江戸時代から続く京都の夏祭りで、山鉾の曳き手や見物客が自作や奉納された扇子を手に涼を取る光景が定番となっているものはどれでしょう。
祇園祭は八坂神社の祭礼として平安時代に起源を持ち、特に7月17日の山鉾巡行では豪華な懸装品とともに扇子が欠かせない季節の小道具となる。京友禅や金箔押しを施した奉納扇子が山鉾から授与されることも多く、観客はそれを仰ぎながら巡行を見守る。扇面には祭礼にちなんだ草花や家紋が描かれ、絵付け技術の粋が凝縮される。ねぶた祭や神田祭でも扇子は使われるが京都ほど意匠文化が発達していない。雪まつりは冬季で用途が異なる。