日本の書道文化に欠かせない「墨」。煤と膠から生まれるその奥深い世界には、奈良墨や鈊墨といった伝統産地、油煙墨と松煙墨の違い、文房四宝など、知っているようで知らない知識が詰まっています。あなたはいくつ正解できるでしょうか。全10問のクイズに挑戦してみましょう。
Q1 : 奈良における油煙墨づくりが盛んになったのは、興福寺の子院で製法が確立されたとされる何時代からと言われているでしょう?
奈良墨の起源には諸説あるが、一般に広く紹介されているのは、室町時代に興福寺の子院である二諦坊(にたいぼう)で油煙墨が作られ始めたのが始まりとする説である。寺院で経典の書写などに使う墨を自給する目的で製墨が行われ、それが職人の技として周辺に広がり発展したことで、奈良は日本を代表する墨の産地として定着していったとされている。
Q2 : 松煙墨(しょうえんぼく)は、独特の青みを帯びた黒色が特徴とされています。この松煙墨と対照的に、艶のある黒色を持つとされる墨は次のうちどれでしょう?
松煙墨は松材を不完全燃焼させて採った煤を原料とし、粒子が粗くやや青みがかった落ち着いた黒色に発色するのが特徴とされる。一方、植物油を燃やした煤を原料とする油煙墨は粒子が細かく均一なため、光沢のある艶やかな黒色に発色する。この発色の違いから、松煙墨は水墨画などの表現に、油煙墨は書道の濃く艶やかな線に、それぞれ好んで使い分けられてきた。
Q3 : 三重県鈴鹿市で作られ、経済産業大臣指定の伝統的工芸品にもなっている墨の名称は次のうちどれでしょう?
鈴鹿墨は三重県鈴鹿市で作られる伝統的な固形墨で、奈良墨と並んで経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定されている。鎌倉時代に鈴鹿の地で製墨が始まったと伝えられ、地元で採れる松を用いた松煙墨づくりの技術が長く受け継がれてきた。生産量では奈良墨に及ばないものの、伝統的な製法を守り続ける産地として現在も高く評価されている。
Q4 : 型から抜いた墨玉を乾燥させる伝統的な工程では、まずどのような作業が行われるでしょう?
墨は型から抜いた直後は水分を多く含み、急激に乾燥させるとひび割れてしまう。そのため、まず湿度を調整した木灰の中に埋め、灰を定期的に取り替えながら数週間かけてゆっくりと水分を抜いていく。その後、藁などで縛って風通しの良い部屋に吊るし、さらに数か月から数年かけて自然乾燥させることで、割れにくく発色の良い墨に仕上げていくのが伝統的な製法とされている。
Q5 : 中国で古くから墨の名産地として知られ、『徽墨(きぼく)』の名でも呼ばれる墨を産する地域はどこでしょう?
徽墨は、現在の中国安徽省南部にあたる徽州で作られてきた墨の総称で、唐代から宋代にかけて発展し、古くから最高級の墨として高く評価されてきた。徽州は良質な松や膠の入手に恵まれた土地であったことに加え、腕の良い職人が集まったことで製墨の一大産地となった。日本の墨づくりも中国から伝わった製法を起点としており、徽墨は東アジアの墨文化を語る上で欠かせない存在とされている。
Q6 : 日本国内で作られる書道用固形墨のうち、生産量の9割以上を占めるとされる都道府県はどこでしょう?
奈良県は『奈良墨』の産地として知られ、現在も日本国内で作られる固形墨の大部分、9割以上を占めるとされている。奈良時代からの仏教文化と結びつき、写経や仏具の製作のために寺院周辺で墨づくりが発展した歴史があり、その伝統が今も受け継がれている。経済産業大臣指定の伝統的工芸品にも指定されており、職人による手作りの製法が今なお守られ続けている。
Q7 : 『油煙墨』と呼ばれる墨の原料となる煤(すす)を採るために、古くからよく燃やされてきた植物油はどれでしょう?
油煙墨は、菜種油や胡麻油などの植物油を燃やして得られる煤を主原料とする墨で、なかでも菜種油は古くから代表的な原料として広く使われてきた。油を燃やして立ち上る煙を土器などで受け止めて煤を集め、これを膠で練り固めて墨を作る。油煙墨は粒子が細かく、艶のある黒色に発色するのが特徴で、書画の両方に適した墨として重宝されてきた。
Q8 : 固形の墨を水とともにすり、液体の墨液にするために使う伝統的な道具は次のうちどれでしょう?
硯(すずり)は、固形の墨を水を加えながらすり下ろし、液体の墨液を作るための道具である。表面にはわずかな凹凸を持つ『鋒鋩(ほうぼう)』と呼ばれる細かい突起があり、これが墨の粒子を効率よく削り出す役割を果たす。良質な硯ほど墨の下りが良く、なめらかで発色の良い墨液が得られるとされ、筆・墨・紙とあわせて書道に欠かせない道具のひとつとされている。
Q9 : 書道で古くから重んじられてきた『文房四宝』とは、筆・硯・紙とあと一つの道具を指しますが、次のうち文房四宝に含まれないものはどれでしょう?
『文房四宝』とは、中国から伝わった書斎で使う四つの重要な道具、すなわち筆・墨・硯・紙を指す言葉である。扇子はこの四宝には含まれず、書斎の道具としてではなく涼を取るための日用品として別に扱われる。この四つの道具はそれぞれが独立した工芸品としても発展し、良質なものを揃えることが書を嗜む上での基本とされてきた歴史がある。
Q10 : 日本の書道で使われる固形墨は、煤(すす)と、ある物質を練り合わせて作られます。この『ある物質』とは何でしょう?
墨は煤を膠で練り固めて作られる。膠は動物の皮や骨などに含まれるコラーゲンを煮出して作る天然の接着剤で、細かい煤の粒子を均一につなぎとめて固形化させる働きを持つ。膠の質や配合の違いは墨の伸び具合や香り、磨った際の発色にも大きく影響するため、良質な膠を選び最適な比率で練り上げることは、高級な墨づくりにおいて非常に重要な工程とされている。
まとめ
いかがでしたか? 今回は墨クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は墨クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。