カポエイラは格闘技・ダンス・音楽が一体となった、ブラジル生まれの奥深い文化。奴隷制の時代を生き抜き、無形文化遺産にも登録されたその歴史や技、楽器にまつわる知識をクイズ形式でチェック。全10問、あなたはどこまで正解できるだろうか。
Q1 : 奴隷制度廃止後の1890年、ブラジルでカポエイラの実践を明確に禁止する根拠となった法典は何か? 民法典 商法典 憲法 刑法典
1890年に制定されたブラジルの刑法典では、カポエイラの実践が浮浪や治安紊乱と結び付けられる形で明確に犯罪行為として規定された。1888年の奴隷制度廃止直後というタイミングであり、解放された黒人たちの文化や集団的な結束を取り締まる意図があったとされる。この禁止は1930年代にメストレ・ビンバらの活動によって流れが変わるまで、長く続くこととなった。
Q2 : カポエイラの技のうち、地面すれすれに足を滑らせて相手の軸足を刈り倒す足払い技は何と呼ばれるか? ハステイラ メイア・ルア アウ エスキヴァ
ハステイラは、低い姿勢から地面すれすれに足を滑らせるように繰り出し、相手の軸足を刈って倒すカポエイラを代表する技の一つである。多くの場合ジンガから低い姿勢に移行する流れの中で仕掛けられ、相手の重心やタイミングを正確に読む高度な技術が求められるため、実戦的な駆け引きが行われるホーダで頻繁に見られる技として知られている。
Q3 : カポエイラのホーダで演奏される楽器編成「バテリア」に、通常は含まれない楽器はどれか? パンデイロ シタール アタバキ アゴゴー
カポエイラの伴奏楽器編成「バテリア」には、中心となるベリンバウのほか、タンバリン状の打楽器パンデイロ、太鼓のアタバキ、ベル状の金属打楽器アゴゴーなどが一般的に用いられる。一方シタールはインド亜大陸の伝統的な弦楽器であり、ブラジルで生まれたカポエイラの音楽文化とは系統も歴史的背景も異なるため、この楽器編成には通常含まれない。
Q4 : カポエイラの実践者たちが円形に並び、中央で二人が技を掛け合う場を何と呼ぶか? ホーダ ドージョウ アリーナ タタミ
「ホーダ」はポルトガル語で「輪」を意味し、参加者が円形に並んで手拍子や合唱、楽器演奏を行いながら、中央で二人が技を掛け合う場を指す。カポエイラの練習や交流はこのホーダを中心に行われるのが基本であり、単なる勝敗を競う対戦ではなく、音楽と歌、身体表現が一体となった総合的な文化的儀式としての性格を強く持つ点が大きな特徴とされている。
Q5 : カポエイラのあらゆる動きの基礎となる、体重を左右の足に交互に移しながらリズミカルに揺れる基本ステップは何と呼ばれるか? アウ ジンガ ヘイズィーラ ネガチーバ
ジンガはカポエイラのあらゆる動きの土台となる基本ステップで、体重を左右の足に交互に移しながらリズミカルに体を揺らす動作である。この揺れによって相手の攻撃をかわしたり、次の技へ滑らかに移行したりすることが可能になり、初心者が最初に習得する最も基本的かつ重要な要素の一つとされ、カポエイラ特有の流れるような動きの原点となっている。
Q6 : カポエイラの輪(ホーダ)は2014年にユネスコからどのような文化的地位として認定されたか? 世界遺産 オリンピック公式種目 人類の無形文化遺産 国際スポーツ憲章
ユネスコは2014年、「カポエイラの輪(roda de capoeira)」を人類の無形文化遺産の代表一覧に登録した。これはカポエイラが単なる格闘技にとどまらず、音楽、歌、ダンス、哲学が融合したブラジルの重要な文化的伝統であることが国際的に公式に認められたことを意味し、その継承と保護の必要性が改めて示される契機となった出来事である。
Q7 : カポエイラの二大流派のうち、低い姿勢や駆け引きを重視し、より伝統的でゆったりとした動きが特徴の流派は何と呼ばれるか? カポエイラ・ヘジオナウ カポエイラ・コンテンポラネア カポエイラ・アンゴラ カポエイラ・ミウダ
