除草剤は農業や身近な環境管理に欠かせない存在ですが、その仕組みや使い方について正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。作用機構の違いや法律上のルール、安全な散布方法など、除草剤にまつわる基礎知識を10問のクイズで楽しく確認してみましょう。あなたはいくつ正解できるでしょうか。
Q1 : 除草剤を散布する際、一般的に避けるべきとされているタイミングはどれか。
除草剤を散布した直後に強い雨が降ると、薬剤が雑草の茎や葉に十分付着・吸収される前に雨で洗い流されてしまい、期待していた除草効果が大きく低下してしまうおそれがある。さらに洗い流された薬剤が周辺の水路や河川、水田などに流出することで環境への影響も懸念されるため、多くの除草剤の製品ラベルには降雨が予想される場合の散布を避けるよう注意書きがされている。反対に、晴天で風の弱い日中は薬剤が均一に付着しやすくドリフトのリスクも低いため、散布に適した条件とされている。
Q2 : 同じ作用機構(系統)の除草剤を同じ圃場で長期間繰り返し使用した結果、その除草剤が効きにくくなった雑草が出現する現象を何と呼ぶか。
除草剤抵抗性雑草とは、特定の作用機構を持つ除草剤を同じ圃場で長期間にわたり繰り返し使用し続けた結果、その除草剤が効きにくい性質を持つ個体が生き残って増殖し、集団全体としてその除草剤が効かなくなってしまった雑草のことを指す。世界各地でグリホサート抵抗性やALS阻害剤抵抗性の雑草が報告されており、日本でも水田雑草などで確認例がある。対策としては、作用機構の異なる除草剤をローテーションで使用したり、耕起や手取り除草といった耕種的防除を組み合わせたりすることが推奨されている。
Q3 : 日本で除草剤を含む農薬を製造・輸入・販売するために必要な手続きは何に基づくものか。
日本国内で除草剤を含む農薬を製造・輸入・販売するためには、農薬取締法に基づき国(農林水産省)への登録を受けることが義務付けられている。登録の審査では、対象となる作物や雑草への薬効、周辺の作物や環境への薬害のリスク、人や生態系への安全性などが詳しく確認され、その結果として適用作物・使用時期・使用回数・希釈倍率などの使用基準が定められる。登録された使用方法の範囲を超えて農薬を使用することは法律で禁止されており、ラベルに記載された基準を守った使用が求められる。
Q4 : 除草剤の飛散(ドリフト)などにより、栽培中の作物に薬剤がかかってしまい、生育不良や変形、枯死などの被害が生じることを何と呼ぶか。
薬害とは、農薬の使用が原因となって、本来枯らすつもりのなかった栽培中の作物に生育不良や変色、葉の変形、ひどい場合には枯死などの被害が生じてしまうことを指す用語である。除草剤の場合、散布時の風による飛散(ドリフト)によって隣接する畑の作物にかかってしまったり、前作で使用した除草剤の成分が土壌中に残り、後作の作物の生育に悪影響を及ぼしたりすることが原因となる場合がある。こうした薬害を防ぐためには、風のない日を選んで散布したり、使用基準や輪作の間隔を守ったりすることが重要とされている。
Q5 : 除草剤の剤形の一つである「粒剤」の特徴として正しいものはどれか。
粒剤は、除草剤の有効成分を粘土鉱物などの粒状の担体に染み込ませたり付着させたりして加工した剤形で、液剤や乳剤のように水で希釈する必要がなく、粒のままそのまま散布できるという特徴を持つ。水田のように水を張った状態の圃場でも粒が沈んで拡散し均一に処理しやすく、風による飛散(ドリフト)も比較的少ないという利点がある。一方、液剤や乳剤は規定の倍率に水で希釈してから噴霧器などで散布する必要があり、粒剤とは調製や散布の手間が異なる。
Q6 : スルホニルウレア系などのALS阻害型除草剤は、植物のどのアミノ酸の合成を阻害することで枯死させるか。
