と呼ぶか。 核融合 核分裂 電離 崩壊
核分裂は、ウランやプルトニウムなど質量数の大きい重い原子核が中性子を吸収するなどして二つ以上の軽い原子核に分裂し、その際に莫大なエネルギーを放出する反応である。現在の原子力発電所はこの核分裂反応を利用している。一方、核融合は軽い原子核同士が結合して重い原子核になる反応で、太陽や水素爆弾、将来の核融合発電で利用される仕組みとして区別される。
Q6 : フランスに建設が進められている国際的な実験用核融合炉の名称はどれか。 NIF JT-60SA ITER トカマク4号
ITER(国際熱核融合実験炉)は、日本・EU・米国・ロシア・中国・韓国・インドが協力して南フランスのカダラッシュに建設を進めている大型トカマク型核融合実験炉である。重水素と三重水素を燃料として磁場で高温プラズマを閉じ込め、核融合反応による発電の実現可能性を検証することを目的としている。2020年代から建設・組み立てが進められている国際プロジェクトである。
Q7 : 多くの核融合炉で主な燃料として想定されている、水素の同位体の組み合わせはどれか。 水素と酸素 炭素と水素 ヘリウムと水素 重水素と三重水素
多くの核融合炉設計では、水素の同位体である重水素(ジュウテリウム)と三重水素(トリチウム)を燃料として用いるD-T反応が想定されている。この反応は比較的低い温度条件でも核融合反応が起こりやすく、反応によりヘリウム原子核と高速の中性子、そして大きなエネルギーが放出される。トリチウムは天然にはほとんど存在しないため、リチウムとの反応で炉内生成する方法が研究されている。
Q8 : 核融合反応を利用する装置のうち、ドーナツ状の磁場でプラズマを閉じ込める方式を何と呼ぶか。 トカマク サイクロトロン シンクロトロン リニアック
トカマクは、ドーナツ状(トーラス状)の真空容器内に強力な磁場を発生させ、超高温のプラズマを閉じ込めて核融合反応を起こさせる方式の装置である。ソビエト連邦で考案され、現在最も研究が進んでいる核融合炉の方式として、ITERをはじめ世界各国の実験炉で採用されている。磁場によってプラズマが容器の壁に接触しないよう制御することが技術的な課題となっている。
Q9 : 2022年末、レーザーを使った慣性閉じ込め方式の核融合実験で、投入エネルギーを上回るエネルギーを得る「net energy gain」を世界で初めて達成したと発表した米国の施設はどこか。 ローレンス・バークレー国立研究所 国立点火施設(NIF) フェルミ国立加速器研究所 ブルックヘブン国立研究所
米国カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所の国立点火施設(NIF)は、192本の高出力レーザーを燃料ペレットに照射して核融合反応を起こす慣性閉じ込め方式を採用している。2022年12月、投入したレーザーエネルギーを上回るエネルギーを核融合反応から得る「net energy gain」の達成を発表し、核融合研究における歴史的な成果として世界的に報じられた。
Q10 : 太陽が膨大な光と熱を生み出しているエネルギー源は、主に何という原子核同士の核融合反応か。 水素原子核 炭素原子核 酸素原子核 鉄原子核
太陽の中心部は約1500万度という超高温・超高圧の状態にあり、水素原子核(陽子)同士が核融合反応を起こしてヘリウム原子核に変換されている。この反応は陽子-陽子連鎖反応と呼ばれ、質量の一部がエネルギーに変換される(E=mc²)ことで莫大な光と熱が生まれる。地球上に届く太陽光もこの核融合反応が起源であり、生命活動を支える根源的なエネルギーとなっている。
まとめ
いかがでしたか? 今回はフュージョンクイズをお送りしました。
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