扇子絵付けの仕上げで行う「シワ伸ばし」と呼ばれる工程は、どのような工具を用いて裏から軽く叩き、塗装による紙の縮みを平滑にする作業でしょうか。
打ち刷毛は短く硬めに揃えた豚毛などを束ねた刷毛で、紙の裏面を均一に叩くことで繊維をほぐし、絵具乾燥時に生じた微細な収縮シワを取る道具である。熱を使わないため顔料や金箔を傷めず、骨組にも余分な負荷を与えない。叩くリズムと力加減で紙がほどよく広がり、最終的に扇を開閉した際の波打ちを防止できる。焼きごてやアイロンは熱で絵具を変質させる恐れがあり、毛筆の軸は面が狭く効率が悪い。