手作りの伝統的な発酵食品づくりの基礎となる糀(こうじ)について、その製造工程や特徴、役割などを学べるクイズを集めました。糀は酒、味噌、醤油など日本の代表的な発酵食品に欠かせない重要な材料です。クイズを通して、糀づくりの科学的なメカニズムや、伝統的な技術の知見を深めていただければと思います。全10問、楽しみながら糀の世界を探検してみましょう。
Q1 : 糀づくりで、蒸した米(仕込み用の米)を適切に保つための目標水分含有率として最も適しているのはどれか?
糀用に蒸した米の目標水分はおおむね40〜45%程度が一般的です。この範囲だと米粒の内部は糊化していて麹菌の侵入が容易になり、表面はべたつきすぎず菌糸が伸びやすくなります。水分が低すぎると糸が伸びにくく成育不良になり、高すぎると団子状になって内部の通気が悪く、過熱や雑菌混入のリスクが高まります。実際の数値は品種や蒸し方で調整されます。
Q2 : 糀づくりで行う「切り返し(きりかえし)」の主な目的は何か?
切り返しの主目的は蒸米の塊をほぐして内部にこもった熱を逃がし、麹菌の菌糸と胞子の分布を均一にすることです。これにより部分的な過熱や局所的な乾燥を防ぎ、全体として安定した成育と酵素生成を促します。切り返しは適切なタイミングと力加減が重要で、やりすぎると物理的に米を傷めることもあるため注意が必要です。
Q3 : 糀菌が生産する代表的な酵素として正しいものはどれか?
糀菌(主にAspergillus oryzae)はα-アミラーゼ、グルコアミラーゼ(デンプン分解酵素)や各種プロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)などを豊富に生産します。これらの酵素が原料のデンプンやたんぱく質を小分子化して発酵微生物の栄養源とし、酒や味噌、醤油の風味形成や熟成に寄与します。一方で乳酸やエタノールを直接大量に作る菌ではありません。
Q4 : 清酒(日本酒)造りに伝統的に用いられる麹の種類はどれか?
清酒造りで使われる麹は主に黄麹(Aspergillus oryzae)です。黄麹は酒造りに適したデンプン分解酵素やプロテアーゼを供給し、酒母や醪での発酵を円滑にします。黒麹は主に黒麹を用いる焼酎等で使われ、白麹は白色化した変異株が焼酎や一部の発酵で使われることがありますが、清酒の標準的な麹は黄麹です。
Q5 : 糀づくりの初期培養で一般に望ましい温度レンジはどれか?
糀づくりにおける初期の培養温度は概ね30〜35℃程度が望ましいとされています。この温度帯は麹菌の生育と酵素生産のバランスが良く、短時間で菌糸が広がりやすいため麹の品質が安定します。温度が低すぎると成育が遅れ、雑菌のリスクが相対的に高まることがあり、逆に高すぎると過熱で菌が傷み酵素生産や胞子形成に悪影響を及ぼします。
Q6 : 糀室での湿度管理が重要な理由として最も適切なのはどれか?
湿度管理が重要なのは、蒸米の表面が乾燥してしまうと麹菌が定着・伸長しにくくなり、菌の成育が不均一になったり酵素生産が低下したりするためです。適度な湿度を保つことで米表面の水分が保持され、麹菌が均一に広がって白くふんわりとした良質な麹になります。湿度は雑菌抑制や温度管理と合わせて総合的に管理されますが、「乾かさないこと」が大切です。
Q7 : 良質な米糀の外観や嗅覚的な特徴として正しいものはどれか?
良質な糀は米粒一つ一つが菌糸で均一に覆われて白っぽく見え、全体にふんわりとした状態で、鼻を近づけると甘く芳醇な麹臭(麹の香り)が感じられます。べたつきや過湿は不良で、黒ずみは異常や汚染を示すことが多いです。酸っぱい強い匂いは雑発酵の兆候であり望ましくありません。適度にパサつきがあり、指でほぐれる程度が良好なサインです。}
Q8 : 糀づくりで一般に麹菌として用いられている種はどれか?
正解はAspergillus oryzae(黄麹菌)です。黄麹菌は日本の伝統的発酵食品(酒、味噌、醤油など)の製造で長年使われてきた優良な麹菌で、デンプン分解酵素(アミラーゼ)やたんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)を豊富に作ります。品種改良と長期の利用により安全性が確認されており、食品用麹として広く定着しています。黒麹や白麹は別の用途(焼酎など)で用いられることが多く、酵母や乳酸菌とは役割が異なります。
Q9 : 糀(こうじ)が発酵食品製造で主に担っている役割は何か?
糀の主要な役割はデンプンやたんぱく質を分解する各種酵素を供給することです。麹菌はα-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プロテアーゼなどを生産して、原料の米や大豆などのデンプンを糖に、たんぱく質をアミノ酸やペプチドに分解します。これにより酵母や乳酸菌などが利用できる基質が生成され、酒や味噌、醤油などの二次発酵・熟成が進行します。糀自体がpHを下げたり大量の酵母を増やす主因ではありません。
Q10 : 一般的な家庭や蔵での米の糀づくりはおおむね何時間程度で完成することが多いか?
糀づくりは通常およそ40〜48時間程度で完成する工程が多いです。蒸した米に麹菌を種付けしてから前半は温度を管理しつつ菌糸が広がるのを待ち、途中で何度か切り返し(ほぐし)を行いながらさらに成育させます。環境や菌株、目的(酵素量や香気の違い)によって短縮や延長はありますが、多くの蔵や手作りの指導では丸一日半〜二日程度が目安とされています。
まとめ
いかがでしたか? 今回は糀づくりクイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は糀づくりクイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。