秋田県の西馬音内盆踊りで、踊り手が顔を隠すために用いる伝統的な覆いの名称は?
西馬音内盆踊りは秋田県羽後町で300年以上続くとされ、編笠姿の男踊りと彦三頭巾(ひこさずきん)をかぶった女踊りが幽玄な情景を生み出す。彦三頭巾は江戸末期の豪商・彦三郎が寄進したと伝えられる絹布でつくられ、こめかみから頬にかけてゆるく垂らし、目元だけがわずかに覗く。顔を隠すことで踊り手の年齢・身分を問わず盆の精霊に扮するという宗教的意味合いが強く、観光客にはミステリアスな魅力として映る。踊り子は藍染の絞りや久留米絣など古裂で仕立てた衣装を纏い、三味線と胡弓の哀調に合わせて足を小刻みに運ぶ。角巻は冬季の防寒用、スゲ笠は農作業用の笠、面は能楽などで使用されるが、西馬音内の女性踊りを象徴するのは「彦三頭巾」である。