一人芝居という言葉を聞いたことはあっても、その奥深さを本当に知っている人は意外と少ない。たった一人の演者が、声も表情も身体の動きだけで複数の人物を演じ分け、観客の心を掴んでいく。日本の伝統芸能から海外の名作戯曲まで、知られざる魅力と豆知識が詰まった10問のクイズに挑戦し、一人芝居という芸術の奥深さを体感してみよう。
Q1 : 俳優パトリック・スチュワートが一人芝居の形式で全役を演じ分けて上演したことがある、チャールズ・ディケンズの作品はどれか?
俳優パトリック・スチュワートは1990年代以降、ディケンズの「クリスマス・キャロル」を一人芝居として演じる舞台を手がけ、ブロードウェイなどで高く評価された。守銭奴スクルージをはじめ、物語に登場する幽霊や親族など多数の役柄を一人で演じ分ける構成が特徴である。「オリバー・ツイスト」「大いなる遺産」「デイヴィッド・コパフィールド」も同じくディケンズの作品だが、スチュワートが一人芝居として演じたのは「クリスマス・キャロル」である。
Q2 : 女優ジュリー・ハリスが一人芝居「ベル・オブ・アマースト」で演じた、実在のアメリカの詩人は誰か?
「ベル・オブ・アマースト」は劇作家ウィリアム・ルースによる一人芝居で、マサチューセッツ州アマーストに生涯のほとんどを隠棲しながら暮らした実在の詩人エミリー・ディキンソンの人生と作品を描いている。1976年にジュリー・ハリス主演でブロードウェイ初演され、トニー賞主演女優賞を受賞するなど高く評価された。シルヴィア・プラスやエミリー・ブロンテ、ヴァージニア・ウルフも実在の女性作家だが、本作で描かれているのはディキンソンである。
Q3 : 女優ヴァネッサ・レッドグレイヴが一人芝居として舞台化した、作家ジョーン・ディディオンによる回想録を原作とする作品のタイトルはどれか?
「ザ・イヤー・オブ・マジカル・シンキング」は作家ジョーン・ディディオンが、夫の急死と娘の重病が相次いだ年の心情を綴った回想録を自ら戯曲化したもので、2007年にブロードウェイで一人芝居として上演され、ヴァネッサ・レッドグレイヴが一人で全編を演じた。「ロング・グッドバイ」はレイモンド・チャンドラーの小説、「イン・コールド・ブラッド」はトルーマン・カポーティのノンフィクション作品であり、いずれもディディオンの回想録とは異なる。
Q4 : 一人芝居(モノドラマ)において、相手役を置かずに演者が一人で心情や物語を語り続ける演劇的な表現技法を何と呼ぶか?
モノローグ(独白)とは、舞台上で一人の演者が他の登場人物との対話を介さずに、自分の内面の思いや物語の経緯を客席に向かって、あるいは自分自身に向かって語り続ける表現技法のことで、相手役を必要としない一人芝居の多くはこのモノローグを中心に構成されている。アンサンブル演技は複数の演者が一体となって演じる手法、群唱は大勢で声を合わせる手法、黒御簾音楽は歌舞伎における効果音楽であり、いずれも一人芝居の中心的な技法ではない。
Q5 : 一人芝居は英語では「ワンマンショー(one-man show)」や、演劇の専門用語として何と呼ばれることがあるか?
演劇用語において、出演者が一人だけで進行する戯曲や舞台作品は「モノドラマ(monodrama)」と呼ばれ、日本語の「一人芝居」「ひとり芝居」とほぼ同じ意味で使われる専門用語である。メロドラマは感情的な筋立てを強調する通俗劇、パントマイムは台詞を用いず身振りで演じる芸、オペレッタは音楽と台詞を組み合わせた軽喜劇を指す言葉であり、いずれも出演者が一人であることを意味する用語ではない。
Q6 : 落語のように、一人の演者が声や所作だけで複数の登場人物を演じ分けて物語を進める日本の伝統的な話芸は何と呼ばれるか?
落語は、一人の演者(落語家)が高座に座ったまま扇子と手拭いだけを道具として使い、声の調子や表情、仕草を変えることで複数の登場人物を演じ分けながら滑稽噺や人情噺を語り進める伝統芸能である。他の演者を必要とせず一人で物語を成立させる点で、広い意味での一人芝居的な話芸と位置づけられる。能は複数の演者と囃子方が関わる舞台芸術、文楽は人形と語り手・三味線が分業する人形劇、歌舞伎も多数の役者が出演する演劇であり、いずれも一人で演じ分ける形式ではない。
Q7 : イギリスの劇作家ウィリー・ラッセルによる一人芝居「シャーリー・ヴァレンタイン」の主人公はどのような女性として描かれているか?
「シャーリー・ヴァレンタイン」は1986年に発表されたウィリー・ラッセルの一人芝居で、リバプールに暮らす平凡な中年主婦シャーリーが、代わり映えのない日常生活への不満や本当の自分を見つめ直す心情を、観客に語りかけるモノローグ形式で描く作品。舞台ではシャーリー役の女優が終始一人で演じ続け、後にポーリン・コリンズ主演で映画化もされた。宇宙飛行士や実業家、スポーツ選手を主人公とした作品ではない。
Q8 : 井上ひさしが手がけた、化粧前の楽屋で一人の女性劇団員が独白する代表的な一人芝居のタイトルは何か?
「化粧」は劇作家・井上ひさしが1982年に発表した一人芝居で、地方を巡業する旅回り一座の女性座長が、本番前の楽屋で化粧をしながら半生を振り返り独白する構成が特徴。大竹しのぶなど多くの女優によって繰り返し上演され、日本の一人芝居(ひとり芝居)の代表作として知られている。「父と暮せば」や「紙屋町さくらホテル」も井上ひさしの戯曲だが、こちらは複数人の登場人物が出演する作品であり、一人芝居ではない。
Q9 : サミュエル・ベケットの一人芝居「クラップの最後のテープ」で、老いた主人公クラップが舞台上で一人聞き返すものは何か?
「クラップの最後のテープ」はアイルランドの劇作家サミュエル・ベケットによる一幕の一人芝居で、1958年に初演された。老齢の主人公クラップは、誕生日ごとに自分の近況や感想をテープレコーダーに録音する習慣を長年続けており、舞台上では過去に自分が録音した古いテープを聞き返しながら、若い頃との落差や後悔を一人で噛みしめる構成になっている。手紙や日記ではなく、録音テープという装置が物語の核になっている点が特徴的な作品である。
Q10 : ピューリッツァー賞を受賞した一人芝居「アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ」で、俳優ジェファーソン・メイズが一人で演じ分けた実在の人物の立場として正しいのはどれか?
「アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ」は劇作家ダグ・ライトの戯曲で、2004年にピューリッツァー賞(演劇部門)を受賞した一人芝居。東ドイツで実際に生きたトランスジェンダーの骨董品収集家シャルロッテ・フォン・マールスドルフの実話を基にしており、俳優ジェファーソン・メイズがこの主人公を含む30役以上をたった一人で演じ分けたことで高く評価された。アメリカの政治家やフランスの画家を描いた作品ではない。
まとめ
いかがでしたか? 今回は一人芝居クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は一人芝居クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。