紫根染めに用いられるムラサキ科植物 Lithospermum erythrorhizon の根は、日本で一般に何と呼ばれてきた?
ムラサキ(紫草)の根にはシコニン類が豊富に含まれ、乾燥品は日本で紫根と呼ばれる。奈良・平安期には高貴な位階を象徴する紫衣の染料として重宝され、延喜式など古文書にも記載がある。抽出にはアルコールや油が必要で、アルミ媒染で赤紫、鉄媒染で濃紫と幅広い表情を示す。退色しやすいがその希少性と鮮やかさから門外不出の技法とされた。阿仙薬はアカシア属樹皮、竜胆はリンドウ科の根、黄耆はマメ科の根でいずれも紫染めには使われない。