シンセサイザーは、電子回路で音を作り出す楽器として20世紀後半の音楽シーンを大きく変えてきた存在です。開発者の情熱や名機の誕生秘話、音作りを支える仕組みや規格など、その歴史には知っておきたい面白いエピソードが数多くあります。全10問のクイズで、シンセサイザーにまつわる知識を楽しく確認してみましょう。
Q1 : 1970年にモーグ社が発売した、単音しか演奏できないもののコンパクトで演奏性に優れ、多くのロック・ポップスの現場で愛用された名機は? ミニモーグ(Minimoog) プロフェット5 ARP2600 オーバーハイムOB-X
ミニモーグは1970年に発売された、それまで大型のモジュラー構成が主流だったモーグシンセサイザーを一体型の筐体にまとめ、演奏用に持ち運びできるようにしたモデルである。単音しか出せないモノフォニックだが、太く力強いベース・リード音が魅力で、ロックやファンク、ジャズなど多くの音楽ジャンルで長年にわたり愛用され続けている。ミニモーグの太いサウンドはシンセサイザーの代名詞ともいえる存在となり、現在も復刻モデルが発売され続けている。
Q2 : 音量や音程、フィルターの開き具合などを周期的にゆっくりと変化させ、ビブラートやトレモロなどの効果を作るために使われる低周波の発振器は? VCA LFO(Low Frequency Oscillator) エンベロープジェネレーター ノイズジェネレーター
LFOは人間の耳には聞こえないほど低い周波数で信号を発振する装置で、その出力を音量・音程・フィルターなどに周期的に加えることで、ビブラートやトレモロ、ワウワウのような揺らぎの効果を作り出せる。シンセサイザーの音作りにおいて表情豊かなサウンドを生み出すための重要なモジュレーション源として広く使われている。LFOの波形や速さ、深さを変えることで、ゆるやかな揺れから激しい変調まで、多彩な表現を作り出すことができる。
Q3 : 複数の発振器の出力を用いてもう一方の周波数を変調し、少ないパラメータで倍音の多い複雑な音色を作り出せる音源方式は? 減算合成方式 グラニュラー方式 ウェーブテーブル方式 FM音源方式(周波数変調合成)
FM音源方式は、ある発振器(モジュレーター)の出力で別の発振器(キャリア)の周波数を変調することで、少ない発振器数でも金属的で倍音の多い複雑な音色を生成できる方式である。ヤマハDX7の大ヒットによって80年代に広く普及したが、パラメータの関係が直感的につかみにくく、音作りが難しい方式としても知られている。FM音源はアナログ回路に比べて安定した音程を保ちやすく、デジタル技術の進歩とともに80年代以降の電子音楽の音色を大きく変えた。
Q4 : 倍音を多く含む波形をフィルターで削っていくことで音色を作る、シンセサイザーの代表的な音作りの方式を何と呼ぶでしょう? FM音源方式 物理モデリング方式 減算合成方式(サブトラクティブシンセシス) 加算合成方式
減算合成方式は、サイン波より倍音を多く含むノコギリ波や矩形波などの波形を発振させ、フィルターで不要な周波数成分を削って目的の音色に近づける方法である。Moogシンセサイザーをはじめ多くのアナログシンセが採用しており、シンセサイザーの音作りの基本として現在でも広く使われている代表的な方式である。減算合成方式はシンプルな構造で直感的に音作りができるため、初心者にも扱いやすい方式として現在の多くのソフトシンセにも採用されている。
Q5 : 音の立ち上がりから減衰、持続、消滅までの時間的な変化を制御する、シンセサイザーの基本パラメータの略称は? LFO VCO MIDI ADSR
ADSRはAttack(アタック)、Decay(ディケイ)、Sustain(サステイン)、Release(リリース)の略で、音が鳴り始めてから消えるまでの音量などの時間変化を表すエンベロープの基本要素である。鍵盤を押した瞬間の立ち上がりの速さや、離した後の音の消え方などを調整でき、楽器らしい自然な音や特徴的な電子音を作る際に欠かせない仕組みである。ADSRの各パラメータを調整することで、パーカッシブな音から持続音まで、幅広い音の表情を作り分けることができる。
Q6 : 1968年発表のアルバム「スウィッチド・オン・バッハ」で、Moogシンセサイザーを用いてバッハの楽曲を演奏し話題となった音楽家は? ウェンディ・カーロス ジャン・ミッシェル・ジャール 冨田勲 ブライアン・イーノ
