真空管アンプ自作に挑戦する皆さんへ。この記事では、真空管アンプの設計や回路の基礎知識を問う10問のクイズをご紹介します。真空管アンプの原理や特性、重要な部品の役割など、自作を目指す上で押さえておきたい基本事項が盛り込まれています。真空管アンプの魅力と奥深さを再発見できる、興味深いクイズばかりです。自作の参考にしていただくとともに、自分の知識を確認する良い機会になればと思います。是非チャレンジしてみてください。
Q1 : カップリングコンデンサの容量が小さすぎると真空管アンプでどんな問題が起こるか?
カップリングコンデンサは直流を遮断して各段間や出力負荷に交流を伝える役割を持ちますが、容量が小さいと入力回路や次段のグリッド抵抗とで高域通過ではなく低域側のハイパス特性となり、低周波の信号が減衰します。カットオフ周波数は1/(2πRC)で決まるため、低域再生のためには十分な容量を選ぶ必要があります。高域減衰やプレート損失の直接増加ではありません。
Q2 : 出力管の定格プレート損失(Pd)を長時間超過した場合、一般に最も起こりやすい故障はどれか?
定格プレート損失を超えて長時間動作させるとプレートは過熱し、黒化や溶着、内部構造の変形、真空破壊や放電などの損傷が発生します。結果として増幅特性の劣化や完全な故障に至りやすく、真空管寿命が著しく短くなります。ヒーター断線や電源電圧低下、スピーカー破損は間接的影響として起こり得ますが、最も直接的なのはプレートの焼損です。
Q3 : 増幅回路にネガティブフィードバック(NFB)をかけたとき、一般的に期待できる効果はどれか?
ネガティブフィードバックは出力の一部を逆位相で入力側に戻すことで、回路全体の線形性を改善し歪みを低減します。また周波数特性がフラットになり、出力インピーダンスが低下して負荷特性が改善されます。一方で無条件に利得が増えるわけではなく、外部で取り出す利得は減少することが多い点に注意が必要です。その他の選択肢は直接的な効果ではありません。
Q4 : 真空管アンプで、真空管のプレート(アノード)とスピーカーを効率よく結合してインピーダンス変換を行う部品はどれか?
出力トランスは真空管の高インピーダンス出力を低インピーダンスのスピーカーに適合させるための不可欠な部品です。巻数比により電圧比とインピーダンス比を変換し、エネルギーを効率よく伝達します。単なる結合コンデンサでは直流隔離はできても大きなインピーダンス変換はできず、チョークや可変抵抗もスピーカー負荷とのマッチングを行う役割は果たせません。出力トランスの特性(飽和、巻線の寄生、周波数特性)は音質に影響するため設計・選定が重要です。
Q5 : 真空管のバイアス方式として、カソードに抵抗を入れて自己バイアスを発生させる方式を何というか?
自己(カソード)バイアスはカソードに抵抗を挿入し、プレート電流によりカソード電位が上がることでグリッドとの相対電圧が負になりバイアスを形成する方式です。調整が簡単で過電流保護特性を持ちますが、カソード抵抗の電圧降下によりゲインやバイアス点が変動するため直流結合や段間結合時に注意が必要です。固定バイアスと比較して部品点数は少ないが、動作点の精度や温度安定性の面で差があります。
Q6 : 長テール対(Long-Tail Pair)位相反転回路の代表的な利点はどれか?
長テール対は対称性の高い位相反転回路で、プッシュプル段に対して二つの出力が位相反転かつ振幅がよく揃う利点があります。長い定電流源(長テール)により共通モード変動が抑えられ、位相誤差やアンバランスが小さくなります。結果として歪みやバランスの悪化が減り、プッシュプル動作での出力信号対称性が向上します。他の選択肢は主目的ではありません。
Q7 : バイアスが浅い状態(真空管がグリッドに対して正に振れやすい)で生じやすい問題はどれか?
バイアスが浅いと入力信号の正方向でグリッドが零ボルトまたは正方向に振れてグリッド電流が流れ、プレート電流が急増して信号がクリップします。特にプッシュプルや単段で正側が切れると上下非対称のクリッピングとなり奇数次高調波が増え、音質劣化や過大電力による過熱を招くことがあります。適切なバイアス調整でクリッピングを防ぐ必要があります。
Q8 : 真空管のヒーター(フィラメント)を給電する際に注意するべき点で正しいものはどれか?
ヒーターとカソード/B+の間には一定の電位差があり、ヒーターをB+やその他高電圧に直接接続するとヒーターからカソード経由でハムや漏れ電流、最悪は破壊や感電リスクが発生します。多くの設計ではヒーター回路を絶縁(浮かせる)か、センタータップやバイアスで適切に参照することでハム低減や安全性を確保します。DCヒーター供給は有効ですが必須ではありません。
Q9 : グリッドストッパー抵抗の主な目的はどれか?
グリッドストッパー抵抗はグリッドと前段や信号配線との間に直列に挿入し、配線や管内の寄生容量と合わせて高域での発振を抑える目的で使われます。高周波成分をダンプし、局所的な共振を防ぐため数百オーム〜数kΩ程度が一般的です。バイアス作成や出力インピーダンス低下、スピーカー保護が主目的ではありません。
Q10 : トランスの巻数比とインピーダンス比の関係で正しい記述はどれか?
理論的にトランスの巻数比(Np:Ns)が与えられると、その電圧比は巻数比に等しく、インピーダンス比はその巻数比の二乗に比例します。すなわちZp/Zs=(Np/Ns)^2です。真空管アンプで適切な負荷インピーダンスを得るために巻数比を設計し、結果として二乗でインピーダンス変換が行われることを理解することが重要です。
まとめ
いかがでしたか? 今回は真空管アンプ自作クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は真空管アンプ自作クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。