こけしの目や口など細線を描く際に主に使われる筆で、狸毛やイタチ毛を細くまとめた書画用のものを何というか?
面相筆は日本画の微細な顔料線描に使われる筆で、毛先が極めて鋭く弾力があり、こけしの目・眉・髪線など一発勝負の細線を滑らかに引くのに適している。刷毛は広い面を塗る道具で細部は引きづらく、スプレーガンやエアブラシは霧状塗装で線が滲むため伝統的工程には用いない。面相筆を使う際は木地を軽く湿らせて毛先が滑りやすくし、筆圧を変えて表情の強弱を付けるなど高い技術が求められる。人の息づかいが伝わる表情はこけしの価値を左右するため、この道具選びは極めて重要である。古作では墨汁と紅花顔料を面相筆で併用し、経年で墨が沈んで柔らかい雰囲気になるのも魅力とされる。