生漆に小麦粉を混ぜて作る接着剤で、簡易的な割れ接着に用いられるものは何か?
麦漆は、生漆と小麦粉(または米粉)を練り合わせた糊状の接着剤で、割れた陶片同士を貼り合わせる一次接着や、小さな欠けを埋める下地として用いられる。小麦粉のデンプンが粘着性と充填性を与えるため、乾燥後も適度な弾性があり衝撃に強いという特徴を持つ。刻苧ほどの強度はないが、配合が簡単で硬化も比較的早いので、簡易金継ぎワークショップでも多用される。硬化後は表面を研いで錆漆を施し、上塗りと金粉を重ねることで最終的に粉の下に隠れて見えなくなるが、内部でしっかりと補強材として働き続ける。