様々な果物のジュースの特性や製造方法について、10問のクイズを通して深く掘り下げていきます。濃縮還元ジュースの製造工程、無加熱処理の高圧技術、リンゴジュースの糖度、果汁の褐変に関与する酵素、ペクチンの働き、ストレートジュースの特徴、ビタミンCの含有、超高温殺菌と無菌充填、100%果汁表示の意味、ブドウの糖度の高さ等、ジュースの様々な側面を学んでいただけます。果汁の特性や加工技術について、クイズを通じて興味深く理解を深めていただければと思います。
Q1 : 一般的に果汁の糖度(°Brix)が最も高くなりやすい果物は次のうちどれか。 オレンジ(みかん) ブドウ(濃縮しない果汁でも高糖度) リンゴ トマト
果汁や果実の糖度は種類や品種によって差がありますが、ぶどうは果糖やグルコースが豊富で、濃縮していない状態でも比較的高い可溶性固形分(15°Brix前後〜品種によってはさらに高い)を示すことが多いです。オレンジやリンゴは10~12°Brix程度が一般的、トマトはさらに低く野菜寄りの糖度となるため、果汁の糖度が高い代表としてはぶどうが挙げられます。
Q2 : ペクチンを多く含み、ゲル化(ゼリー化)特性が強い果物の組み合わせはどれか。 リンゴと柑橘類(みかん類) メロンとスイカ イチゴとブルーベリー バナナとマンゴー
ペクチンは果物に含まれる水溶性の多糖類で、特にリンゴや柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツなど)の果皮や果肉に多く含まれます。ジャムやゼリーを作る際にペクチンが多い素材はゲル化しやすく、ペクチン含有量の低い果実(メロンやスイカ、バナナ等)は単独では固まりにくいため、リンゴや柑橘から得たペクチンや市販のペクチン剤を併用することが一般的です。
Q3 : 「ストレート(not from concentrate)」表示のジュースについて正しい説明はどれか。 濃縮して輸送し、飲む直前に水で戻したものを指す 搾汁後に濃縮工程を行わず、果汁をそのまま充填していることを意味する 必ず加熱処理を行っていない生搾り無殺菌の製品である 果汁に糖類を追加して味付けした飲料を指す
ストレート(not from concentrate)表示は、搾汁後に一旦濃縮して還元する工程を経ていない、文字通り原液のままの果汁を示す表現です。製造上は加熱(殺菌)処理や冷却など保存のための工程を経ることがありますが、それでも濃縮・還元は行われていない点が特徴です。必ず無加熱という意味ではなく、加熱殺菌を行うことも一般的です。
Q4 : オレンジジュースに特に多く含まれ、栄養面で知られるビタミンはどれか。 ビタミンA(レチノール) ビタミンD ビタミンC(アスコルビン酸) ビタミンB12(コバラミン)
オレンジや柑橘類の果汁はビタミンC(アスコルビン酸)を多く含むことで知られています。ビタミンCは水溶性ビタミンで抗酸化作用やコラーゲン合成に関与し、熱や酸化により壊れやすいため加工や保存条件に注意が必要です。ビタミンAやB12は果汁には一般に多く含まれず、ビタミンDは果物由来ではほとんど期待できません。
Q5 : 長期常温保存で開封前に保存できる市販ジュースによく用いられる処理と包装の組み合わせはどれか。 コールドプレス+瓶詰め常温保存 凍結保存+ガラス瓶 発酵処理+缶詰 超高温短時間殺菌(UHT)+無菌充填(アセプティックパッケージ)
常温で長期保存可能な果汁飲料は、超高温短時間殺菌(UHT)により微生物を急速に殺菌した後、無菌状態で容器に充填するアセプティック充填方式がよく使われます。これにより栄養や風味を極端に損なわずに常温保存が可能になります。コールドプレスは風味保持に優れる一方で加熱殺菌を避けるため冷蔵やHPPが必要であり、凍結や発酵は保存法としては用途が異なります。
