明治後期から大正期にかけ「浪花節の神様」と呼ばれ、浪曲の大衆的人気を決定づけた名人は誰か?
桃中軒雲右衛門は明治30年代にレコードと巡業を通じて全国的な爆発的ブームを起こし、観客から「浪花節の神様」と称された。張りのある高音と劇的な節回しは従来の語り物の枠を超え、庶民にカタルシスを与えたと評される。雲右衛門の成功によって浪曲は庶民の娯楽として定着し、スター制度や興行システムの確立にも大きく寄与した。浪花亭駒吉は幕末義士伝で知られるが規模は雲右衛門に及ばず、港家小ゆきは女性浪曲師、広沢虎造は後年の名人で清水次郎長もののヒットで知られるが「神様」とは呼ばれなかった。