二天一流を熊本藩に伝え、『独行道』最古写本を残した宮本武蔵の高弟は誰か?
寺尾孫之允は宮本武蔵晩年の直弟子で、細川家に仕える熊本藩士であった。武蔵の逝去直前に『兵法五輪書』とともに託された『独行道』を写し取り、これが現存最古の写本として国文学的にも価値が高い。孫之允は武蔵から二刀一流の免許を授かり、後に二天一流と改称して藩校時習館で教授した。藩士の試合記録には太刀と小太刀を同時に操る形が記され、西南戦争時にまで稽古が継続された。武蔵研究や近世兵学史を考察する上で、寺尾本系譜の文献は一次資料として極めて重宝される。