私たちの生活の中には様々な放射線が存在しています。大自然から降り注ぐ自然放射線や、医療現場での検査・治療に用いられる人工の放射線など、その存在は私たちにとって身近なものです。このクイズでは、放射線の特性や取り扱いについて、基礎知識の確認や理解を深めていきます。放射線について、日頃感じる疑問や不安を解消する一助となれば幸いです。
Q1 : 一般的な胸部CT検査で患者が受ける代表的な実効線量(目安)はどれに最も近いか?
胸部CTの実効線量は装置、撮影条件、被検者の体格によって変わるが、一般的な成人の胸部CTは数ミリシーベルト(おおむね約5〜10 mSv程度、代表値として約7 mSv程度)である。これは胸部X線単純撮影(数十〜数百μSv)より高く、放射線リスク評価や検査の適応判断において重要であるが、画像診断の有用性がリスクを上回る場合に行われる。被ばく低減のためには適切な撮影プロトコールや被ばく低減技術、不要な再撮影の回避が重要である。}
Q2 : 日本における自然放射線被ばくの主な内的寄与源として最も大きいものはどれか?
自然放射線の被ばく源は大きく地球起源(地盤や建材)、宇宙線、食品由来、そして室内ラドンなどがあるが、多くの国で屋内に蓄積するラドン(Rn)とその崩壊生成物が自然被ばくのうち重要な内的寄与を占める。ラドンは土壌や岩石のウラン系列の崩壊で生じる気体で、住宅の地下や通気の悪い室内に蓄積しやすく、長期的に吸入すると肺癌リスクを高めることが疫学的に示されている。したがってラドン対策は住宅環境の放射線防護において重要である。
Q3 : ベータ線(β線)に対する有効な遮蔽材として適切なものはどれか?
ベータ線は高速で飛ぶ電子または陽電子であり、質量は小さいためアルファ線より透過力が大きいが、鉛のような高原子番号材料に当たるとブレムストラールング(制動放射)という二次的なX線を発生させるため注意が必要である。一般に数ミリ〜数センチのアルミニウム板やプラスチックで十分に遮蔽できることが多く、逆に鉛を用いる際は二次放射に対する対策(追加のシールド等)が必要である。作業環境では素材選択と厚さの設計が重要である。
Q4 : PET検査で用いられる代表的な陽電子放出核種はどれか?
PET(陽電子放出断層撮影)検査では陽電子を放出する核種を標識した化合物を用い、陽電子が電子と消滅(消滅放射)して発生する511 keVの対消滅ガンマ線を検出して体内分布を画像化する。代表的な核種はフッ素-18で、半減期は約110分、代表的トレーサーのFDG(フルオロデオキシグルコース)により代謝情報を得るのに広く用いられている。99mTcはガンマ線検査(SPECT)で多用されるが、陽電子放出核種ではない点に注意が必要である。
Q5 : ベクレル(Bq)の定義として正しいものはどれか?
ベクレル(Bq)は放射能の国際単位系(SI)で、1ベクレルは「1秒間に1回の放射性崩壊が起こる」という定義である。従来の単位であるキュリー(Ci)は1Ci=3.7×10^10 Bqであり、Bqはそのスケールで多くの現実的な放射能を扱うのに適している。Bqは崩壊率(活動度)を示す物理量であり、放射線の強さや量の評価に用いられるが、生物学的影響を評価するには吸収線量や実効線量(GyやSv)との組合せで考える必要がある。
Q6 : 「外部被ばく」と「内部被ばく(汚染)」の違いとして正しい説明はどれか?
外部被ばくとは放射性物質そのものが体内に入っていなくても、外部から放射線(ガンマ線やベータ線など)を受けることを指し、放射性材料の場所から離れれば被ばくは減少する。一方内部被ばく(汚染)は放射性物質が呼吸や摂取、傷口などを介して体内に入ることであり、その結果、内部から継続的に放射線が照射されるため被ばくの評価や除染、投薬による排泄促進などの対策が必要になる。両者は防護策が異なり、モニタリングや除染手順も別に考える必要がある。
Q7 : アルファ線(α線)の主な特徴はどれか?
アルファ線は2個のプロトンと2個の中性子からなるヘリウムの原子核(α粒子)が放出される放射線であり、質量と電荷が大きいため単位長さ当たりの電離作用が強く、生体組織に対する局所的な損傷は大きいが、空気中での飛程は数センチ程度、紙一枚や皮膚の角質層で簡単に止まるという特徴がある。α線を出す核種はウラン族やトリウム族、ポロニウムなどで内部被ばく(摂取・吸入)をすると肺や粘膜で強いダメージを与える一方、外部被ばくでは遮蔽が容易である。したがって防護や取扱いでは外部と内部の区別が重要になる。
Q8 : 線量の単位Gray(Gy)とSievert(Sv)の違いとして正しいものはどれか?
Gray(Gy)は物質や組織が吸収したエネルギー量を1ジュール毎キログラムで表す吸収線量の単位であり、物理量である。一方Sievert(Sv)はその吸収線量に対して放射線の種類ごとの線種係数や被ばくした組織ごとの組織係数を掛け合わせて算出する実効線量で、生物学的影響(障害や癌のリスク)を評価するための量である。したがってGyとSvは用途が異なり、同じ数値でも生物影響の評価はSvで行うのが一般的である。
Q9 : 「半減期(半減期)」の定義として正しいものはどれか?
半減期とは、特定の放射性核種について、その核種に含まれる放射性原子の数や放射能(単位時間当たりの崩壊数)が初期値のちょうど半分に減少するまでに要する時間をいう。これは確率的な崩壊過程に基づく指数関数的減衰により定義され、半減期は核種ごとに固有の定数である。例えばセシウム137は半減期約30年、ヨウ素131は約8日であり、半減期の長短は放射性物質の長期的な残留や廃棄・防護対策に直接影響する。半減期の経過後も残留物は完全には消えず、指数関数的に減少する点に注意が必要である。
Q10 : 点線源から放射線を受ける場合の線量の距離依存性として正しいのはどれか?
点状の放射線源から放出される放射線強度は、放射線が球面上に等しく広がるという理想条件のもとで距離の2乗に反比例する。これは逆二乗則と呼ばれ、ある距離rでの単位面積当たりの線量は1/(r^2)に比例することを意味する。例えば距離を2倍にすると線量は1/4になるため、距離を取ることは最も基本的かつ有効な防護手段の一つである。ただし現実には散乱や吸収の影響、線源の形状や遮蔽物によってこの単純則から逸脱する場合もある。