高蒔絵で模様に厚みを持たせるため、漆に混ぜる粉体として最も一般的に用いられる砥石由来の微粉末はどれか?
高蒔絵は、モチーフを立体的に盛り上げるため漆に粉体を加えた“盛り漆”を塗り重ねる技法である。その粉体として広く使われるのが砥石を挽いた微粒子「砥粉」で、漆との相性が良く速やかに硬化し、研ぎにも耐える強固な層を形成する。真珠粉や鉛白は着色や強度の問題で主剤には向かず、魚骨粉は接着助剤としては用いられても高蒔絵の厚盛り材には採用されない。砥粉漆で築いた土手を磨くことで金粉を載せても崩れない鋭いエッジが得られる点が、高蒔絵の美観を支えている。