歩兵は、古代から現代まで戦場の中心を担い続けてきた兵科です。戦国時代の足軽から、二度の世界大戦を経て発達した戦術、そして装甲車両とともに戦う現代の機械化歩兵まで、その姿は時代とともに大きく変化してきました。装備や戦術、歴史上の出来事に関する知識を、10問のクイズで確認してみましょう。
Q1 : 旧日本陸軍が歩兵の教育訓練や戦闘要領を定めるために制定した公式の教範(マニュアル)を何というか。
「歩兵操典」は旧日本陸軍が歩兵の教育訓練・戦闘の基本要領を定めた公式教範で、明治期に制定されて以降、時代に応じて改訂が重ねられた。軍人勅諭は1882年に明治天皇が軍人の心得を示した勅諭、戦陣訓は1941年に示された戦場での軍人の心得を説く訓令であり、いずれも精神面の規範に重点を置く文書で、歩兵の具体的な戦闘動作を定めた教範ではない。海防論は江戸時代の海防に関する政策論であり軍事教範ではない。
Q2 : 「白兵戦」の意味として、最も正しいものはどれか。
白兵戦とは、銃剣・刀剣・格闘などを用いて敵と直接接触する至近距離で行われる戦闘を指す言葉で、火器による射撃戦とは対比的に使われる。歩兵戦においては弾薬が尽きた場合や陣地に突入した際などに発生しやすく、精神力や訓練度が勝敗を大きく左右するとされる。遠距離の狙撃戦は白兵戦とは対極にある戦闘形態であり、航空機同士の空中戦や艦隊同士の砲撃戦はいずれも歩兵の白兵戦とは全く異なる兵科・戦闘領域を指す言葉である。
Q3 : アメリカ海兵隊(USMC)はどのような性質の部隊か。
アメリカ海兵隊は国防総省海軍省の下に位置づけられる軍種で、艦艇からの上陸作戦(水陸両用作戦)を主任務とする、いわば「海から来る歩兵」の性格を持つ部隊である。独自の航空部隊や兵站部隊も保有し、他国の陸軍歩兵とは異なる独立性の高い統合的な組織運用が特徴である。陸軍の空挺部隊は主に落下傘や輸送機で戦場に投入される歩兵部隊であり海兵隊とは異なる。国境警備を専門とする組織は沿岸警備隊などであり海兵隊の任務ではない。
Q4 : 第一次世界大戦中の1916年に行われ、開戦初日だけでイギリス軍に約6万人という史上最多クラスの死傷者を出した歩兵突撃で知られる戦いはどれか。
ソンムの戦いは1916年にフランス北部で行われた第一次世界大戦最大級の会戦で、開戦初日(7月1日)だけでイギリス軍は約6万人という凄まじい死傷者を出した。機関銃陣地と鉄条網に守られた塹壕へ歩兵が正面突撃を繰り返したことが被害拡大の主因とされ、この戦訓が後の諸兵科連合戦術の発達を促した。ワーテルローの戦いはナポレオン戦争末期の会戦、ミッドウェー海戦は第二次大戦の海戦、関ヶ原の戦いは日本の戦国時代の合戦であり、いずれも該当しない。
Q5 : 日本の戦国時代における歩兵の中心的存在で、農民などから徴集された槍・弓・鉄砲を持つ兵士は何と呼ばれたか。
足軽は戦国時代に登場した歩兵の主力で、槍や弓、後には鉄砲を装備し集団で戦う軽装の兵士を指す。もともとは臨時に徴集された農民兵であったが、戦国後期になると常備の兵として組織化され、槍足軽・弓足軽・鉄砲足軽など役割ごとに部隊編成された。旗本や馬廻は主君を警護する騎馬の武士、忍者は諜報や破壊工作を担う特殊な任務者であり、いずれも歩兵の主力を指す言葉ではない。足軽集団の集団戦術の発達は、日本の戦国合戦の様相を大きく変える要因となった。