ウェンディ・カーロスはロバート・モーグの協力を得てMoogシンセサイザーを演奏用に使いやすく改良し、1968年に「スウィッチド・オン・バッハ」を発表した。バッハの楽曲をシンセサイザーで多重録音した本作は全米で大ヒットし、それまで実験音楽の道具とみられていたシンセサイザーが一般に広く認知される大きなきっかけとなった。この作品の成功以降、シンセサイザーはクラシックやポップスなど幅広いジャンルの音楽制作に取り入れられるようになった。
Q7 : 1983年に規格が制定され、シンセサイザーやシーケンサーなどの機器同士が演奏データをやり取りできるようにした世界共通の通信規格は? USB MIDI OSC CV/Gate
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)は1983年に策定された、電子楽器同士が音の高さや強さ、タイミングなどの演奏情報をデジタルデータとしてやり取りするための世界共通規格である。異なるメーカーのシンセサイザー同士を接続して演奏できるようになったことで、電子音楽の制作環境が大きく発展した。CV/Gateはアナログ時代の制御方式である。MIDI規格の登場によって、複数のシンセサイザーを同時に鳴らしたり、コンピュータで演奏データを編集したりすることが容易になった。
Q8 : ローランドが1981年に発売し、当初は不評だったものの後にアシッドハウスの定番サウンドとして再評価されたベース専用シンセサイザーは? TR-808 Juno-106 TB-303 SH-101
TB-303はベースラインを自動演奏するための専用シンセサイザーとして発売されたが、リアルなベース音とは異なる個性的な音色のため当初は市場で不評だった。しかし80年代後半にシカゴのアシッドハウス系DJたちがそのクセの強い音を使い始め、ジャンルを代表する音として世界的に再評価されるに至った。現在ではハウスやテクノをはじめ多様な電子音楽のジャンルで、その独特なフィルターの効いたサウンドが好んで用いられ、ローランドの再発売モデルやソフトウェア音源としても復刻されるなど、シンセサイザー史における特別な存在となっている。
Q9 : モジュラーシンセサイザーの開発者として知られ、自身の名を冠した「Moogシンセサイザー」を生み出した人物は誰でしょう? ロバート・モーグ レオン・テルミン ドン・ブックラ レイモンド・カーツワイル
ロバート・モーグは1964年にモジュラー方式の電子楽器「Moogシンセサイザー」を開発したアメリカの技術者である。電圧制御方式のオシレーターやフィルターを組み合わせ、つまみやパッチケーブルで多彩な音色を作れる点が革新的で、以降のシンセサイザー開発全般に大きな影響を与えた。テルミンは非接触型電子楽器の発明者、ブックラは西海岸系シンセの開発者として知られる別人物である。また、Moogシンセサイザーはロックやポップス、プログレッシブロックなど多くの音楽ジャンルで使用され、電子音楽の発展に大きく貢献した。
Q10 : 1983年に発売され、FM音源方式を採用して大ヒットし、当時のポピュラー音楽のサウンドを一変させたヤマハのデジタルシンセサイザーは? CS-80 DX7 SY77 TX81Z
ヤマハDX7は1983年発売のFM音源方式デジタルシンセサイザーで、クリアで金属的な音色や独特のエレクトリックピアノ音が特徴である。低価格で多機能だったため世界中のミュージシャンに普及し、80年代のポップスやフュージョンのサウンドを象徴する存在となった。CS-80はアナログ、SY77とTX81Zはいずれも後発のヤマハ製シンセサイザーである。DX7以降、FM音源方式は多くのメーカーの製品にも採用され、シンセサイザーの音源方式の主流のひとつとして長く使われ続けた。
まとめ
いかがでしたか? 今回はシンセサイザークイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はシンセサイザークイズを出題しました。
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次回のクイズもお楽しみに。