パラグライダーのクロスカントリー飛行では、様々な気象条件や機体の特性を最大限に活かすテクニックが必要不可欠です。本記事では、そのノウハウを問うクイズを10問ご用意しました。飛行中に重要な計器の役割や、安全対策、競技ルールなど、クロスカントリーを楽しむためのポイントを掘り下げていきます。パラグライダーを愛するみなさまの飛行技術向上に少しでもお役立てれば幸いです。
Q1 : パラグライダーでビッグイヤー降下を行う主目的はどれか
ビッグイヤーは両側Aラインを引き込んで翼端を折りたたみ、翼面積を減らして揚力を低下させる降下技法である。これにより沈下率が増加し、サーマルの強い浮きや雲底接近、高圧空域手前などで高度を急速に処理できる。進行方向を変える操舵ではなく、翼面荷重を増やして沈下を大きくする方法であるため目的は短時間で高度を下げることにある。サーマル探索には不向きである。
Q2 : XC飛行の安全装備として国際的に推奨される無線機の帯域はどれか
パラグライダーを含む航空スポーツでは、山岳地帯でも比較的到達距離が長い144MHz帯(アマチュア無線2mバンド)が多く使われる。多くの国で簡易免許で運用でき、障害物の多い地形でも反射により通信が確保しやすい。2.4GHzは見通し距離が短く、121.5kHzは遭難ビーコン用、406MHzは衛星ビーコン専用で音声通話向きではない。したがってXCパイロットの安全通信は144MHz帯が標準である。
Q3 : コンペティション用ハイエンドグライダーに多く採用されるライン構成で、空気抵抗低減と調整簡易化を両立する方式はどれか
近年のハイパフォーマンス機では2ライン構成が主流となりつつある。AとBの2段だけでキャノピーを支えることで全体のライン本数が大幅に減少し、空気抵抗が低下、最大グライド比や巡航速度が向上する。加えてラインチェックポイントが少なくなるためグラウンドハンドリングや事前点検も簡易になる。3ラインや4ラインは安定性重視の中級機に多く、5ラインは旧世代の構成である。
Q4 : クロスカントリー中に平均対地速度を最大化するためのスピード・トゥ・フライ調整で最も重要な計器はどれか
バリオメーターは上昇率や沈下率を即時にパイロットへ知らせる計器で、マックレディ理論に基づくスピード・トゥ・フライ調整には不可欠である。気流が強い上昇を示した瞬間にアクセルを緩め、沈下が大きい時は加速する判断を下せるため、平均対地速度の最適化に直接寄与する。他の計器も重要だが、リアルタイムの気柱情報を与えるのはバリオだけであり、クロスカントリー飛行の成果を大きく左右する。
Q5 : FAIが定義する正式なFAIトライアングルとして認められるために、最短レグが全体距離の最低何%以上でなければならないか
FAIトライアングルは三角形の各辺がバランスよく配置されていることが前提条件で、最短レグは全体距離の28%以上と規定されている。これにより三角形の形が極端に崩れるのを防ぎ、同一条件下で距離記録や得点を比較しやすくしている。20%という数字は古い規定や他競技で見られるが、現在のFAIパラグライディング記録やオンラインコンテストの基準は28%で統一されているため注意が必要である。
Q6 : アクセル全開中にフロントコラップスが発生した場合、安全確保のために最初に取るべき操作はどれか
アクセル使用中にフロントコラップスが起こった場合、キャノピーが前に落ち込んでいる状態でさらに迎え角を下げると失速回復が遅れるため、まずアクセルバーを解放して迎え角を戻すことが最優先となる。その後必要に応じて軽いブレーキングやポンプ操作で回復を助けるのが定石である。いきなり強いブレーキを入れると失速を招き、Bストールやレスキューの使用は最後の手段として取っておくべき行動である。
Q7 : クロスカントリーで長距離を狙う際、ファイナルグライド計算に最も大きく影響する気象要素はどれか
ファイナルグライドとは最後のサーマルを離脱してゴールまでグライドする区間で、必要高度計算にはグライダーの滑空比と対地風が大きく関わる。特に向かい風では余分な高度が必要になり、追い風なら高度余裕が小さくて済むため、風速と向きの正確な把握が成否を分ける。日射量はサーマル強度の目安になるがファイナル中は使わない。湿度も影響は軽微であるため、最も重視すべきは風速と向きである。
Q8 : サーマルセンタリングでバンク角を維持しつつ旋回半径を小さくしたいとき、最も効果的な操作はどれか
サーマル内では上昇コアを外さないために小さな旋回半径が求められる。内側ブレークを軽く深く引くことで迎え角を増やし、失速しない範囲でバンク角を維持しながら半径を縮められる。外側ブレークを引くと迎え角が増えすぎて滑空効率が落ち、外側への重量移動は旋回を開かせてしまう。アクセルは沈下を増やすため不向きである。したがって内側ブレークを調整するのが最適である。
Q9 : 競技XCで用いられるGAP得点方式において、リードアウトポイント (Leading points) が加算される主な理由は何か
GAP方式は到達距離、到着時間、リードアウト、到着時刻等を総合して得点化する。リードアウトポイントはタスク前半で先頭グループを牽引したパイロットが大気の不確実性やデシジョンミスのリスクを負う事実を評価し、後方追随者とのバランスを取るために設けられている。単にゴール順だけではなく、リードした価値を数値化することで競技戦略が多様化し、レース性と安全性の両立を図っている。
Q10 : XC飛行で谷風や斜面風を利用する場合、最も典型的に期待できる時間帯はいつか
谷風や斜面風は日中に斜面が暖められることで上昇気流が発生し、午後にピークを迎えるのが一般的である。特に15時前後は山の加熱が最大となり、山頂から谷底へ上昇成分が強く流れ、サーマルと併せて長距離飛行の柱となる。午前中は発達が遅く、日の出直後や日没後は逆転層によって風が弱まり利用価値が下がるため、午後の時間帯がもっとも効果を発揮する。
まとめ
いかがでしたか? 今回はパラグライディングクロスカントリークイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はパラグライディングクロスカントリークイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。