Q6 : 第一次世界大戦で、機関銃や塹壕陣地への歩兵の正面突撃が甚大な犠牲を出したことから発達した、砲兵・戦車・歩兵などが協調して戦う戦術を何というか。
第一次世界大戦では機関銃陣地に歩兵が単独で突撃すると甚大な損害を被ったため、砲兵の弾幕射撃や戦車・航空機と歩兵を連携させる諸兵科連合戦術が発達した。これは後の浸透戦術やドイツの電撃戦の基礎ともなった考え方である。電撃戦は第二次世界大戦でドイツが用いた機甲部隊中心の高速侵攻戦術、遊撃戦はゲリラ戦、焦土戦術は撤退時に資源を破壊する戦術であり、いずれも第一次大戦の塹壕戦の教訓から直接生まれた戦術の名称ではない。
Q7 : 現代の歩兵が敵の戦車や装甲車両に対抗するために携行する、肩に担いで発射する対戦車兵器を何というか。
RPG-7に代表される携帯対戦車ロケット(対戦車擲弾発射器)は、歩兵が単独または少人数で携行・運用できる兵器で、装甲車両や陣地への近距離攻撃に用いられる。迫撃砲は曲射で榴弾を発射する火砲だが対戦車専用ではなく、機関砲は主に航空機や車両に搭載される連射砲、魚雷は艦船や潜水艦が使用する水中兵器であり歩兵が携行するものではない。携帯対戦車兵器の発達により、歩兵単独でも戦車に対抗できる能力が飛躍的に向上した。
Q8 : ナポレオン戦争期のヨーロッパで主流だった、歩兵が横一列に並んで一斉射撃を行う戦術・隊形を何というか。
ナポレオン戦争期のヨーロッパ諸国陸軍では、歩兵が数列の横隊(戦列)を組んで前進し、号令に合わせて一斉射撃と装填を繰り返す戦列戦術が主流だった。滑腔式マスケット銃は命中精度が低かったため、密集した隊列による斉射で弾幕を作り火力を集中させる必要があった。散兵戦術は隊列を組まず分散して個別に射撃する戦術、方陣は騎兵突撃に備えて四角形に隊形を組む防御隊形、波状攻撃は複数波に分かれて連続的に突撃する戦術であり、それぞれ戦列戦術とは異なる隊形・戦術概念である。
Q9 : 装甲兵員輸送車(APC)や歩兵戦闘車(IFV)に乗車して機動し、必要に応じて下車して戦闘を行う現代の歩兵を何と呼ぶか。
機械化歩兵は装甲兵員輸送車や歩兵戦闘車といった装軌・装輪車両に乗車して戦場を移動し、目標付近で下車して戦闘を行う現代歩兵の運用形態である。徒歩に比べ機動力と防護力に優れ、戦車部隊と連携して行動することが多い。空挺歩兵は落下傘や輸送機で降下する部隊、山岳歩兵は山岳地帯での戦闘に特化した部隊、軽歩兵は装備を軽量化し徒歩機動を主体とする部隊であり、それぞれ運用形態が異なる。
Q10 : 歩兵とは何かを説明したものとして、最も正しいものはどれか。
歩兵とは徒歩(自分の足)で移動し、小銃や剣などの携行火器・白兵武器を用いて戦う兵科のことを指す。騎兵は馬を用いる兵科、砲兵は大砲を扱う兵科、水兵は艦船で戦う兵科であり、それぞれ移動手段や使用する主要な武器によって区別される。歴史上、歩兵は最も古くから存在する兵科であり、古代から現代に至るまで陸上戦闘の中心的存在として、あらゆる軍隊の基盤を成してきた。機動力では劣るものの、地形を選ばず運用できる柔軟性が大きな強みである。
まとめ
いかがでしたか? 今回は歩兵クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は歩兵クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。