薬局やドラッグストアで何気なく手に取る軟膏。けれどもその基剤の正体や、ステロイドのランク分類、漢方由来の伝統薬、抗生物質や抗真菌薬との使い分けなど、知っているようで意外と説明できないことばかりです。今回は身近な軟膏にまつわる豆知識を10問のクイズにまとめました。家庭の常備薬から医療用までざっくりおさらいしながら、薬への理解を深めていきましょう。
Q1 : 抗生物質ゲンタマイシン硫酸塩を含む軟膏が主に効くのはどのような感染症か?
ゲンタマイシン硫酸塩はアミノグリコシド系の抗生物質で、緑膿菌をはじめとするグラム陰性菌や黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌に殺菌的に作用します。とびひ(伝染性膿痂疹)、毛包炎、感染性湿疹など細菌性皮膚感染症に用いられます。ウイルスや真菌、寄生虫には効果がないため、ヘルペスや水虫、疥癬などには使えません。漫然と長期使用すると耐性菌が出やすいため、症状改善後は速やかに中止することが推奨され、腎機能障害や聴覚毒性の副作用にも注意が必要です。
Q2 : 水虫(白癬)の治療に使う外用抗真菌薬として、適切でないものはどれか?
水虫は白癬菌というカビ(真菌)が原因の感染症であるため、治療には抗真菌薬を用います。ラミシール(テルビナフィン)、ルリコン(ルリコナゾール)、ボレー(ブテナフィン)はいずれも代表的な外用抗真菌薬で、白癬菌に対し有効です。一方アクロマイシンはテトラサイクリン系の抗生物質で、細菌感染症に使われる薬であり、真菌である白癬菌には効きません。市販薬を選ぶ際は有効成分が抗真菌薬かどうかを確認することが大切で、誤って抗菌薬を使うと悪化させる場合もあります。
Q3 : 医薬品の「軟膏」と「クリーム」の違いとして正しいものは?
軟膏剤はワセリンなどの油性基剤を中心とした製剤で、ベタつきはあるものの刺激が少なく、ジュクジュクした患部にも乾燥した患部にも使える汎用性が魅力です。一方クリームは水と油を乳化剤で混ぜた乳剤性基剤で、伸びがよくサラッとした使用感ですが、滲出液が多い患部や粘膜、傷口には不向きとされます。同じ有効成分でも基剤が違うと適応や使用感が変わるため、医師・薬剤師の指示通りに使い分けることが大切です。塗布部位や季節で選択することもあります。
Q4 : ヘパリン類似物質を含む外用薬の主な作用として正しいものは?
ヘパリン類似物質はヘパリンに類似した構造を持つムコ多糖類で、保湿作用・血行促進作用・抗炎症作用の三つの作用を併せ持ちます。商品名ヒルドイドなどが有名で、皮脂欠乏症(乾燥肌)、ケロイド・肥厚性瘢痕、打撲やねんざ後の腫れ・血腫などに広く使われます。角質層の水分保持力を高めることからアトピー性皮膚炎の保湿ケアにも処方されます。ただし出血性血液疾患の患者や僅少でも出血している部位には使用できないなど、抗凝固に関連する注意点があります。
Q5 : 江戸時代の名医・華岡青洲が考案した代表的な漢方軟膏「紫雲膏(しうんこう)」の主成分(生薬)は?
紫雲膏は江戸時代の外科医・華岡青洲が、中国の「潤肌膏」を改良して創った外用漢方薬で、当帰(トウキ)と紫根(シコン)を主成分とし、ゴマ油・ミツロウ・豚脂を基剤としています。紫根に由来する鮮やかな紫色が特徴で、やけど、ひび、あかぎれ、痔、湿疹、しもやけなどに用いられます。紫根には抗炎症・抗菌作用、当帰には血行促進・組織修復作用があるとされ、現代でも医療用医薬品・一般用医薬品として処方・販売されている歴史ある軟膏です。
Q6 : ステロイド外用薬の中で最強ランク「ストロンゲスト」に分類される代表的な成分は?
最強(ストロンゲスト)ランクに分類される代表的な成分はクロベタゾールプロピオン酸エステル(商品名デルモベートなど)とジフロラゾン酢酸エステルです。非常に強い抗炎症作用を持ち、重度の乾癬や頑固なアトピー性皮膚炎、円形脱毛症などに使われます。一方ヒドロコルチゾン酢酸エステルはウィーク、プレドニゾロンはミディアム、デキサメタゾンは製剤によりミディアム〜ストロングに分類されます。強力な分、長期使用による皮膚萎縮や毛細血管拡張などの副作用に注意が必要です。
Q7 : オロナインH軟膏の主成分である殺菌消毒成分は次のうちどれか?
オロナインH軟膏の主成分はクロルヘキシジングルコン酸塩液で、グラム陽性菌・陰性菌に対し幅広い殺菌作用を持ちます。1953年に大塚製薬から発売され、にきび、軽いやけど、ひび、あかぎれ、しもやけ、すり傷などに使われる家庭の常備薬として広く親しまれています。「オロナイン」の名はギリシャ語の「全て」を意味する語に由来するといわれます。ただし、深い切り傷、化膿した傷、湿疹、水虫、ひどい火傷などには適さないため、用途を確認して使うことが大切です。
Q8 : 日本でのステロイド外用薬の強さは何段階に分類されているか?
日本のステロイド外用薬は作用の強さによって5段階に分類されています。最も強い順に「ストロンゲスト(最強)」「ベリーストロング(非常に強い)」「ストロング(強い)」「ミディアム(中程度)」「ウィーク(弱い)」となります。皮膚の状態や部位、年齢に応じて適切なランクを選ぶことが重要で、顔や陰部などの皮膚が薄い部分には弱いランク、頑固な湿疹には強いランクを使い分けます。海外では7段階で分類されることもあり、製剤や規格によってランクが異なります。
Q9 : 白色ワセリンの主原料は次のうちどれか?
ワセリンは石油(原油)を精製してつくられる炭化水素の混合物です。1859年にアメリカの化学者ロバート・チェスブローが原油採掘現場のロウ状物質に着目し、精製して開発したと伝えられています。皮膚表面に塗ると水分蒸発を防ぐ閉塞性のバリアとなり、保湿剤や軟膏の基剤として広く使われます。とくに白色ワセリンは精製度が高く不純物が少ないため刺激が穏やかで、新生児から高齢者まで幅広く使用できる安全性の高い基剤として親しまれています。
Q10 : おむつかぶれや湿疹に古くから使われる「亜鉛華軟膏」の主成分は?
亜鉛華軟膏の主成分は酸化亜鉛(ZnO)で、白色の粉末を単軟膏に練り込んで作られます。酸化亜鉛は皮膚に対して穏やかな収れん作用、消炎作用、保護作用を持ち、滲出液を吸収して皮膚を覆い保護することからジュクジュクした患部に向いています。おむつかぶれ、湿疹、軽いやけど、皮膚潰瘍などに古くから使われており、刺激が少なく赤ちゃんにも使用できる安全性から、長年家庭薬や医療用として親しまれてきました。リント布に伸ばした亜鉛華単軟膏もあります。
まとめ
いかがでしたか? 今回は軟膏クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は軟膏クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。