富山県五箇山の民謡踊り「こきりこ節」でリズムを刻む伝統的打楽器『ささら』は、56枚前後の薄い板を何で連結したもの?
『ささら』は大小の板を束ねて振る独特の鳴り物で、五箇山こきりこ節では「御神楽(みかぐら)」の流れを汲む神事芸能として用いられる。薄板はヒノキやサクラなどの硬木を用い、耐久性と柔軟性を両立させるために革ひもでしっかり連結されている。演奏者は両手で端を握り、うちわをあおぐように開閉して「シャラシャラ」という澄んだ音を響かせる。革ひもは湿気にも強く、手汗で滑りにくいため野外神事に適していたと考えられる。麻縄や絹糸では繰り返しの振動で切れやすく、鉄鎖では重量が増して軽快な演奏が難しい。こきりこ歌詞に登場する「ササラ」は村の豊穣と安全を願う奉納舞の象徴であり、革ひもで束ねた板の音色が稲穂の揺れや山風を想起させると伝えられる。