過去から受け継がれてきた古典文学の言葉は、私たちにとって時に意味が分かりにくく、日常生活とはかけ離れた感覚を与えることがあります。しかし、それらの言葉には奥深い表現の世界が秘められているのも事実です。このクイズでは、平安時代の代表的な文学作品に登場する古語の意味を確認することで、当時の人々の感性や価値観に迫っていきます。古語の奥深さを体感しながら、心に残る一時を過ごしていただければと思います。
Q1 : 「めづらし」の意味に最も適切なものを選べ。
「めづらし」は、「滅多になく素晴らしい」「目新しくて魅力的だ」といった肯定的な感情を表す語で、現代語の「珍しい」と共通するニュアンスも持っています。しかし古典においては稀少性だけでなく、それが褒め称えるべき美点や魅力を伴うことが重要であり、単に「奇妙」「不思議」といった中立的または否定的な意味ではありません。正解は2の「めったになく素晴らしい」です。
Q2 : 「ゆゆし」の古語として最も適切な意味を選べ。
「ゆゆし」は、「甚だしい」「大変な」「恐れ多い」「不吉だ」など、程度が甚だしく普通ではないことや、不吉で避けるべきことを意味します。「優しい」「静かだ」「笑える」などの肯定的または穏やかな意味合いとは異なり、畏怖や不安を伴う強い感情を表現する時に使われる語です。このため、適切な意味を表している選択肢は2の「甚だしい・不吉だ」です。
Q3 : 「おぼつかなし」の意味を適切に示すものを選べ。
「おぼつかなし」は古典文学において、「不明瞭ではっきりしない」「あやふやで心もとない」「不安で気がかりだ」といった意味を持ちます。何かを待ち望んでいるがはっきりしない状況、あるいは気になって仕方ない心情を表現するときにも使われます。「覚えていない」という意味ではなく、「楽しみである」や「かわいい」といった肯定的な感情とは異なります。よって、「はっきりしない・不安だ」を正しく示す2が適切です。
Q4 : 「すさまじ」の意味として最も適切なものを選べ。
「すさまじ」は古語で、「興醒めだ」「おもしろくない」「魅力がない」「つまらない」といった否定的な意味を表す言葉です。現代語における「すさまじい」の「激しい」「甚だしい」というニュアンスとは異なり、古典では期待外れであったり、場違いであるものに対して使われました。したがって、「非常におもしろい」「美しく魅力的だ」「忙しい」といった意味合いはすべて相容れません。消去法から、正しい意味である「興ざめだ・面白くない」を表す2が正解となります。
Q5 : 「かたはらいたし」の意味を適切に表しているものはどれか。
「かたはらいたし」は、「いたたまれない」「見ていて気まずい」「はらはらする」「苛立たしい」「見苦しい」など、心が落ち着かず不快な感情を持つ状況を表す古語です。現代語の直訳である「横腹が痛い」ではなく、また「気の毒である」や「静かである・穏やかだ」といった意味合いも含みません。人の行動や態度を見て、不愉快に感じる心情を適切に表現している3の「苛立たしい・見苦しい」が正解となります。
Q6 : 「あさまし」の正しい意味を選べ。
「あさまし」は古語であり、「驚きあきれるほど意外だ」「思いがけないほどひどい」「呆然とする」といった、予想外で驚きを伴う感情を表現するときに用いる語です。「朝が早い」は古語で別の言い回し(「つとめて」など)を使い、有効ではありません。また、「かわいらしい」は「うつくし」、しみじみとした感動や感傷は「あはれなり」といった別の語彙があるため、「あさまし」には該当しません。したがって、正しい意味である「驚きあきれる・意外である」を表す3が答えになります。
Q7 : 「うつくし」の意味として最も適切なものはどれか。
「うつくし」は現代語の「美しい」と重なる部分もありますが、古語では主として「かわいらしい」「愛らしい」というニュアンスが強い言葉でした。特に『枕草子』をはじめとする平安文学で頻出し、主に子どもや小動物、小さく愛らしいものに対して使われました。「悲しい」「わびしい」「落ち着いている」「静かである」「楽しい」「にぎやかである」などは、「うつくし」の古語としての中心的な意味とは異なり、ふさわしくありません。古文において「うつくし」は外見的な美しさのみを表すのではなく、内面的な愛らしさや愛着の感情を伴うため、最適な意味は2です。
Q8 : 「かなし」の古語としての意味を適切に表しているものを選べ。
「かなし」は現代語では「悲しい」と同じ漢字を使いますが、古語では「かわいい」「愛しい」という意味で用いられることが一般的でした。「かなしい」という読みは同じでも、このように現代語とは意味が異なる点に注意が必要です。古典文学でたびたび用いられ、特に恋人や子ども、ペットに対して用いられ、好意的で愛情あふれる感情をあらわしていました。「悲しい」「寂しい」「激しい」「楽しい」といった一般的に誤解されやすい現代的な意味合いとは異なるため、正解は2となります。
Q9 : 「あはれなり」の意味として適切なものを選べ。
「あはれなり」は平安時代を中心に使われた古語であり、「しみじみとした情趣がある」「心に深く感じる」「哀愁がある」「感動的だ」などの幅広い情感を表現します。また文脈によって悲しみや同情の念を含む「かわいそうだ」という意味にもとられるため、多義的ではありますが、基本的には感情を伴う言葉です。「面白い」「勇ましい」「ぐあいが悪い」といった感情表現とは異なる意味合いの言葉とは相容れないため、正解は1になります。
Q10 : 「をかし」の意味として最も適切なものを選べ。
「をかし」とは平安時代の古典文学に頻出する形容詞であり、事物や情景に対して「かわいらしい」「趣深い」「面白い」といった肯定的な感情を表現する言葉です。清少納言の『枕草子』では特に頻繁に使われ、対象を好意的かつ感覚的な視点から描写する際に用いられました。「悲しい」や「不吉だ」は「をかし」とは対極の意味合いを含むため、適切ではありません。「騒がしい」や「うるさい」も対象への肯定的な感想を表す「をかし」とは相容れないため、正解は1となります。
まとめ
いかがでしたか? 今回は古文単語クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は古文単語クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。