パステルは顔料を練り固めただけのシンプルな画材ながら、ルネサンス期に起源を持ち、18世紀の宮廷肖像画から19世紀の印象派、さらには象徴主義まで、時代を超えて多くの画家に愛されてきました。技法や歴史、画材としての性質など、パステル画にまつわる知識を問う10問のクイズに挑戦してみましょう。
Q1 : 象徴主義の画家として知られ、初期は黒一色の版画・素描を制作していたが、後年は色彩豊かなパステル画・油彩に転じ、幻想的な花や夢のような世界を描いたフランスの画家は誰か。
オディロン・ルドンは、初期には木炭やリトグラフを用いた黒一色の幻想的な作品群「ノワール」で知られていたが、50歳前後を境に色彩を積極的に用いるようになり、パステルや油彩で花瓶に生けられた花や神話的な主題を描くようになった。パステル特有の柔らかく発光するような色彩は、彼が追求した夢幻的で象徴的な世界観の表現に適した技法として選ばれたと考えられている。晩年の花の連作は特に高い人気を誇り、多くの美術館に収蔵されている。
Q2 : パステルという画材がヨーロッパで広く用いられるようになった歴史について、正しい記述はどれか。
パステルの起源は15世紀から16世紀のルネサンス期にさかのぼるとされ、当初は素描に彩色を加える技法として用いられ始めた。その後18世紀のフランスでは、ロザルバ・カリエラらの活躍によって宮廷を中心にパステルによる肖像画が大流行し、独立した絵画技法として確立されていった。19世紀にはドガをはじめとする画家たちがさらに表現の幅を広げ、現在まで続く重要な絵画技法の一つとして世界中の画家に親しまれ続けている。
Q3 : パステルを乾燥した状態のまま定着させ、粉落ちや擦れによる劣化を防ぐために画面に吹き付ける薬剤を何というか。
パステルは顔料が紙の上に粉状に付着しているだけの状態であるため、そのままでは擦れて剥落しやすいという弱点を持つ。この劣化を防ぐために画面へスプレー状に吹き付けて定着させる薬剤がフィキサチーフ(定着液)である。ただし吹き付けると色の鮮やかさやパステル特有の粉っぽい質感がやや損なわれることもあるため、画家によっては仕上げに使わずガラス付きの額装で保護する方法を選ぶ場合もある。作品を保存・展示する際には湿度や振動にも注意が必要とされている。
Q4 : パステルは配合される展色剤の量などによって複数の種類に分けられるが、一般的な分類の組み合わせとして正しいものはどれか。
パステルは硬さや成分の違いにより、主にハードパステル、ソフトパステル、オイルパステルの3種類に分類されるのが一般的である。ハードパステルは展色剤の割合が多く線描や細部の描写に向き、ソフトパステルは顔料の割合が多く粉状になりやすいため広い面のぼかし表現に適している。オイルパステルはオイルを展色剤に用いており、粉が出にくく発色が濃厚で、クレヨンに近い描き心地であることが特徴である。実際の制作では複数の種類を組み合わせて使うことも多い。
Q5 : パステル画で、色と色の境目を指や擦筆(さっぴつ)を使って擦り、なめらかなグラデーションを作る技法を一般に何と呼ぶか。
パステル画では、紙の上に乗せた顔料の粉を指や布、擦筆などで擦り伸ばして色をなじませる技法が広く用いられており、これを一般にブレンディング(ぼかし)と呼ぶ。この技法を使うことで、輪郭をはっきり描く線的な表現だけでなく、光や陰影の柔らかな変化を面として表現することができる。乾いた粉状の顔料を直接指で扱うパステルならではの表現方法であり、油絵具や水彩とはひと味違う独特の質感を生み出す。色を重ねながら擦り込むことで深みのある発色を得ることもできる。
Q6 : パステル画に用いる紙として最も適しているとされるのは、次のうちどのような特徴を持つ紙か。
パステルは絵の具のように紙に染み込むのではなく、粉状の顔料を紙の表面の凹凸に絡めて定着させる画材である。そのため、パステル専用紙や台紙のように表面にある程度の目(凹凸)を持つ紙が好まれ、粉が引っかかりやすく発色も安定しやすい。逆に表面がなめらかでツルツルした紙やコーティングされた紙では顔料が定着しにくく、擦れて落ちやすいため、パステル画にはあまり向かないとされている。サンドペーパーに似た質感の専用紙も広く販売されている。
Q7 : 19世紀後半から20世紀初頭に活動したアメリカ出身の印象派の女性画家で、母と子を主題にした作品を多く手がけ、パステルによる作品も多く残したのは誰か。
メアリー・カサットはアメリカ出身で、フランスに渡って印象派のグループに参加した数少ない女性画家の一人である。母親と子どもの親密な情景を主題にした作品で広く知られており、油彩だけでなくパステルや版画でも数多くの作品を残した。柔らかな色彩表現が可能なパステルは、彼女が描く家庭的で親密な雰囲気の作品と相性がよく、代表作の多くにこの技法が用いられている。日本の浮世絵からも影響を受けた構図の作品を手がけたことでも知られる。
Q8 : パステル画に使われる「パステル」という画材の主成分として正しいものはどれか。
パステルは、顔料の粉末にアラビアゴムなどの少量の展色剤(バインダー)を加えて棒状に練り固め、乾燥させて作られる画材である。油を使わないため乾燥後も発色が鮮やかで、紙の上に直接擦りつけるようにして描画できる。含まれる展色剤の量によってハード・ソフト・オイルパステルなどに分類され、ソフトパステルは粉が落ちやすく、指や擦筆でぼかして混色する技法に向いている。乾いた顔料をそのまま画面に定着させるため、混色しても色が濁りにくいことも大きな魅力とされている。
Q9 : 18世紀のヴェネツィアで活躍し、パステルを用いた肖像画をヨーロッパ各国の宮廷で大流行させた女性画家は誰か。
ロザルバ・カリエラは18世紀ヴェネツィア出身の女性画家で、繊細な色彩表現が可能なパステルを用いた肖像画によって高い評価を受けた。彼女がパリを訪れた際に制作した作品は宮廷で絶賛され、パステル画を正式な肖像画技法として定着させる大きなきっかけとなった。この流行を受けて、モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥールなどフランスの画家たちもパステルによる肖像画を数多く手がけるようになり、18世紀ヨーロッパの宮廷文化においてパステル画は重要な地位を占める技法となった。
Q10 : 19世紀フランスの画家で、バレエの踊り子や舞台裏の情景を描いた作品にパステルを好んで用いたことで知られるのは誰か。
エドガー・ドガは印象派のグループに参加した画家として知られるが、後年は特にパステルを愛用し、バレエの踊り子や浴女などを主題にした作品を数多く残したことで有名である。パステルは油絵具に比べて速乾性があり、線描と色彩表現を同時に素早く行いやすいため、動きのある人物の一瞬の姿を捉えようとするドガの制作スタイルに適していたとされる。彼はパステルを何層にも重ねる独自の技法も編み出し、彼のパステル作品は現在も世界各地の美術館で高く評価されている。
まとめ
いかがでしたか? 今回はパステル画クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はパステル画クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。