ボート競技の奥深さをお楽しみいただけるよう、オリンピック種目や伝統大会、競技用具などローイングに関する基礎知識をまとめた「ローイングクイズ」を10問ご用意しました。スイープ種目のクルー構成、オールの進化、レース距離の変遷など、見逃しがちなデータやエピソードを中心に、ボート競技の歴史や特徴を楽しみながら確認できる内容となっています。ボート競技への理解を深めるきっかけになれば幸いです。
Q1 : ローイングストロークで、ブレードが水面を離れて前に戻るフェーズを何と呼ぶか?
リカバリーは水中フェーズであるドライブが終わり、オールを水面から抜いて次のキャッチ位置へ戻る間の動作を指す。艇は慣性で滑るだけなので、リカバリーが乱れると速度低下やバランス崩壊を招く。脚を伸ばした状態から滑らかにスライドを前進させ、上体と腕を秩序立って畳むことで、水抵抗と空気抵抗を最小化し、クルー全体のリズムを維持することが勝敗を左右する重要要素となる。
Q2 : 軽量級男子ダブルスカルがオリンピックで初めて実施された大会はどれか?
軽量級種目は体格差を抑えて競技人口を拡大する目的で導入され、1996年アトランタ大会から正式採用となった。男子軽量級ダブルスカルでは1人あたり72.5kg以下、クルー平均70kg以下という制限が設けられる。重量級とは異なり高回転のストロークレートでスピードを維持する戦術が特徴で、以降の大会でも各国が激しいメダル争いを繰り広げている。
Q3 : 艇の側面から外側へ張り出し、オールロックを支える金属製のアーム状部品を一般に何というか?
リガーはアウトリガーとも呼ばれ、艇体に接続された金属アームの先端にオールロックを固定する構造である。漕ぎ手の力を効率よく推進力へ変換するため高い剛性が求められ、材質はスチールからアルミ、近年ではカーボンへと進化した。リギング作業ではリガーの高さ、スパン、ピッチ角を調整し、クルーの体格や戦術に合わせて最適化することでレースパフォーマンスが大きく向上する。
Q4 : 国際レースでスタート時に艇尾を固定し、合図とともに水中へ沈んでボートを解放する装置を何と呼ぶか?
スタートブーツはスタートポントゥーンとも呼ばれ、艇尾を固定する樹脂製の靴型ホルダーが油圧で上下する。全艇を一直線に並べ、風や流れで位置がずれるのを防ぐことで、公平かつ正確な同時スタートを実現する。スターターの信号が入ると即座に水中へ沈下し艇を解放するため、選手は安心して最大出力のキャッチに集中できる。電子計時やフライング検知とも連動し近代レースに不可欠な設備となっている。
Q5 : オリンピック競技として採用されているボート種目のうち、舵手がいないスイープ種目で乗員が4人の艇を何と呼ぶか?
舵手なしフォアは、英語でCoxless Fourと呼ばれ、スイープ種目の中で4人がそれぞれ1本ずつオールを持って漕ぐ艇種である。舵手が乗らないため、方向はストロークやバウの漕手が微妙にオールを調整して保つ。オリンピックや世界選手権でも正式種目となっており、舵手付きフォアと区別される。艇長は約13.4mで、重量は最低50kg前後と規定されている。
Q6 : ローイング競技で使用されるオールのブレード形状で、現在国際大会の主流となっている先端が曲がったタイプは何と呼ばれるか?
ハチェットブレードは1990年代に登場した幅広で片側が斜めにカットされた形状のオールブレードで、従来の細長いスプーンブレードより水をとらえる面積が大きい。これにより同じストロークレートでより高い推進力が得られるため、世界大会ではほぼすべてのクルーが採用している。角度がついているため空気抵抗を減らす効果もある。
Q7 : 国際ボート連盟が定める2000mの標準レース距離が初めてオリンピックで採用された大会はどれか?
1912年のストックホルム大会から、男子のボート競技は一律2000mで行うというFISAの方針が採用された。それ以前は会場ごとに距離が異なり、1900年パリでは1750m、1904年セントルイスでは約3218mなどばらつきがあった。標準化により記録の比較が容易になり、戦術も距離を前提に確立されたという歴史的転換点である。
Q8 : 漕手が1人で2本のオールを操作する漕法を一般に何と呼ぶか?
スカルは一人の漕手が左右に1本ずつ、合計2本のオールを扱う漕法で、英語ではScullingと表記される。対して1本だけを持つのがスイープである。スカル艇では左右の力が艇の中心で釣り合うためバランスを取りやすく、舵手なしでも直進しやすいという特徴がある。ダブルスカルやクォドルプルなど複数人のスカル種目もオリンピック種目として実施されている。
Q9 : 艇の進路を管理し、クルーへ指示を与える役割を持つ乗員を何と呼ぶか?
コックスは艇の後端または前端に座り、舵索やフットステアリングで進路を調整するとともに、ストロークレートの指示、他艇との位置情報、レース戦術などを声でクルーへ伝える司令塔である。体重が軽いほど優位だが、多くの大会で最少体重が設定され、それを下回る場合はバラストを搭載する。安全確認や審判との無線交信も担う重要なポジションだ。
Q10 : 1899年創設で日本最古の大学対校ローイングレースとして知られ、現在は荒川戸田コースで開催される大会はどれか?
早慶レガッタは早稲田大学と慶應義塾大学が対抗する伝統行事で、1899年の隅田川での初戦以来100年以上続く。現在は荒川戸田コースで約3,750mの距離で行われる。エイトがメインレースで、学生のみならずOBや応援団も加わる大規模イベントとなり、日本ボート界の発展に大きく寄与してきた歴史的大会である。
まとめ
いかがでしたか? 今回はローイングクイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はローイングクイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。