蒔絵において模様を描いた後、器全体を漆で覆い隠し、硬化後に研磨して模様を再び浮かび上がらせる技法は何と呼ばれるか?
研出蒔絵は、平蒔絵と似た手順で模様を施したのち、透明または色漆で全面を被膜し、固まった後に砥石粉などで平滑に研ぎ出して意匠を現す高度な方法である。研ぎ出される模様は器表面と完全に同一面になるため、触れても段差を感じず、金銀粉の輝きが漆膜を透過して柔らかく光を放つ。研ぎの加減が難しく、削り過ぎれば模様が失われ、足りなければ曇りが残るため、職人の熟練度が品質を大きく左右する。平蒔絵を基礎としつつ独自の深みと古雅さを備えた技法として、室町以降の名品に多く用いられている。