広沢虎造が得意とし、清水次郎長の子分・森の石松の活躍を描く代表的な演目はどれか?
二代目広沢虎造は昭和初期の放送ブームで一世を風靡した浪曲師で、特に『石松三十石船道中』を中心とする清水次郎長ものの連続口演が人気を博した。石松が大坂・八軒家から三十石船に乗り込み豪快な啖呵を切る場面は、虎造の歯切れのよい江戸弁とケレン味のある節回しで聴衆を熱狂させ、レコードやラジオでも高い売上と聴取率を記録した。赤穂義士伝や天保水滸伝、国定忠治も浪曲の定番演目だが、虎造の代名詞となったのは次郎長シリーズであり、とりわけ『石松三十石船道中』である。