高知県の『よさこい鳴子踊り』で、踊り手が手に持つ小道具『鳴子』はもともと何のために使われていた農具?
鳴子は竹や檜の板に舌板を取り付け、振るとカラカラと音が鳴る素朴な道具で、もともとは稲作の田んぼでスズメやカラスを追い払う鳥除けとして使用されていた。高知の「よさこい節」をもとに1954年に生まれた『よさこい鳴子踊り』では、この農具をカラフルに塗装し、リズムを刻む打楽器として転用した。踊り手は右手と左手で異なるタイミングで鳴子を打ち鳴らし、ステップや隊形変化にアクセントを与える。農村の生活道具を舞台芸能へ昇華した例として文化的価値が高く、現代のYOSAKOI祭りでも必携アイテムとされる。落花生の脱穀は千葉の農具「タコ」など別物、綿打ちは木槌、草刈りは鎌で行うため、鳴子の本来用途とは異なる。