ALS(アセト乳酸合成酵素)は、植物が必須アミノ酸であるバリン・ロイシン・イソロイシンといった分岐鎖アミノ酸を合成する際に働く重要な酵素である。スルホニルウレア系やイミダゾリノン系などのALS阻害型除草剤はこの酵素の働きを止めることで、植物がタンパク質を合成するために必要なアミノ酸を作れなくなるようにし、細胞分裂や生育が徐々に停止して数日から数週間かけて植物を枯死させる。作用点である酵素の量が植物体内にごくわずかしかないため、非常に少ない使用量で高い除草効果を発揮できる系統として知られている。
Q7 : 除草剤のうち、雑草か作物かを問わずほぼすべての植物を枯死させてしまうタイプを何と呼ぶか。
非選択性除草剤は、雑草か作物かを問わずほぼすべての植物を枯死させてしまう除草剤で、グリホサートやグルホシネートなどが代表例として挙げられる。栽培中の作物のそばで使うと作物まで枯れてしまうため、畦畔や駐車場、資材置き場、造成地といった植物を栽培していない場所の除草や、播種・定植前に圃場全体の雑草を一掃する目的でよく使われる。これに対し、特定の雑草にだけ強く作用し栽培中の作物にはほとんど影響を与えない除草剤は選択性除草剤と呼ばれ、水稲用・畑作用など作物や雑草の種類ごとに数多くの製品が開発され使い分けられている。
Q8 : 除草剤を散布時期で分類したとき、雑草が発芽する前の土壌に処理し、これから発芽してくる雑草の生育を抑えるタイプを何と呼ぶか。
土壌処理剤は、雑草の種子がまだ発芽していない段階であらかじめ土壌表面に散布しておく除草剤で、土壌中に薬剤の層をつくり、そこを種子や幼芽が通過する際に吸収させることで発芽や初期生育を抑制する。散布後にある程度の期間効果が持続するため、雑草が生えそろう前の畑や花壇、水田の代かき後などに用いられることが多い。これに対し、すでに地上に生えている雑草の茎や葉に直接薬剤をかけて枯らすタイプは茎葉処理剤と呼ばれ、処理するタイミングと対象とする雑草の生育段階が土壌処理剤とは大きく異なる。
Q9 : 散布された除草剤が植物の維管束を通じて根や地下茎にまで運ばれ、地上部だけでなく地下部も枯死させるタイプの除草剤を何と呼ぶか。
移行型(浸透移行性)除草剤は、茎葉や根から吸収された薬剤の成分が植物体内の師管や道管を通じて全身に運ばれ、散布した部分だけでなく根や地下茎まで枯死させることができる除草剤である。そのため、地上部を刈り取っても地下の根や地下茎から再生してくるスギナやセイタカアワダチソウ、ササなどの多年生雑草を根こそぎ防除するのに適している。これに対し、薬剤が付着した部分の組織しか枯らさず、他の部位へはほとんど移動しない除草剤は接触型除草剤と呼ばれ、効果が現れる速さや対象雑草の種類が異なる。
Q10 : 除草剤(ラウンドアップ等)に含まれるグリホサート系除草剤は、植物体内のどの酵素を阻害することで枯死させるか。
グリホサートは、植物や一部の微生物だけが持つシキミ酸経路にあるEPSPS(5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素)という酵素を阻害する除草剤である。この酵素が働かなくなると、フェニルアラニン・チロシン・トリプトファンといった芳香族アミノ酸を植物が合成できなくなり、タンパク質合成が滞って徐々に枯死に至る。動物はシキミ酸経路そのものを持たないため、この作用機構は動物には働きにくく、除草剤の中では比較的毒性が低いとされている。土壌中では微生物により分解されやすく、非選択性かつ移行型の除草剤として世界中で広く利用されている。
まとめ
いかがでしたか? 今回は除草剤クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は除草剤クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。