能『船弁慶』の後シテとして出現し、壇ノ浦に沈んだ怨霊として義経一行を襲う武将は誰でしょうか。
『船弁慶』後場では、静御前と別れ西国へ逃れる義経を襲う怨霊として平知盛(たいらのとももり)が現れます。知盛は壇ノ浦の戦で入水し、屍を海に沈めた悲劇の平家武将で、能では甲冑姿の亡霊として船上に立ち現れ、義経に復讐しようとします。前場のシテは静御前であり、同一演目でシテが役替わりする趣向が大きな見どころです。平重盛は平家嫡男で生前没し、源義経・頼朝は源氏側であり後シテにはなりません。怨霊の凄惨さと法華経による成仏の対照がドラマを生みます。