水銀には様々な化学的・物理的性質があり、それらは長年にわたって人類の生活や産業活動に活用されてきました。しかし、その一方で水銀の毒性も知られており、特に環境中のメチル水銀による深刻な公害事故などの経緯から、近年では水銀の管理と汚染防止への国際的な取り組みが進められています。本クイズでは、水銀の基本情報から、環境中での挙動、健康影響、歴史的な用途、さらには水銀管理に関する国際条約まで、水銀に関する様々な知識を問います。水銀についての理解を深めていただければと思います。
Q1 : 元素水銀に関する曝露経路として、最も危険性が高いものはどれか。 誤って飲み込む経口摂取 皮膚に触れる経皮吸収 母体から胎盤を通る胎児曝露 蒸気を吸入する経気道吸入
元素水銀の最も危険な曝露経路は蒸気の吸入です。液体水銀は経口摂取では消化管からの吸収は限定的ですが、加熱や常温でも蒸気が生じると肺から容易に吸収され全身循環し、特に中枢神経系に深刻な障害をもたらすことがあります。また、妊婦の曝露は胎盤を通じて胎児に影響を及ぼすため二次的な危険もあります。
Q2 : 常温付近における水銀の密度(約20℃での値)に最も近いものはどれか。 約13.534 g/cm3 約7.87 g/cm3 約19.3 g/cm3 約1.00 g/cm3
水銀の密度は約13.534 g/cm3(20℃付近)であり、これは鉄(約7.87 g/cm3)や金(約19.3 g/cm3)、水(1.00 g/cm3)などと比べてもかなり重い部類に入ります。この高密度も水銀が液体でありながら金属としての性質を示す要因の一つであり、取り扱い時の容器や廃棄処理において考慮すべき物理的特性です。
Q3 : 水銀の国際的な管理や汚染防止を目的とした条約として、2013年に採択されたのは何か。 京都議定書 水俣条約(Minamata Convention on Mercury) モントリオール議定書 ロンドン条約
水銀の製造・使用・排出を国際的に管理し環境保護を図るための国際条約であるMinamata Convention on Mercury(通称:水俣条約)は2013年に採択されました。条約は水銀の供給源の削減、製品や工業プロセスでの使用制限、排出・放出の管理、そして被害防止と被害者支援などを目的としており、名称は日本の水俣病に由来しています。
Q4 : 生態系中で食物連鎖を通じて特に蓄積されやすく、人間の神経系に深刻な影響を与える水銀の化学形態はどれか。 元素水銀(Hg0) 無機塩化水銀(Hg2+) メチル水銀(CH3Hg+) ジメチル水銀((CH3)2Hg)
環境中で微生物などによって無機態の水銀がメチル化されて生成されるメチル水銀は、脂溶性が高く生物濃縮と生物蓄積が進むため食物連鎖を通じて高濃度になります。特に魚介類を介した人間への曝露は中枢神経系や発達障害を引き起こすリスクが高く、水俣病の原因ともなった主要な形態です。ジメチル水銀は極めて毒性が高いものの、環境中での主要な生物蓄積形態はメチル水銀です。
Q5 : 有機水銀中毒による大規模な公害で、熊本県の沿岸で工場廃水が原因となった病気の名称はどれか。 イタイイタイ病(カドミウム) 四日市ぜんそく(大気汚染) 水俣病ではない(別の病気) 水俣病(メチル水銀中毒)
1950年代に熊本県水俣市周辺で発生した水俣病は、工場から排出された有機水銀(メチル水銀)を含む排水が海域に流入し、魚介類を介して住民に摂取されたことにより、神経症状や中枢神経系障害を呈した公害事件です。原因企業や責任問題、補償といった社会的影響も大きく、日本の公害史において重要な事例となっています。
Q6 : 伝統的な歯科用アマルガムに含まれていない金属はどれか。 白金(プラチナ) 銀(Ag) 錫(Sn) 銅(Cu)
一般に歯科用アマルガムは水銀と銀・錫・銅などの合金を混ぜて得られる材料であり、これらの金属が主要成分です。白金(プラチナ)は通常の歯科アマルガムの成分には含まれません。アマルガムは柔らかい金属同士の混合で金属的接合が得られますが、近年は水銀の健康・環境懸念から代替材料への移行が進んでいます。
Q7 : 水銀の環境試料(例:水や生物試料)の総水銀分析で広く用いられる方法はどれか。 ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光) 冷蒸気原子吸光法(CVAAS) X線蛍光分析(XRF) 核磁気共鳴(NMR)
水銀の分析では、サンプル中の水銀を還元して「冷蒸気」として分離し、原子吸光法で検出する冷蒸気原子吸光法(CVAAS)が簡便で感度も良いため広く用いられています。さらに高感度が必要な場合は冷蒸気原子蛍光法(CVAFS)や誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を用いることもあります。
Q8 : 水銀が金と合金(アマルガム)を作る性質を利用して歴史的に使われたのはどの分野か。 銀の精錬 鉛蓄電池の製造 金鉱での採取・精錬(砂金回収) アルミニウムの製造
水銀は金と容易にアマルガム(合金)を形成する性質があり、歴史的に採掘現場で砂金や滓中の金を回収するために水銀を使う手法が用いられました。水銀で金を溶かしてアマルガムを作り、加熱して水銀を蒸発させることで金を回収しますが、この過程で水銀が環境中に放出されるため、特に小規模採掘地で深刻な汚染問題を引き起こします。
Q9 : 水銀の元素記号と原子番号はどれか。 Hg(ハイドラージュルム), 原子番号80 Ag(銀), 原子番号47 Pb(鉛), 原子番号82 Fe(鉄), 原子番号26
元素水銀は元素記号Hgで表され、ラテン語名のhydrargyrum(液体の銀)に由来します。原子番号は80で、周期表では第12族・第6周期に属する金属です。常温で液体である稀な金属であり、原子量は約200.59、融点は約−38.83℃、沸点は約356.73℃といった物理的性質を示します。
Q10 : 水銀が常温で液体でいられる理由に関する融点はどれか。 約−38.83℃ 約−10℃ 0℃ 約−100℃
水銀の融点は約−38.83℃であるため、室温(約20℃前後)では液体のまま存在します。この低い融点は電子構造や金属結合の性質に起因し、他の多くの金属が固体である一方で水銀は常温で液体として扱われます。取り扱いでは液体ならではの飛散や蒸気化による吸入リスクに注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか? 今回は水銀クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は水銀クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。