遺言事項のうち、遺言執行者がいない場合は相続人や利害関係人が家庭裁判所に選任申立てを行う場面が特に多いとされるのはどれか。
推定相続人の廃除は民法893条以下に定める手続で、遺言によって行う場合、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求を行わなければならない(民法894条2項)。遺言執行者がいないと、利害関係人が改めて選任の申立てをしなければ手続が進まないため、遺言内容の実現が大幅に遅れる。祭祀承継者の指定や遺贈は相続開始と同時に効力を生じ、認知も届出さえされれば足りるため、執行者がいなくても実務上の支障は比較的小さい。よって推定相続人の廃除が最も煩雑になりやすい。