ハンググライディング競技は、軽量な滑空機を使って空中を自由に飛翔する極めてスリリングなスポーツです。機体のクラス分類や競技方式、装備基準など、その世界には多くの専門用語や知識が存在します。本記事では、国際航空連盟(FAI)が定めるルールに基づいて行われるハンググライディング競技に関する10の基礎的なクイズをご紹介します。フレキシブルウイングの伝統的なタイプから最新のリジッド翼まで、機体構造や得点計算方式、安全管理体制など、この競技ジャンルの特徴をご理解いただけるはずです。ハンググライディング愛好家はもちろん、空中スポーツに興味をお持ちの読者の方々にもお楽しみいただければ幸いです。
Q1 : FAIが運営し世界中の競技成績をポイント化するハンググライディング国際ランキングシステムの正式名称はどれか? FAI Pilot Ranking Database CIVL World Pilot Ranking System(WPRS) International Glide Index HG Comp Ladder
CIVL World Pilot Ranking SystemはFAIのハンググライディング委員会が運営するオンラインランキングで、世界中のFAI公認大会のリザルトをスコアリングしてパイロットの最新ポイントを算出する。大会のカテゴリーと難易度に応じて係数が設定され、過去12か月間の上位4戦の平均点がランキングに反映される。これにより国ごとの実力を比較したり、世界選手権の国枠を決めたりする際の客観的指標として利用される。データは毎週自動更新され、誰でも閲覧可能。
Q2 : ハンググライディングのクロスカントリー競技で、全員が同時刻にスタートしゴールまでの到達時間を競う代表的なタスク形式はどれか? エラプストタイム・トゥ・ゴール レース・トゥ・ゴール 三角コースディスタンス アウトアンドリターンスピード
レース・トゥ・ゴールはクロスカントリー競技で最もポピュラーなタスク形式で、同時刻のゲートを全員が通過してからゴールラインまでの所要時間を競う。順位は総飛行時間の短い順に決まり、速度点が大きく加算されるため、スタートタイミングとルート選択の両方で駆け引きが生まれる。個別スタートを許すエラプストタイム形式と比較すると集団での空域密集が起きやすく、セーフティコミッティーによる気象観測や空域分割が重要になる。
Q3 : FAI公認大会で一般的に採用されるGPSターンポイントの許容円柱半径として最も標準的な値はどれか? 200メートル 1000メートル 400メートル 10メートル
GPSによるターンポイント認証では、主催者が設定した座標を中心とする円筒もしくは円柱空域に進入すれば通過とみなされる。多くのFAIカテゴリー1大会では半径400メートルの円柱が標準として採用されており、パイロットはその内部をわずかにかすめるラインで最短距離を取るか、安全余裕を持って深く入り確実にログを残すかを選択する。半径が小さすぎると群集密度が高まり衝突リスクが増すため、この値が妥協点とされている。
Q4 : 競技用ハーネスのうち、下半身を流線形のカバー内に収めて空気抵抗を減らすタイプは何と呼ばれるか? スープスタイルハーネス シットハーネス コクーンハーネス ポッドハーネス
ポッドハーネスは下半身をすっぽりとファブリック製のポッド内に収納し、足首から背中までを流線形に一体化することで空気抵抗係数を大幅に下げる競技専用のハーネスである。ランチャブルな地面滑走を必要としないフットランチ型でも採用され、クロスカントリータスクで数キロ毎時の巡航速度向上が報告されている。折り畳み構造や緊急用パラシュート収納部も工夫されており、着陸時には素早く片足を出して走り抜ける技術が要求される。
Q5 : ハンググライディング競技で世界的に採用されている得点計算方式の名称はどれか? GAP PWC FAI50 XContest
GAPはハンググライディングおよびパラグライディング競技のために開発された得点計算アルゴリズムで、Germain、Aussie、Polishの頭文字を合わせた名称である。距離点、速度点、リーディング点、アライバル点という複数要素を百分率配分し、当日の気象やタスク難易度に応じて自動でウェイトが変化するのが特徴で、現在のFAIカテゴリー1世界選手権は全てGAPの最新版を使用している。パイロットは結果を即座に確認でき、シリーズ戦の公平性が高い。
