数学の基礎概念を問うクイズに挑戦しましょう。命題論理、集合論、数学的推論など、さまざまな数学の論理的側面を扱う10問のクイズを用意しました。真理値表の使い分けや、ド・モルガンの法則、二項係数の性質など、数学の基本を確認できる内容です。数学に強くなりたい方や、論理的思考力を鍛えたい方は、ぜひこのクイズに取り組んでみてください。数学の基礎を楽しく学べる良い機会になるはずです。
Q1 : 騎士は常に真実を述べ,嘘つきは常に偽を述べる島で,二人の住人 A と B に出会った。A は「少なくとも一人は嘘つきだ」と発言した。このとき A,B の正体の組み合わせとして矛盾のないものはどれか。
『少なくとも一人は嘘つきだ』という文を命題として解析する。もしAが騎士で真実を述べているなら文は真になり,少なくとも1人の嘘つきがいることが要請される。このときA自身は真実を述べているため嘘つきではなく,残るBが嘘つきで条件を満たす。逆にAが嘘つきなら述べた命題は偽となるが,命題が偽であることは『誰も嘘つきがいない』を意味するので矛盾が生じる。従って唯一矛盾のない構成はAが騎士,Bが嘘つきであり,選択肢1が正しい。
Q2 : 命題 (p∧(p→q))→q の論理的性質として正しいものはどれか。
命題 (p ∧ (p→q)) → q は論理的に常に真になるモーダス・ポネンスの包摂形である。まずp→q は ¬p∨q と同値なので前件全体は p ∧ (¬p∨q) となる。分配法則で整理すると(p∧¬p)∨(p∧q)となり,p∧¬p は常に偽なので結局 p∧q と同値になる。よって元の式は (p∧q)→q となり,これは真であるpとqの両方が前件に入っているため必ず真になる恒真命題である。他の選択肢は矛盾や充足可能だが恒真でない形を示しているに過ぎない。
Q3 : 次の推論形式のうち命題論理で妥当なものはどれか。
論理学の推論規則には妥当な形式と誤謬的な形式がある。肯定前件(Modus Ponens)は p→q と p を前提に q を結論するもので,全ての真理値割り当てで前提が真なら結論も必ず真になり妥当である。一方,肯定後件 p→q と q から p を導く形や,否定前件 p→q と ¬p から ¬q を導く形はいずれも反例が存在し,妥当ではない。選択肢4のような単なる論理和からの結論も同様に不正である。したがって提示された選択肢のうち推論規則として正しく使用できるのは選択肢3のみである。
Q4 : 写像 f:A→B が f(x)=f(y) ならば x=y を満たすとき,f はどのような性質を持つと言うか。
写像 f:A→B が単射であることは『異なる元が同じ像に写らない』すなわち f(x)=f(y) ならば x=y が成り立つことで定義される。単射であるかどうかは値の取り方だけに依存し,全射や全単射かどうかとは独立に判定できる。定数関数は複数の元が同じ像を持つため単射ではないし,全射であるだけでは異なる元が同じ像に写る可能性を排除できない。従ってこの性質を表す名称は選択肢4の単射である。
Q5 : 二項係数の恒等式により Σ_{k=0}^{n} C(n,k)=1024 となる最小の自然数 n はどれか。
二項係数和の恒等式 ∑_{k=0}^{n} C(n,k) = 2^n はパスカルの三角形や二項定理から導かれ,n 個の要素集合の部分集合数に対応する。与えられた値1024は2のべき乗であり,指数を取れば 2^10 = 1024 である。したがって和が1024になる最小の自然数nは10となる。他の選択肢である8なら256,9なら512,12なら4096となり条件を満たさない。よって選択肢1が正しい。
Q6 : 任意の集合 A,B,C について恒等的に成り立つ分配法則はどれか。
集合論の分配法則は論理演算の分配と同型で,交わりが和に分配する形 A∩(B∪C)= (A∩B)∪(A∩C) が常に成立する。この等式はVenn図で円を描けば三つの重なり部分が一致することから視覚的にも確認できる。また要素xについての包含で示すと,xが左辺に属するならx∈A かつ(x∈B または x∈C) が成り立ち,それはちょうど右辺のいずれかの条件を満たすことと同値である。他の選択肢は交差と和の位置が誤っており,一般には成立しない。
Q7 : 命題 p,q に対して ¬(p∧q) と論理的に同値な式はどれか。
ド・モルガンの法則により,否定が分配されるときは結合を反転させる.命題pとqの論理積p∧qを否定すると,それはpが偽であるかqが偽であるかの少なくとも一方が成り立つ状況と等価になる.真理値表を4通り書いても,¬(p∧q)と¬p∨¬qの列は完全に一致し,同じ行が全て同じ真偽になる.一方,¬p∧¬qは両方が偽の場合だけ真なので強すぎ,条件文p→qなどは全く別の意味を持つ.したがって正しい等価変形は選択肢1のみとなる。
Q8 : 式 ∀x (P(x)→Q(x)) の否定として論理的に正しいものはどれか。
命題∀x(P(x)→Q(x)) の否定は,形式的に¬∀x を∃x¬ に置き換え,さらに条件文の否定を分解して得られる.まず¬∀x φ は ∃x¬φ と等価であり,次に¬(P→Q) は P∧¬Q と同値になる.これらを組み合わせると ¬∀x(P→Q) は ∃x(P∧¬Q) となる.従って少なくとも1つの対象で前件が真かつ後件が偽となる例があるという形になる.他の選択肢は量化子や否定の位置が誤っているか未整理のままなので正しくない。
Q9 : 次のうち恒真命題となる式はどれか。
論理式が恒真かどうかは真理値表を用いて判断できる.(p∨¬p)は常に真,(q∨¬q)も常に真であるため,それらの論理積である選択肢3は4行すべてで真になり恒真命題となる.選択肢1はpとqの真偽が一致する場合だけ真であり,恒真ではない.選択肢2はpとqが異なると偽になる行が存在する.選択肢4はpと¬pの論理積なので常に偽となり矛盾命題となる.以上により恒真なのは3だけである。
Q10 : 任意の集合 A,B について (A∩B)^c と等しい式はどれか。
集合論においてド・モルガンの法則は論理演算子と同じ形で成り立つ.共通部分の補集合 (A∩B)^c は それぞれの補集合の和集合 A^c ∪ B^c と一致する.ベン図で考えれば,AとBの両方に属する領域を除いた領域は,Aに属さない部分とBに属さない部分の全体になることがわかる.他の選択肢1や2は補集合が一部しか取られておらず,不足分が生じるため等式が成り立たない.したがって正しい変形は選択肢4である。
まとめ
いかがでしたか? 今回は数学論理クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は数学論理クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。