カエルを身近に感じることのできる10問のクイズをお楽しみください。飼育に必要な知識が盛り込まれた本クイズを通して、カエルの魅力や特徴を学んでいただければと思います。日頃接する機会の少ないカエルについて、飼育環境や生態の基礎から専門的な情報まで幅広く理解を深めていただきます。カエルの生態や飼育に興味を持っていただければ幸いです。
Q1 : カエルの繁殖について正しいのはどれか?
カエルの繁殖様式は非常に多様で、一般的な両生類と異なる繁殖戦略を持つ種も多く存在します。多くの種は水中に卵を産みオタマジャクシが発生しますが、ヤドクガエル類のように陸上で卵を産み親がオタマジャクシを運ぶ種や、陸上で直接幼生を孵化させる種などもあります。飼育下での繁殖は種ごとに温度・湿度・日照・水質・季節変化を適切に模倣する必要があり、一律の環境では成功しません。種ごとの生態を理解して環境調整することが重要です。
Q2 : ペットとして飼育されるカエルに対するUVB(紫外線B波)照射について正しい記述はどれか?
UVBは全ての種に必須というわけではありませんが、日中に活動する種や屋外由来の種では低〜中程度のUVB照射が皮膚でのビタミンD3合成を助け、カルシウム代謝を安定させるのに役立つ場合があります。夜行性種や洞窟性の種はUVB依存度が低いことが多く、必要性は種類で異なります。照射はメーカー推奨の距離と時間を守り、UVBが弱い場合は餌の強化(カルシウム/ビタミンD3添加)で補うなど種ごとの管理が大切です。
Q3 : カルシウム欠乏による代謝性骨疾患(MBD)予防のために飼育下で最も推奨される給餌法はどれか?
幼体や成体を問わず飼育下のカエルでは自然界の摂取だけではカルシウムやビタミンD3が不足しやすく、菌や寄生虫リスクのある生餌をそのまま与えるのは危険です。一般的に安全かつ効果的な方法は、給餌する昆虫(コオロギ・デュビア等)に適切な割合でカルシウム粉をまぶすダスティングで、頻度は種や年齢により異なります。ビタミンD3入りの補助粉を週に1回程度併用する場合もありますが、過剰投与を避けるため用量を守ることが重要です。誤って骨や錠剤を直接与えるのは危険で消化不良を招くことがあります。
Q4 : 完全水棲のアフリカツメガエルなどを飼育する場合、水換えの一般的な目安として適切なのはどれか?
完全水棲種では水質管理が健康維持に直結します。週に25〜50%程度の部分換水を行い、フィルターで生物ろ過を維持することが推奨されます。全換水は水質の急激な変化を招きストレスとなるため避けるべきで、定期的な部分換水でアンモニア・亜硝酸・硝酸塩の蓄積を防ぎます。換水の際は水温やpHを合わせ、塩素除去処理(カルキ抜き)を行うこと、底砂の掃除や残餌除去も併せて行うことが重要です。
Q5 : 成人の樹上性カエル(例:シュレーゲルアオガエル類など)の給餌頻度として適切なのはどれか?
多くの成体樹上性カエルは過剰給餌で肥満や消化不良を起こしやすいため、週に2〜3回の適量給餌が一般的です。幼体や成長期の個体は頻度を増やす(ほぼ毎日)必要がありますが、成体は体格や活動量に合わせて調節します。与える餌(コオロギ、ワーム等)は個体の頭幅に合わせたサイズにし、昆虫はGut‑load(栄養補給)してから与え、カルシウム粉やビタミン粉でのダスティングも行い栄養バランスを保ちます。
Q6 : 飼育中のカエルの扱いについて正しいものはどれか?
多くのカエルはストレスに弱く、過度な取り扱いは健康障害や拒食の原因になります。またカエルの皮膚は保護粘液や微細な構造を持ち、人の皮脂や洗剤の残留が有害となるため、直接触る場合は必ず素手を水で濡らしてから行うか、使い捨ての手袋や容器で移すのが安全です。石鹸やアルコールの残留があると皮膚障害を引き起こすので、触る前後の手洗いは石鹸をよく落として行い、扱いは最小限にします。
Q7 : テラリウム内の過度な蒸れやカビを防ぎ、呼吸器疾患や皮膚病を防ぐために重要な環境管理はどれか?
高湿度は多くの樹上性・陸棲カエルに必要ですが、密閉による換気不足は空気の停滞やカビ・細菌の繁殖を招き、呼吸器疾患や皮膚感染症の原因になります。適切な対処としてはメッシュトップや前面の通気口で空気の流れを確保しつつ、湿った隠れ家や部分的な湿度差を作ることです。自動換気やファンを使う場合は直接風が当たらない工夫をし、湿度計と温度計で環境を常時監視することが重要です。
Q8 : カエルが脱皮する際に飼い主が行うべき対応として適切なのはどれか?
カエルの脱皮は自然な生理現象であり、通常は自分で食べたり剥がしたりして完了します。飼い主は湿度を保ち、暗く静かな隠れ家を用意しておくことでスムーズに脱皮が行えるよう支援します。無理に皮を剥がすと皮膚を傷つけたり感染を招くことがあるため避けます。皮が足や指に絡まって取れない場合は、温めた水でやさしくふやかしてから慎重に処置するか、獣医に相談してください。
Q9 : 陸棲や樹上性のカエルを飼育する際、保湿性が高くかつ腐敗しにくい一般的な床材として最も適しているのはどれ?
ココピートは保水性が高く通気性もあり、湿度を一定に保ちつつ適度な柔らかさを提供するため陸棲・樹上性カエルの床材として広く使われます。細粒の砂は排泄物の処理や消化管閉塞のリスクがあり、松やヒノキのチップは防腐成分が皮膚や呼吸器に刺激を与えることがあるため避けるべきです。新聞紙は経済的だが保湿性や微生物バランスが劣るため、隠れ家や湿度維持のためにココピートと組み合わせることが多いです。床材は定期的に交換・部分的な掃除を行い、カビやダニの発生を防ぐ管理が必要です。
Q10 : 多くの熱帯性樹上性カエル(例:ツリーフロッグ類)を飼育する際、推奨される湿度の目安はどれが最も適切か?
熱帯樹上性カエルは皮膚呼吸や水分補給に依存するため一般に高めの湿度を好みます。60〜80%程度の湿度を維持することで脱水や皮膚の乾燥を防ぎ、脱皮不良のリスクも減らせます。ただし一律ではなく種差があり、昼夜で湿度を変化させる、湿度のグラデーションを作る、適切な換気で過度の結露やカビ発生を抑えることが重要です。湿度管理には信頼できる湿度計と定期的なミスト(霧吹き)や自動加湿装置の併用が推奨されます。