J.D.サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』で、主人公ホールデン・コールフィールドが妹フィービーに語った“西部で自分が就くつもりだ”という仕事は?
ホールデンは鬱屈した都市生活から逃げ“西部”へ行き、耳が聴こえないふりをしてガソリンスタンドで働きたいとフィービーに告げる。そこでは誰とも深く関わらず、必要最低限の筆談だけで暮らすという極端な孤立願望が語られる。この妄想は、人間関係への不信と純粋な子供を守りたいという彼の矛盾した欲求の表れであり、“ライ麦畑の捕手”というメタファーとも響き合う。職業を問うことで、終盤の逃避計画と成長の契機をより具体的に捉える読解が促される。