江戸後期以来、胴の花模様や髪飾りの赤色に用いられた天然顔料として最も一般的なものはどれか?
山形県最上地域などで産出した紅花は染色用の高価な顔料として広く流通し、こけし職人も少量を練って赤絵具として使った。紅花の色素はサフラワーレッドで透明感のある黄味がかった赤が特徴。木地に滲み込みやすく、経年でやや褪色するが柔らかい風合いが残るため古作の鑑賞ポイントともなる。弁柄は鉄錆系で色調が暗く、辰砂は鉱物顔料で高価すぎ、合成アクリルは戦後に普及したため伝統的とは言えない。現在でも伝統工人は紅花顔料を自製する場合があり、その際はアルカリ抽出と酸性沈殿を繰り返して濃度を調整する。