透明度を高める最終研磨で用いられ、白い粉末を水で溶いてバフに塗布することから『白粉』とも呼ばれる現代江戸切子の研磨材は?
最終仕上げの艶出しに使われるのが酸化セリウム(CeO₂)。粒径が0.3〜1ミクロンと極めて細かく、ガラス表面をわずかに化学的に溶解しながら機械的にも磨くため、微細な傷や曇りを消し透明感が格段に向上する。少量の水で練った懸濁液をフェルトバフに含ませ、温度管理をしつつ数分磨くと、カット面はまるで鏡のような光沢を帯びる。無鉛クリスタルなど化学組成を問わず効果が高く、職人の熟練度で艶の持続性までも左右される重要工程である。