『借』は人偏と『昔』から成り、他人から物をかりる意味を表す。六書では何文字か。
『借』は左側の亻(人偏)が『人間の行為』を示す意符、右側の『昔』が『しゃく』という音を示す音符として機能し、両者が結合して『かりる』という動作を表す形声文字である。古代の形声文字は『意符+音符』の配置が一定せず、金文では右が音符、左が意符という例が多い。借では『昔』自体に『かりる』の意味はなく、専ら発音を提供している点が会意文字との違い。音符の語頭子音が似通う字を組み合わせることで、新たな概念でも発音を類推できるようにした古人の工夫がうかがえる。