既存の同音字を借りて全く別の意味を表す造字原理を何というか。
仮借(かしゃ)とは、当時まだ文字が無かった語を表記するために、発音が似た既存の漢字を『借りて』用いる方法で、六書の一つ。例えば『来』は本来『麦が実る』意味の象形文字だったが、後に『くる』の読みを表すために流用され、元の意味は『麦』の新字『麦』に譲った。同様に『我』『以』『南』なども仮借の例である。仮借は音を優先し意味を後付けする点で形声と混同されやすいが、仮借では字形の中に意味を示す意符が存在しない。古代中国語表記の柔軟さと、多義的な字が生まれる仕組みを理解するうえで重要な概念である。