ヒトデは棘皮動物門(Echinodermata)に属する海産無脊椎動物です。五放射相称の体形と水管系を特徴とし、ナマコやウニ、ウミユリなどと近縁です。ヒトデの生態や形態には多様性があり、興味深い特徴がたくさん知られています。本記事では、ヒトデの分類や解剖、生活史などについて10問のクイズを通して解説していきます。ヒトデの魅力的な世界をお楽しみください。
Q1 : ヒトデの“母孔(madreporite)”は通常どの面に開いているか?
母孔(madreporite)は水管系と外界を連絡する篩板状の孔で、多くのヒトデでは背面(aboral surface)に位置しています。母孔から石管が続き、石管は水管系の水圧調整やろ過に関わります。母孔は外界の海水を取り入れる入口として機能し、管足の操作や呼吸に必要な水圧を供給する重要な構造です。位置は種によって若干の差異があるものの、背面側にあるのが一般的です。
Q2 : ヒトデの神経系はどのような構造をしているか?
ヒトデの神経系は中枢的な脳を持つわけではなく、口の周囲にある神経輪(nerve ring)が中心となり、そこから各腕方向へ放射状に伸びる放射神経が分布する構造をしています。この配置により腕ごとの感覚・運動制御が可能で、光を感知する眼点や化学感覚を備える部位と連携します。単純な反射から複雑な行動まで対応しますが、脊椎動物のような脳や脊髄は持ちません。
Q3 : ヒトデの体内にある骨片(内骨格)は主に何から構成されているか?
ヒトデの内骨格を構成する小さな骨片(ossicles、骨片板)は主に炭酸カルシウム(CaCO3)でできています。これらの骨片は真皮中に散在し、形や配列が種によって異なることで外形や硬さに影響します。炭酸カルシウムからなることで骨片は堅さを与えつつ、タンパク質を含む結合組織で連結され、柔軟性と保護を両立しています。ケイ酸や硫酸カルシウムを主要成分とするわけではありません。}
Q4 : ヒトデの再生能力について正しいのはどれか?
ヒトデは強い再生能力を持ち、腕を失っても数週間から数年をかけて再生します。重要なのは中心盤(中心部、中央の体盤)がどれだけ残っているかで、中心盤の一部が残っていれば、そこから腕が再生されるだけでなく、種によっては腕の一部から中心盤が再生して完全な個体へ回復することもあります。ただし、腕だけが完全に孤立していて中心盤が欠けている場合、単独で完全な個体に再生する能力は種や条件によって異なります。
Q5 : ヒトデの口は体のどの面に位置しているか?
ヒトデの口は通常、体の腹面(腹側、oral surface)に位置しており、食物の取り込みや消化の開始がこの面で行われます。口からは食道や胃へとつながり、多くの種では胃を反転させて外部で消化することが可能です。背面(背側、aboral surface)には母孔(海口)や表皮、真皮骨片が見られるなど、機能的に区別されています。腕の先端には感覚器や単純な眼点が存在することがありますが、口は中央の腹面側にあります。
Q6 : ヒトデの発生で見られる遊泳性幼生の名称はどれか?
ヒトデの典型的な生活史では、受精卵から発生した幼生はまずビピナリア(bipinnaria)と呼ばれる遊泳性の幼生期を経ます。ビピナリアは帯状の繊毛帯を持ち、浮遊しながら摂食と成長を行い、その後一部の種ではブラキオラリア(brachiolaria)などの段階を経て底生性に移行し、変態して成体の放射相称形態になります。プルテウスはウニやクモヒトデに見られる形態で、トロコフォアは他の無脊椎動物で見られる一般的な幼生形態ですが、ヒトデ特有の遊泳幼生はビピナリアです。
Q7 : ヒトデの体表にある、小さな顎のような器官で寄生者や付着物を取り除く役割を持つものは何と呼ばれるか?
小顎器(ペディセルラリア、pedicellariae)は、ヒトデやウニなど一部の棘皮動物の表面に見られる小さな把握器官で、鉗子のような形をしており、付着藻類や小さな寄生生物、破片などを取り除く機能を持ちます。種類によっては外敵に対する防御や獲物の把持にも関わり、表面の清掃と防御に寄与しています。すべてのヒトデが目立つ小顎器を持つわけではありませんが、持つ種では重要な生体防御機構です。
Q8 : ヒトデは動物分類上どのグループに属するか?
ヒトデは棘皮動物門(Echinodermata)に属する海産無脊椎動物です。棘皮動物は放射相称(多くは五放射相称)を示し、石灰質の骨片(ossicle)からなる内骨格を持ち、水管系と呼ばれる特有の体液循環器官を備えます。ヒトデはこの門の星形の形態を代表するグループで、ナマコやウニ、ウミユリなどと近縁です。軟体動物や節足動物、脊索動物とは系統的に異なり、例えば脊索動物は脊索や脊椎を持つ点で明確に区別されます。分類学的にはクラスはAsteroidea(ヒトデ綱)に位置づけられます。
Q9 : ヒトデが運動や吸着に用いる水管系の突起は何と呼ばれるか?
ヒトデの水管系に由来し、吸盤状の端をもつ多数の突起は「管足(tube feet、管足)」と呼ばれます。管足は水管系の水圧を利用して伸縮し、海底面の把持、移動、獲物の捕捉、呼吸補助に使われます。例えば二枚貝を捕食する際には管足で殻を引き離す力をかけ、その後胃を外に出して消化を行うなど、多機能です。触手や鰭、鰓とは構造・起源が異なり、管足は棘皮動物特有の器官です。
Q10 : ヒトデが二枚貝を摂食する際に行う特徴的な行動はどれか?
多くのヒトデ類は二枚貝を捕食する際、殻を無理に砕くのではなく、管足で殻をわずかに開かせた後、胃の一部(外胃)を体外に反転させて被食者の殻の中に挿入し、消化酵素を分泌して外部で消化した後に吸収します。この外部消化は、貝類の殻を無理に壊す必要がなく効率的で、ヒトデの代表的な摂食戦略です。すべての種が行うわけではありませんが、広く観察される行動です。
まとめ
いかがでしたか? 今回はヒトデクイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はヒトデクイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。