カブトガニは地球上最古の動物の一つであり、クモやサソリなどの鋏角類に分類される。その独特の姿とふるまいから、人々の興味を引き続けてきた生物だ。本クイズではカブトガニの分類、形態、生態、保護に関する基本的な知識を問う。ここに収録された10問を通して、この不思議な動物の魅力に迫っていこう。
Q1 : カブトガニの産卵が最も多く観察されるのはどのような時期・条件か?
カブトガニは砂浜の高潮位に達する時間帯、特に春から夏にかけての大潮時や満潮前後の夜間に集団で産卵することが多いです。多くの種で満月や新月の潮汐と関係が深く、雌は砂に巣穴を掘って多数の卵を産み、雄が近くで受精します。この一斉産卵は沿岸生態系に重要で、産卵卵塊は渡り鳥の重要な食料源にもなります。
Q2 : 観察時に雄と雌を見分ける際、一般的に正しい特徴はどれか?
カブトガニでは雌が一般に体格(甲幅)が雄より大きいことが多く、雄は交接時に雌にしがみつくため第1歩脚(前脚の一部)が抱握に適した形に変形しています。このため観察では体の大きさと前脚の形状を確認することで性別を推定できます。尾の形だけでは判別が難しく、色は個体差があるため信頼性が低いです。
Q3 : カブトガニの眼に関する説明で正しいものはどれか?
カブトガニは側方に複眼(複眼構造)を持ち、背面や前方にいくつかの単純眼(単眼、いわゆる背眼や前眼)を備えています。複眼は暗所での運動や配偶行動に関与し、単眼は光の強弱検知や昼夜のリズムに関与すると考えられています。さらに脚や尾にも光受容細胞があり、視覚は複合的に機能しています。
Q4 : 尾棘(テルソン、尾柄)の主な機能は何か?
カブトガニの尾棘(テルソン)は攻撃用の毒針ではなく、主に転覆した際に砂や地面に突いて体を起こすための支柱として使われます。尾は感覚的役割も多少持ちますが、毒はなく危害を加える目的ではありません。観察者が触れても刺されるような構造はないものの、強く握ると個体を傷める可能性があるため取り扱いは注意が必要です。
Q5 : 観察でしばしば見られる脱皮と再生に関する正しい記述はどれか?
カブトガニは成長に伴って脱皮(脱殻)を繰り返し、その過程で失った脚や触肢などを再生する能力を持っています。幼若期に頻繁に脱皮し成長しますが、成体でも年に一度程度の脱皮が見られる種があります。再生は段階的に進み、完全に元通りになるまでに複数回の脱皮が必要です。このため捕獲や外傷による欠損は回復可能な場合がありますが、個体の負担になるため無闇な干渉は避けるべきです。
Q6 : カブトガニの個体数減少や生息地保全に関する脅威として当てはまらないものはどれか?
カブトガニは天然下で無脅威というわけではなく、沿岸開発による生息地の喪失、漁業や釣り餌としての採集、さらに医療用に血液を採取すること(LALのための採血)による死亡やストレスが個体群に影響を与えています。近年は採血後の放流や代替試薬(リコンビナントFactor C等)の導入、採集規制や保護区設定といった対策が進められており、これらが保全にとって重要である点が指摘されています。
Q7 : カブトガニは分類学的にどの動物群に最も近縁とされるか?
カブトガニは甲殻類ではなく鋏角類(Chelicerata)に属すると考えられており、クモやサソリに近縁です。形態的には鋏角(chelicerae)や胸部の付属肢の配列、また化石記録や分子系統解析からもクモ形類との類縁性が示されています。甲殻類とは異なり触角を持たず、呼吸器や生殖様式などにも違いがあり、『カブトガニ=カニ』の直感は分類学的には誤りです。したがって最も近縁なのはクモ形類であると説明できます。
Q8 : 現生する(現在生きている)カブトガニの種数はおおよそいくつか?
カブトガニの現生種は世界で4種とされています。大西洋沿岸に分布するLimulus polyphemus(アメリカカブトガニ)と、アジアに分布するTachypleus tridentatus(コボウズカブトガニ等)、Tachypleus gigas、およびCarcinoscorpius rotundicaudaの計4種が広く認められています。化石種は多数ありますが、現存種はこの4種に限られ、地域ごとの保全状況や生態の研究が進められています。
Q9 : カブトガニの血液について正しい記述はどれか?
カブトガニの血液は酸化銅を含むヘモシアニンにより酸素を運搬するため酸素化すると青色を示します。さらに特徴的なのはアメボサイト(血球様の細胞)が持つ凝集反応で、細菌外膜のエンドトキシン(リポ多糖)を検出するためのLAL(Limulus Amebocyte Lysate)試験に用いられてきた点です。この性質は医療用医薬品の無菌性確認に重要ですが、採血による個体死や個体群影響が懸念されています。
Q10 : カブトガニの主な呼吸器官はどれか?
カブトガニは腹部に近い後体部(腹盾=尾側の部分)に多数の重なった板状構造、いわゆる葉状鰓(ブックギル)を持ち、これが主な呼吸器官として機能します。これらの鰓板は水中でのガス交換を行い、また一部は運動にも関与します。湿った状態であれば短時間は空気中でも呼吸可能ですが、長時間の乾燥は致命的となるため生息は沿岸域の湿潤な環境に限定されます。
まとめ
いかがでしたか? 今回はカブトガニ観察クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はカブトガニ観察クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。