様々な形状や風味を持つチーズの世界。それぞれに独特の製造方法と背景がありますが、チーズ作りのプロセスには興味深い共通点や違いもあります。今回のクイズでは、エメンタールの穴の仕組みから、ロックフォールの原料、チェダーの特徴的な工程、ウォッシュドリンドの香り成分、モッツァレッラの乳源など、チーズの作り方や成分に関する知識を深めていきます。さらに、レンネットの主要酵素、トリプルクリームの定義、青カビチーズの内部色素について学びます。チーズの多様性と製造プロセスの奥深さを感じながら、クイズを通してチーズの世界をお楽しみください。
Q1 : パルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノの主な製法上の違いとして正しいものはどれでしょうか?
パルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノは外観や風味が似ることもありますが、PDO規格や製造規則に違いがあります。特にパルミジャーノ・レッジャーノは厳格な生産地域と飼料規定があり、牛の飼料にサイレージ(発酵飼料)を使用することが禁じられています。一方グラナ・パダーノは飼料規定がやや緩やかで、最低熟成期間や製造コミュニティも異なります。これらの規定が風味や品質の差につながります。
Q2 : 一般に『トリプルクリーム』(triple cream)チーズと言われるものは、乾燥物(ドライマター)基準で脂肪分が最低どの程度とされることが多いでしょうか?
トリプルクリームという呼称は法的に全世界で統一されているわけではありませんが、一般的な定義としては乾燥物(ドライマター)基準で脂肪分が約75%以上のものを指します。製造ではクリームを追加して脂肪分を高め、非常にリッチで滑らかな口当たりを作ります。たとえばブリやカマンベールのトリプルクリーム版などがあり、風味とテクスチャーの濃厚さが特徴です。
Q3 : 青カビタイプのチーズで、内部の青緑の縞(ヴェイン)を形成する代表的なカビ菌はどれでしょうか?
青カビチーズの内部に青緑色のヴェインを作る代表的な菌はペニシリウム・ロクフォルティ(Penicillium roqueforti)です。ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトンなどで使われ、製造時にカードに混ぜ込むか、表面や内部に植え付けた後、ピアシングで気孔を作り酸素を供給してカビが成長しやすくすることで青カビが内部に広がり特有の風味と香り、色調を形成します。ペニシリウム・カムベルティは白カビ系でカマンベール等に関与します。
Q4 : ウォッシュドリンド(洗い熟成)チーズが強い香りを持つ主な理由は何でしょうか?
ウォッシュドリンドチーズは熟成中に塩水やアルコールを塗布して表面環境を整えることで、ブレビバクテリウム・リネス(Brevibacterium linens)などの表面微生物の増殖を促します。これらの微生物がアミノ酸や脂肪を分解して揮発性の硫黄化合物やアンモニア、脂肪酸などを生成し、強い香りや赤橙色の表皮を形成します。代表的な例にエポワスやリヴァロがあり、洗いにより特徴的な香りと風味が育ちます。
Q5 : モッツァレッラ・ディ・ブファラは主にどの動物の乳から作られる伝統的チーズでしょうか?
モッツァレッラ・ディ・ブファラはイタリア、特にカンパニア州やラツィオ州原産の保護原産地呼称(DOP)を持つフレッシュチーズで、伝統的には水牛(アジアまたはイタリアの地場牛種)の乳を原料とします。水牛乳は牛乳より脂肪分とタンパク質が高く、モッツァレッラの弾力やリッチな風味に寄与します。現代では牛乳で作られるモッツァレッラも一般的ですが、ディ・ブファラの名称は水牛乳製に限定されます。
Q6 : 加熱しても溶けにくく、グリルやフライに適している地中海のチーズはどれでしょうか?
ハルーミはキプロスや地中海東部に由来する塩漬けの白いチーズで、独特の高い融点を持つため加熱しても形が崩れにくく、焼いたり揚げたりしても内部が柔らかくなりつつ外側に焼き目が付く調理に向いています。製造では加熱や圧搾が繰り返され、塩水に漬けることでタンパク質構造が安定し、融点が高まるため、このような性質が生まれます。
Q7 : レンネットに含まれる、ミルクのカゼインを凝固させる主要酵素は何と呼ばれるでしょうか?
レンネット(天然は仔牛の胃粘膜由来、または微生物由来や遺伝子組換え由来の代替品)に含まれる主要な凝固酵素はキモシン(chymosin)です。キモシンはカゼインのうち特にκ-カゼインを選択的に切断し、ミセルの安定性を破壊して凝集させ、カード(凝固物)と乳清を分離させます。これがチーズ製造におけるタンパク質凝固の中心的なメカニズムであり、酸による凝固とは異なる質感と風味を生みます。
Q8 : エメンタールチーズの特徴的な大きな穴(アイ)は何が主な原因でしょうか?
エメンタールの穴はチーズ内部で発生するガスが原因で、特にプロピオン酸菌(学名ではプロピオニバクテリウム属、現在はPropionibacterium freudenreichiiなどと表記される)の代謝によって乳糖や乳酸が分解され、二酸化炭素が発生することで形成されます。これらのガスはチーズの弾性のある組織中に蓄積されて泡となり、熟成が進むにつれて大きな「目(アイ)」になります。適切な菌量や熟成条件が穴の大きさや数、風味に影響しますので、これがエメンタールらしい外観と香りを生む重要な要素です。
Q9 : ロックフォール(Roquefort)チーズは伝統的にどの動物の乳から作られると規定されているでしょうか?
ロックフォールはフランスのAOC/PDOによって保護された青カビチーズで、伝統的かつ規格上はラカーヌ種などの羊(シープ)の乳を原料とすることが定められています。さらに、熟成は南フランスのコンバルー(Combalou)洞窟で行うことが要求され、地域と原料牛種の組み合わせがこのチーズ固有の風味と保護された地理的表示を成立させています。従って牛乳や山羊乳での「ロックフォール」との呼称は原則的に認められていません。
Q10 : チェダーチーズ特有の製造工程で、チーズを切って積み重ね水分を抜く手法を何と呼ぶでしょうか?
チェダーチーズの伝統的な製造法において、カードや固まったカードを切り分け、切り口を合わせて積み重ねる作業を『チェダリング(cheddaring)』と言います。この工程は水分と乳清を効率的に抜き、チーズのテクスチャーを引き締め、独特の風味と歯ごたえを作り出します。チェダリング後にカードを細かく裁断して塩を加え、成形・熟成に移ります。この方法はチェダー固有の処理として知られています。
まとめ
いかがでしたか? 今回はチーズクイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はチーズクイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。