著作権と著作人格権の違いを深く理解するための10問のクイズを用意しました。著作権法は複製や公衆送信などの経済的利用を規定する財産権であり、一方の著作人格権は作品と著作者の精神的結合を保護する人格的権利です。両者の性質や権利の内容、存続期間、譲渡の可否など、重要な相違点を確認できるよう設問を設けています。著作権と著作人格権の基本的な違いを確実に理解するためのクイズとなっております。
Q1 : 著作権を出版社に譲渡した後でも、著作者が作品への氏名表示や改変の可否を主張できるのはなぜか。
著作人格権は一身専属権であり、譲渡されたり会社に帰属したりすることはない(同法59条)。そのため著作権が完全に移転した後でも、著作者は氏名表示権(19条)や同一性保持権(20条)などを根拠に、無断でペンネームを削除されたり本文を改変されたりすることを拒むことができる。出版社など権利取得者は経済的利用が可能でも、人格的利益を侵害しないよう配慮する義務が残り続ける。
Q2 : 著作者が契約書で『著作人格権を行使しない』と約束した場合の法的効果として正しいものはどれか。
著作人格権は譲渡できないが、行使しない旨の契約は許されると解されている。しかしこれは権利放棄ではなく行使の自制にすぎず、著作者が名誉毀損など重大な人格侵害を受ける場合には、合意にかかわらず行使が認められる余地がある。したがって行使しない合意は一定の効力を持つものの、権利そのものが失われるわけではないため、法的には限定的な拘束力しか持たない点が特徴である。
Q3 : 文化庁に置かれた登録制度が対抗要件や推定効を持つなど、権利処分の円滑化を目的として用意されているのはどの権利か。
著作権は無方式主義で登録不要で発生するが、譲渡や信託の第三者対抗要件を確保したり、著作物の創作日や第一発行日を公示したりするために文化庁の登録制度が設けられている。一方、著作人格権に関しては権利譲渡の概念がなく、公示の必要性も小さいため登録制度の対象外である。したがって、登録が実務的に利用されるのは財産権である著作権に限られるのが実情である。
Q4 : 著作者が死亡した場合、権利そのものを相続人が承継できるのはどちらか。
著作権は財産権であるため相続の対象となり、著作者の死後は相続人が譲渡や利用許諾などの処分を行える。これに対し著作人格権は死亡によって消滅し相続の対象とはならないが、著作者の意思を守るために相続人が権利を代わりに行使できる制度があるだけで権利主体として承継するわけではない。この違いが遺産分割やライセンス交渉に影響するため理解が不可欠である。
Q5 : 翻訳・編曲などを他者に許諾する際の法的根拠となる『翻案権』は次のどの分類に含まれるか。
翻案権は著作権法27条で規定された財産権的支分権で、著作権に含まれる。翻訳や映画化を行う行為は著作物の内容を質的に変化させ経済的価値を生むため、財産権として管理することが合理的とされる。翻案権は著作人格権の同一性保持権と混同されやすいが、後者は無断改変を人格的利益から禁じる権利であり、翻案権は改変を有償で許諾する権利という点で目的も性質も異なる。
Q6 : 作品の内容を無断で改変されないよう保護する『同一性保持権』はどちらに分類されるか。
同一性保持権は著作権法20条に定められ、著作物の題号や内容、氏名表示を著作者の意に反して改変されない権利である。作品と著作者の精神的結び付きに関わる人格的利益を保護することが目的で、金銭的利用を管理する著作権とは性質を異にする。たとえ著作権が企業に譲渡されていても、著作者は無断改変に対し差止請求や損害賠償請求を行えるため、人格権としての機能が法律上強固に認められている。
Q7 : 著作権と著作人格権の基本的な性質の組み合わせとして正しいものはどれか。
著作権法は著作物に対する複製や公衆送信など経済的利用を独占する仕組みを財産権として規定している。一方、著作人格権は作品と著作者の精神的結合を保護するため、公表の時期や氏名表示の有無を決めたり改変を禁じたりする人格的権利であり、金銭的価値より人格的利益の保護を目的とする点が大きく異なる。
Q8 : 譲渡契約によって第三者に移転させることが法律上可能なのはどの権利か。
日本法では著作人格権は著作者に一身専属し譲渡や相続の対象とならないと明文で規定されている(同法59条)。一方、著作権は財産権であるため売買や会社への現物出資など自由に譲渡できる。映画やゲームなど企業プロジェクトでは著作権譲渡契約が一般的に用いられ、権利を得た会社が二次利用で利益を得る仕組みが機能している。
Q9 : 著作者の死後70年(映画は公表後70年など)で消滅するのはどの権利か。
著作権の存続期間は著作権法51条等で原則として著作者の死後70年と定められ、期間満了後はパブリックドメインとなる。これに対し著作人格権は著作者の死亡と同時に消滅するが、著作者の意思を尊重する目的で相続人等が行使できる制度があるだけで、権利そのものが存続するわけではない。したがって期間が法律で明確に設定されているのは財産権である著作権である。
Q10 : 公表するかどうか、いつ公表するかを決定する権利として法律上規定されている『公表権』はどの分類に属するか。
公表権は著作権法18条に規定された著作者人格権の一部であり、著作物を初めて公衆に伝達するかどうかを著作者自身が決められる権利である。財産的利用ではなく著作者の意思や名誉を守る人格的側面が強いため、たとえ出版社が著作権を取得していても著作者の同意なく未公表原稿を公開することはできない。このように公表権は人格権の中核的要素として位置付けられている。
まとめ
いかがでしたか? 今回は著作権と著作人格権の違いクイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は著作権と著作人格権の違いクイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。