Q6 : 日本語表記で「100%果汁」と表示されているジュースについて正しい説明はどれか。 果実そのものを丸ごとすり潰したものを指す 果汁に添加糖が含まれていても全体の割合が100%なら問題ない 使用されている果汁が外部で濃縮・還元されたかどうかにかかわらず、果汁成分が100%で添加糖がないことを示すことが一般的である 100%果汁は必ず無添加で加熱処理もしていないことを意味する
一般に「100%果汁」とは、製品中の成分が果汁で占められており、添加糖などの非果汁成分を加えていないことを意味します。濃縮還元(from concentrate)かストレート(not from concentrate)かは表示で別に示されるため、100%果汁でも濃縮還元品である場合があります。また、100%だからといって必ず無加熱・無殺菌を意味するわけではなく、保存性を高めるための加熱処理が行われることもあります。
Q7 : 濃縮還元(from concentrate)ジュースの製造過程として正しいものはどれか。 果汁の水分を濃縮し、輸送後に水で戻して製品にする 果実を圧搾して搾り汁をそのまま瓶詰めする 果汁をアルコール発酵させてから加熱処理する 果汁に濃縮果糖を加えて糖度を上げる
濃縮還元ジュースは、搾汁後に真空下などで加熱を抑えつつ水分を蒸発させて濃縮(濃縮果汁)し、輸送や保管の効率を高めた上で、最終製品化の際に規定の比率で水を加えて“還元”して製品とする方式です。濃縮により体積と重量が減り輸送コストが下がる一方、香気成分は一部失われるため香料を戻したりブレンドで調整したりします。発酵や糖の添加は濃縮還元の定義ではありません。
Q8 : コールドプレスの生搾りジュースで、加熱を使わずに微生物を減少させるために近年よく使われる技術はどれか。 パスツール殺菌(高温短時間) 高圧処理(HPP: High Pressure Processing) 放射線照射 糖度を上げて保存性を確保する
冷間圧搾(コールドプレス)ジュースは加熱処理を避けたい商品カテゴリで、熱による風味変化を抑えるために高圧処理(HPP)が広く使われています。HPPは数百メガパスカル(概ね400〜600MPa)程度の均一な高圧をかけることで微生物や一部酵素の活性を低下させ、温度上昇を抑えながら安全性を高めます。高温処理と比べ風味や栄養素の保持に優れますが、設備コストが高い点があります。
Q9 : 一般的なリンゴジュースの可溶性固形分(°Brix:糖度に近い指標)の典型的な値はどれか。 約2〜4°Brix程度 約7〜8°Brix程度 約10〜12°Brix程度 約20〜25°Brix程度
市販の果汁ジュースの糖度は果実種類や濃縮の有無で変わりますが、リンゴジュースは一般的に可溶性固形分でおおむね10〜12°Brix前後になることが多いです。生食用のリンゴは品種差で糖度が変わりますが、ジュースにすると果糖・ショ糖・葡萄糖などが溶け込みこの程度の値になります。2〜4°Brixは野菜ジュースや薄めた飲料、20°以上は濃縮や一部のぶどう果汁など高糖度のものに近い数値です。
Q10 : ジュースの褐変(茶色化)を主に引き起こす酵素はどれか。 カタラーゼ(Catalase) ペクチナーゼ(Pectinase) インベルターゼ(Invertase) ポリフェノールオキシダーゼ(PPO/チロシナーゼ)
果実や野菜を搾ったときに表面や切断面が空気に触れて起こる褐変は、主にポリフェノールオキシダーゼ(PPO、一般にチロシナーゼとも呼ばれる)が関与します。PPOはフェノール類を酸化してキノン類を生成し、それがさらに重合して褐色色素を作ります。加熱処理やpH調整、還元剤の添加で活性を抑えたり、窒素充填で酸素を排除したりして褐変を抑制します。他の酵素はそれぞれ別の働きを持ちます。
まとめ
いかがでしたか? 今回はジュースクイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はジュースクイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。