京都・西院春日神社に残る国指定重要文化財の石造狛犬は、日本に現存する最古級の石造例として知られます。この狛犬が制作されたと考えられている時代はどれ?
西院春日神社(京都市右京区)の石造狛犬は十三世紀前半、鎌倉時代前期の作とされる。木造が主流だった時代に耐候性を求め石材へ移行し始めた過渡期の遺構で、石に刻まれた渦巻き文様や力強い体躯は当時の仏師快慶系の彫法に通じる。最古級の石造例として屋外に狛犬を置く慣習が広がる契機となり、以後全国で石造狛犬が普及した。制作年代の確定には社伝や作風の比較研究が用いられ、日本の石造彫刻史を語る上で欠かせない資料となっている。