カポエイラ・アンゴラは、メストレ・パスチーニャによって体系化が進められた伝統的な流派で、地面に近い低い姿勢や相手との心理的な駆け引きを重視するゆったりとした動きが特徴である。これに対しメストレ・ビンバが創始したカポエイラ・ヘジオナウは、より速く実戦的で競技性の高い流派として知られており、現在もこの二つの流派は互いに異なる哲学や美学を持ちながら並存し、世界中で継承されている。
Q8 : 1932年にブラジル・サルバドールで初の公式カポエイラ道場を開設し、カポエイラ・ヘジオナウを創始した人物は誰か? メストレ・パスチーニャ ジウベルト・ジル ペレ メストレ・ビンバ
メストレ・ビンバ(本名マノエル・ドス・レイス・マシャード)は、それまで違法とされ非公式に伝承されていたカポエイラを、教育カリキュラムとして体系化し、1932年にサルバドールで初の公式カポエイラ道場を開設した。彼が創始したカポエイラ・ヘジオナウはより実戦的で速い動きを特徴とし、この活動はカポエイラが社会的に認知され、後に合法化される大きな転機の一つとなったとされている。
Q9 : カポエイラの発祥国はどこか? ブラジル ポルトガル アンゴラ モザンビーク
カポエイラは16世紀以降、ポルトガル領だったブラジルに連れてこられたアフリカ系奴隷たちの間で生まれたとされる文化で、格闘技とダンス、音楽が融合した独自の体系として発展した。武器の所持を禁じられていた奴隷たちが、監視の目を欺くために格闘の要素を音楽やリズムに隠しながら伝承したことが起源の一説であり、奴隷制度廃止後も含めてブラジル各地で発展を続け、現在も発祥国であるブラジルが世界中の実践者にとって本場として位置づけられている。
Q10 : カポエイラのホーダ(輪)で演奏される楽器の中で、最も中心的な役割を果たす弦楽器は何か? パンデイロ ベリンバウ アタバキ アゴゴー
ベリンバウは、弓状にしなる木の棒に一本の金属弦を張り、瓢箪(ひょうたん)を共鳴胴として用いる打弦楽器で、カポエイラの音楽の中心的存在である。演奏者が奏でるリズムやテンポによってホーダ全体の雰囲気や参加者の動きの速さが左右されるため、単なる伴奏ではなく試合の進行そのものを統率する役割を持つ。音の高さによってグンガ、メジオ、ヴィオラの3種類に分けられ、通常はこの3本編成で演奏される。
Q11 : メイア・ルーア・ジ・コンパッソは主にどの部分で相手を打つ蹴り技か? 膝 かかと すね 頭
メイア・ルーア・ジ・コンパッソは円月蹴り系統の代表技で、体を前傾させながら後ろ足を振り子のように回し、遠心力を最大化してかかとで相手の顔面や側頭部を狙う。上体を地面近くまで下げて片手または両手を支点にし、視線を外さずに回転するのが特徴。かかとが当たる瞬間には体幹が伸びきるため威力が高いが、バランスを崩しやすいため軌跡の角度と踏み替えのリズムが重要で、防御側は頭を外軌道へ逃がしてよける。
Q12 : ブラジル刑法からカポエイラ禁止条項が削除され合法化されたのは何年か? 1890年 1920年 1940年 1964年
1888年に奴隷制が廃止された後もカポエイラは暴徒行為と見なされ、1890年刑法第402条で禁止された。しかし1930年代にメストリ・ビンバが技術を整理し、国家体育として大統領ヴァルガスに披露したことで評価が変わり、1940年ブラジル刑法改正で禁止条項が削除された。これにより公道や学校での練習が可能になり、軍や警察の訓練にも採用されるなど、全国的な普及への道が開かれた。
Q13 : カポエイラのホーダでビリンバウに次いでリズムを支える太鼓はどれか? パンデイロ アゴゴ ビリンバウ アタバキ
アタバキはバントゥー系アフリカ人が伝えた筒形の木胴太鼓で、牛皮を綱締めで張り、膝上に立てて手で叩く。ローダではビリンバウに次ぐリズムの柱として低音を補完し、パンデイロやアゴゴと複層的なポリリズムを作る。カンドンブレなど宗教儀礼でも用いられ、アフロブラジル文化の精神性を象徴する楽器とされる。音量が大きいため屋外ローダで特に効果を発揮し、プレイヤーの動きを鼓舞する。
Q14 : カポエイラで左右に揺れつつ三角形を描いてリズムを刻む基本ステップは何と呼ばれるか? ジンガ ココリーニャ マカコ マルテーロ
