リストの『死の舞踏』の主題に用いられた中世の聖歌は?
リストの『死の舞踏』(1849年作曲)は、ピアノと管弦楽のための変奏曲で、主題にグレゴリオ聖歌の『怒りの日(ディエス・イレ)』が用いられています。『怒りの日』は、死者のためのミサで歌われる鎮魂の聖歌で、最後の審判を題材にした歌詞を持っています。リストはこの旋律を変奏させながら、死の恐怖や人間の運命を劇的に描きました。『アヴェ・マリア』は聖母への祈りの歌、『復活祭の賛歌』は復活祭に歌われる典礼の歌、『神の子羊』は典礼文の一つで、いずれも『死の舞踏』の主題ではありません。宗教的な旋律を、ロマン派らしい幻想と劇性の中で再構成した点が、この作品の特徴です。