Q6 : 公式競技でフライトログを提出する際に必須とされる装置として正しいものはどれか? スマートフォン内蔵GPS FAI認定GNSSフライトレコーダー 腕時計型バリオメーター テイクオフタイムカード
近年はスマートフォンでもGPSログを取得できるが、公式競技では不正防止と精度確保のため、FAIが認定したGNSSフライトレコーダーの使用が義務付けられる。これらの機器はバーグラフや気圧高度計を内蔵し、暗号化されたIGCファイルとして飛行軌跡を記録する。競技委員は専用ソフトでデータを検証し、スタートゲートやターンポイントの通過、最大高度制限違反などを自動判定できる。記録改ざんを検知する署名キーが実装されているため、公正性が担保される。
Q7 : 大規模ハンググライディング大会でタスクの安全性を監視し、必要に応じてキャンセルを提言できる組織はどれか? メテオロジーチーム ジャッジパネル セーフティコミッティー プレスチーム
セーフティコミッティーは大会ごとに選手代表と運営側が協力して構成され、タスク設定前の気象分析、空域混雑度、安全装備の確認などを担当する。メンバーは経験豊富なパイロットが選ばれ、ローター発生の恐れや雷雲接近が指摘されればタスク縮小やキャンセルを提案できる権限を持つ。事故発生時には報告ルートを統括し、レスキューや医療チームとの連絡窓口になるため、競技の成否を左右する重要ポジションとされている。
Q8 : 選手のフライングスタートを防ぐため、規定時刻前に越えてはならない仮想ラインとして設定されるものはどれか? スタートシリンダー エンドオブスピードセクション デッドエアゾーン スタートゲート
スタートゲートは地面ではなく指定高度を持つ仮想の垂直平面または円筒で、選手がこのラインを通過した時刻が公式スタートタイムとなる。全員がゲートを越えるまで競技時間が始まらないため、早発を防ぎつつ集団の安全間隔を確保できる。タスクディレクターは風向やサーマル形成を見極めて複数のゲート時刻を設定し、パイロットは自らの高度やポジションを調整して最適なゲート通過を狙う。ゲートを早過ぎて切るとペナルティ、遅すぎれば速度点で不利となる。
Q9 : ハンググライディング競技で使用するヘルメットに求められる欧州安全規格はどれか? EN966 EN1077 DOT Snell M2015
EN966は欧州規格委員会が制定した飛行スポーツ用ヘルメットの安全基準で、ハンググライダーやパラグライダー、ウルトラライト機などのヘッドプロテクションが対象になる。衝撃吸収テスト、貫通テスト、視野角、保持ストラップの強度試験が含まれ、合格品には規格番号と製造年が表示される。競技規則では頭部保護を義務化しており、EN966もしくは同等以上のASTM、Snellなどの認証を持たないヘルメットはテイクオフ前審査で排除される。
Q10 : 国際航空連盟(FAI)が定めるハンググライディング競技の機体分類で、もっとも多くのパイロットが参加するフレキシブルウイングのクラスはどれか? クラス1 クラス2 クラス5 クラス0
FAIのハンググライディング競技は機体構造でクラスが分かれており、もっとも標準的なフレキシブル翼のハンググライダーはクラス1に分類される。クラス1は曲げやねじれで操縦桿を用いずに重量移動と翼の柔軟性のみで方向制御を行う伝統的なタイプで、世界選手権や国内大会の参加者の大半を占める。クラス2や5はリジッド翼で部品が追加され性能が高いが費用や取り扱いの面で普及率が低い。さらに、クラス1は翼端に補助舵やカーボンフレームの硬質構造を持たないため折り畳みが容易で車載輸送もしやすいという利点があり、競技以外のレジャーフライトでも最初に触れるモデルとして位置付けられている。
まとめ
いかがでしたか? 今回はハンググライディング競技クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はハンググライディング競技クイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。