物理現象に関する基本原理や法則を、簡潔かつわかりやすく解説するフィジークイズの記事です。10問のクイズを通して、自由落下、単振動、電磁気学、熱力学、相対性理論など、幅広い分野の基礎知識を確認することができます。クイズの中には、直感と異なる意外な答えもあり、物理の奥深さを感じられるでしょう。初学者から物理ファンまで、幅広い層の方にお楽しみいただけるクイズ企画となっています。
Q1 : 深さhの液体中における静水圧p(表面での圧力を0としてゲージ圧を扱う)はどのように表されるか?(液体の密度をρ、重力加速度をgとする) p = ρgh p = ρg/h p = 1/2 ρ g h^2 p = g/(ρh)
静水圧は深さhに比例して増加し、式はp = ρ g hで与えられる。これは流体の垂直方向の力の釣り合い(dp/dz = -ρg)を積分して得られる結果で、表面圧力を基準にしたゲージ圧として扱う場合に成り立つ。容器の形状に依存せず深さのみで決まるため、底面にかかる圧力は水位が同じであれば容器の形状に無関係である。
Q2 : 特殊相対性理論において、ある速度vで運動する物体に対して静止系の観測者から見た時間の進み方はどうなるか?(観測者に対して運動している物体の時計の進み方) 速く進む 遅く進む 変わらない 不定
特殊相対性理論の時間の遅れ(タイムダイレーション)により、観測者から見て運動している物体の時計は遅く進む。経過時間t'は静止系での時間tに対してt' = γ t(γ = 1/√(1 - v^2/c^2))のように伸びるため、移動する時計は静止観測者の時間より長い間隔を刻む。これは対称的であり、観測者側からは互いに相手の時計が遅く見える。>
Q3 : 媒質中の光の屈折率nは真空中の光速cと媒質中での光速vとの関係でどう表されるか? n = c/v n = v/c n = c+v n = cv
屈折率nは一般にn = c/vで定義される。ここでcは真空中の光速、vは媒質中での光の位相速度である。屈折率が大きいほど媒質中での光速は遅くなり、波長も短くなるが周波数は不変である。分散により屈折率は波長依存となり、色ごとに屈折率が異なるためプリズムで分光が起きる。
Q4 : 熱力学第一法則(系の内部エネルギー変化ΔU、系に供給された熱Q、系がした仕事Wの符号は“系がした仕事”とする)として正しい式はどれか? ΔU = Q + W ΔU = Q - W ΔU = W - Q ΔU = Q
熱力学第一法則は仕事の符号規約によるが、ここでWを系がした仕事と定義するとΔU = Q - Wが正しい。系に熱Qが加わり系が外に仕事Wをした場合、系の内部エネルギーはその差だけ増減する。等容過程ではW=0でΔU=Q、断熱過程ではQ=0でΔU=-Wとなる。符号規約に注意して式を適用することが重要である。
Q5 : 音源が観測者に向かって近づいてくるとき、観測される音の周波数はどう変化するか? 減少する 変わらない 増加する 不定
ドップラー効果により、音源が観測者に近づくと観測される周波数は高く(増加)なる。音速v、音源速度vs、静止周波数fで表すと近づく場合の観測周波数f'はf' = f · v/(v - vs)となり、分母が小さくなるため周波数が大きくなる。逆に遠ざかると周波数は下がる。観測者が動く場合と音源が動く場合の式は異なるが、相対速度が重要である。
Q6 : 直列につながれた抵抗R1とR2の合成抵抗R_totalはどれか? R_total = R1 R2 R_total = (R1 + R2)/(R1 R2) R_total = (R1 R2)/(R1 + R2) R_total = R1 + R2
直列回路では各抵抗を流れる電流が等しく、全電圧は各抵抗の電圧降下の和となるため合成抵抗は単純に和になる:R_total = R1 + R2(およびそれ以上の項を含めた総和)。並列の場合は逆数の和で求めるため式が異なることに注意する。直列では電流一定、電圧分配が起きるという性質が設計で重要になる。
Q7 : 単振動(単純調和振動)をする質点(ばね定数k、振幅A)の全エネルギーEはどれか? E = kA^2 E = 1/2 kA^2 E = 1/2 mA^2 E = kA
単純調和振動では全エネルギーは時間で保存され、振幅位置では運動エネルギーがゼロで全エネルギーがばねのポテンシャルエネルギーとなる。ばねのポテンシャルはU=1/2 k x^2であり、最大変位x=AのときE=U_max=1/2 kA^2となる。運動の中心位置ではポテンシャルが最小で運動エネルギーが最大になるが合計は常に1/2 kA^2で一定である。
Q8 : 荷電粒子が磁場中を速度vで運動するときに受けるローレンツ力(磁場による成分)の大きさはどれか? qE qvB qvB sinθ qBv^2
磁場によるローレンツ力の大きさはF=qvB sinθで与えられる。ここでθは速度ベクトルvと磁場ベクトルBとの間の角度である。θが0度(平行)ならsinθ=0で力はゼロ、θが90度(直交)なら力は最大でqvBとなる。力の向きは右手の法則で求められ、力は速度に直交するため仕事をせず速度の大きさを変えずに進行方向を曲げる。
Q9 : 固体の線膨張に関する一次近似の式として正しいものはどれか?(線膨張係数をα、初期長さをL、温度変化をΔTとする) ΔL = αΔT ΔL = αL^2ΔT ΔL = αLΔT^2 ΔL = αLΔT
線膨張の一次近似式はΔL = α L ΔTで表される。αは線膨張係数で、温度変化ΔTに比例して長さ変化が生じるという仮定に基づく。これはΔTが小さい場合に有効であり、体積膨張係数βは等方材料でおおむねβ≈3αとなる。現実応用では橋梁や鉄道の継ぎ目などでこの線膨張を考慮して設計する必要がある。
Q10 : 空気抵抗を無視した自由落下する物体の加速度は時間とともにどのように変化するか? 一定でgに等しい 落下とともに増加する 落下とともに減少する 初めは大きく後で0になる
地表付近で空気抵抗を無視する場合、重力加速度はほぼ一定であり大きさはg≒9.81m/s²である。質点の質量に依存せず、時間とともに変化しないため加速度は一定となり、速度は時間に比例して増加し、位置は時間の二乗に比例して変化する。高度が大きくなるとわずかにgは変化するが、通常の自由落下問題では一定として扱うのが妥当である。
まとめ
いかがでしたか? 今回はフィジークイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はフィジークイズを出題しました。
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次回のクイズもお楽しみに。