ジンガは左右の足を交互に引きながら三角形を描く歩法で、攻撃、回避、リズム感のすべてを養うカポエイラの基礎である。固定した立ち構えを持たないカポエイラにおいて、常に動き続けることで相手に軌道を読ませず、同時に自らの重心を感じ取る訓練にもなる。上半身はリラックスさせビリンバウの拍に合わせるが、目線は相手から外さない。あらゆる蹴りやフローをジンガの流れから自然に連結できる点が重要視される。
Q15 : 歴史的に警察の襲撃を警告するために使われたビリンバウのリズムはどれか? Angola São Bento Grande Iúna Cavalaria
カヴァラリアはポルトガル語で騎兵を意味し、植民地警察が馬でローダを襲撃した時代に見張りがビリンバウで鳴らし緊急退避の合図としたリズムである。通常の曲より鋭い三連符が特徴で、聞いた瞬間にプレイヤーは戦いを止め楽器を隠した。今日では歴史教育のため意図的に演奏されるが、ゲームを中断する習わしが残る。危険を知らせる役目を担ったことでカポエイラコミュニティの結束を強めた象徴的リズムとなっている。
Q16 : カポエイラが発祥したと一般に語られるブラジルの州はどこか? バイーア州 リオデジャネイロ州 サンパウロ州 ペルナンブーコ州
カポエイラの源流は各地の奴隷居住地に存在したが、史料や口承が最も豊富なのはバイーア州の州都サルヴァドールである。黒人奴隷の逃亡や反乱を恐れた植民地当局がしばしば取り締まりを行ったため、踊りや音楽を装いながら戦闘技術を磨いたと言われる。20世紀にメストリ達が他州へ広めるまでは、バイーアこそがカポエイラ文化の核と見なされていた。
Q17 : ビリンバウを叩いて音を出すために使う細い木の棒は何と呼ばれるか? カバッサ バケータ ドブラーン アラーミ
ビリンバウは弓形の木に鋼線を張り、共鳴器のひょうたんで増幅する単弦楽器で、演奏時には三つの補助器具を使う。弦を叩く細い木の棒がバケータで、柔らかいがしなりがあり高い打撃音を生む。奏者は左手で石やコインのドブラーンを弦に当てて音程を変え、カシシというシェーカーでリズムを加える。棒の可動域と角度は音強弱を左右し、ビリンバウの表情を決める重要な要素である。
Q18 : カポエイラ・アンゴラの伝統を再興し「カポエイラの父」とも呼ばれる指導者は誰か? メストリ・ビンバ メストリ・カナジーニャ メストリ・パスチーニャ メストリ・ブルガリ
メストリ・パスチーニャは1889年生まれの伝説的指導者で、当時賭博や暴力と結び付けられていたカポエイラを芸術・哲学として再定義し、アンゴラ流派を体系化した人物である。彼はビリンバウ三本体制や低い姿勢を保つ伝統的なゲームを守り、アフロブラジル文化の価値を強調した。メストリ・ビンバが近代化を進めた一方、パスチーニャは精神性と儀礼を護持し、現在もアンゴラ系団体の指針となっている。
Q19 : 新しい生徒が初めてローダに迎え入れられて帯を授与されるカポエイラの儀式は何と呼ばれるか? ローダ ジョーゴ トロカ・ジ・コルダォン バチザード
バチザードはポルトガル語で洗礼を意味し、新入生が初めてローダで先輩メストリと対戦し帯やニックネームを授かる通過儀礼である。儀式では招待団体や親類も集い、音楽と歌で祝福する。上級者が相手役となり、安全を確保しつつ見せ場を作り出すことで、初心者にカポエイラ共同体への帰属意識を与える。多くの団体ではバチザードは年に一度行われ、同時に昇段式トロカ・ジ・コルダォンも執り行われる。
Q20 : メストリ・ビンバが考案したヘジオナウで最速テンポの代表的リズムはどれか? サォンベントグランジ バンゲーラ イウナ カビーバ
サォンベントグランジはメストリ・ビンバが確立したカポエイラ・ヘジオナウの中で最速かつ攻撃的なリズムで、強烈なキックやアクロバットを誘発する。ビリンバウは高音で短く弦を叩き、パンデイロやアタバキが力強いバックビートを重ねる。プレイヤーはジンガの歩幅を広げ、連続的に攻撃を仕掛けることが多いため、受け流しとタイミングが試される。対照的にバンゲーラは中速、イウナは卒業者向けの示範リズムとして位置付けられている。