摩擦力は私たちの日常生活に深く関わる物理現象です。静止摩擦と動摩擦の違い、クーロン摩擦モデルの特徴、摩擦係数の性質など、摩擦力に関する基本的な知識を確認するためのクイズを10問ご用意しました。摩擦力の基本原理を理解し、さまざまな場面での摩擦力の働きを正しく捉えられるよう、ぜひこのクイズにチャレンジしてみてください。摩擦力は意外と奥が深く、様々な応用分野にも関わっています。このクイズを通して、摩擦力についての理解を深めていただければと思います。
Q1 : 質量5.0kgの物体を水平な床上で20Nの水平力で引く。床との動摩擦係数が0.20のとき、物体の加速度はおよそいくらか?(g=9.8m/s^2) 1.02 m/s^2 0.50 m/s^2 2.04 m/s^2 4.00 m/s^2
まず法線力 N = mg = 5.0×9.8 = 49 N。動摩擦力 f_k = μ_k N = 0.20×49 = 9.8 N。外力20 Nが摩擦9.8 Nに打ち勝つので合力は20 − 9.8 = 10.2 N。加速度 a = 合力 / m = 10.2 / 5.0 = 2.04 m/s^2。したがって選択肢の中では約2.04 m/s^2が正しい。
Q2 : ある物体が傾斜角θの斜面に置かれ、静止摩擦係数 μ_s = 0.40 である。この物体が滑り始める最小の角度 θ はおよそ何度か? 14.0° 18.0° 30.0° 21.8°
斜面で滑り始める条件は重力の斜面に平行な成分 mg sinθ が静止摩擦の最大値 μ_s N(ここでは N = mg cosθ)を超えること、すなわち mg sinθ > μ_s mg cosθ。整理すると tanθ > μ_s、滑り始める閾値は θ = arctan(μ_s)。与えられた μ_s = 0.40 より θ = arctan(0.40) ≒ 21.8°。
Q3 : 潤滑剤(オイルなど)を介在させると一般にどのような影響があるか? 摩擦係数を減少させる 摩擦係数を増加させる 摩擦に影響を与えないことが多い 摩擦を完全になくす
潤滑剤は接触面の直接的な固体間接触を隔て、流体によるせん断抵抗や流体膜の形成で接触面の摩擦を低減します。結果として静止・動摩擦係数の実効値が小さくなることが多く、摩耗や発熱も低減します。ただし潤滑の種類や圧力・速度条件によっては流体摩擦や粘性抵抗が問題になる場合もあり、『完全になくす』ことは原理上難しい点に注意です。
Q4 : 回転する車輪が路面で滑らずに転がるとき(すべりなし転がり)、接触点に働く摩擦力の特徴として正しいのはどれか? 常に前向きに働く 車輪を加速する場合、接触点で駆動側に向かう摩擦が生じ得る 摩擦は存在しない 摩擦は必ず車輪の回転を妨げる向きに働く
すべりなし転がりでは接触点は瞬間的に静止しているため摩擦は必要に応じて静止摩擦として働きます。駆動力で車輪を回す(駆動輪)場合、接地で路面は車輪に対して後方へ押されるので路面から車輪へ前向きの静止摩擦が働き、車両を前進させます。逆にブレーキをかけると摩擦は逆向きに働きます。したがって摩擦の向きは運転状況に依存します。}
Q5 : 摩擦係数 μ(クーロン摩擦モデルにおいて)はどのような次元(単位)を持つか? 無次元(単位なし) 力の単位(N) 長さの単位(m) 速度の単位(m/s)
摩擦係数 μ は摩擦力 f を法線力 N で割った比 f/N(または最大静止摩擦/法線力 μ_s = f_max/N)として定義されるため、次元(単位)は打ち消され無次元量になります。つまり μ は材料と表面状態に依存する無次元パラメータです。温度や表面の粗さ、潤滑の有無により値は変わりますが、単位は持ちません。
Q6 : クーロンの摩擦モデルによれば、接触面積が増加したとき、静止または動摩擦力はどう変化するか? 接触面積に比例して増加する ほぼ変化しない(独立とみなせる) 接触面積の2乗に比例する 接触面積が増えると逆に減る
古典的なクーロン摩擦則(f ≈ μN)の近似では、摩擦力は法線力 N に比例し、名目上は接触面積に依存しないとされます。理由は、実効的な“実接触面積”が法線力に応じて増減し、総合的に摩擦が N に比例するためです。ただし接触圧が低い、粘着が支配的、表面粗さや材料の変形が大きいなどの条件では実接触面積の変化が重要になり、面積依存性が現れることがあります。
Q7 : 次のうち、動摩擦(μ_k)と静止摩擦(μ_s)について正しい記述はどれか? 動摩擦は常に静止摩擦より大きい 静止摩擦は常に零である 摩擦係数は温度に全く影響されない 静止摩擦の最大値は一般に動摩擦より大きい
一般的には最大静止摩擦(μ_s N)は滑り中の動摩擦(μ_k N)より大きいです。これは接触面の微小な凹凸や吸着結合を破るために滑り開始時により大きなせん断力が必要になるためです。ただし潤滑や温度、材料の特性によってはこの順序が変わる可能性もあるので、常に成り立つ“必然の法則”ではなく経験的な一般則である点に注意が必要です。
Q8 : 動摩擦力の向きは一般にどれか? 物体の運動方向と逆向き 物体の運動方向と同じ向き 垂直方向(法線方向) 運動方向に直角
動摩擦力(滑っている面での摩擦)は接触面における相対運動の方向に対して常に逆向きに働きます。つまり物体がある方向に滑っている場合、動摩擦はその運動を妨げる向き、すなわち運動方向に逆らう力として働き、大小は概ね f_k = μ_k N で与えられます。法線方向には法線力が働き、摩擦力は原則として接線方向の力です。
Q9 : 静止摩擦が『最大値をもつ』とはどういう意味か? 静止摩擦は常に一定の値を取る 外力が相対運動を開始させようとするまで増加し、その最大値が μ_s N である 静止摩擦は外力に関係なく消えない 静止摩擦は速度に比例して増加する
静止摩擦は外力が小さい間は外力に応じて接触面で自発的に抗力を生じ、相対運動を抑えます。その抗力は外力が増すに従って最大値まで増加可能で、この最大値が f_max = μ_s N と表されます。外力がこの最大値を越えると静止が保てず物体は滑り出し、以後は動摩擦 μ_k N による抵抗力が働きます。したがって『最大値をもつ』とは静止摩擦が外力に応じて調整されうるが上限が存在するという意味です。
Q10 : 静止摩擦係数 μ_s と動摩擦係数 μ_k の一般的な関係として正しいのはどれか? μ_k > μ_s μ_k = μ_s μ_k < μ_s μ_k は μ_s に依存しない
静止摩擦係数 μ_s は物体を静止状態に保つために必要な最大の摩擦(最大静止摩擦)を表し、動摩擦係数 μ_k は滑動中の摩擦を表します。実験的に多くの材料組合せで μ_s は μ_k より大きいことが観測されます。これは接触面の微視的なかみ合いや結び付き(“かみ込み”や吸着)を破るために、滑り始める直前により大きな力が必要であるためです。ただし極端な条件や潤滑の種類によって例外がある点にも注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか? 今回は摩擦力クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は摩擦力クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。