エアレースは、高性能な小型プロペラ機が低高度を爆走する究極の空中競技です。1層の空気充填式パイロンをくぐり抜けながら、目まぐるしい機動と鮮烈な加速を繰り出すその様は、まさに「空中のF1」と呼ぶにふさわしい迫力と緊張感に満ちています。本記事では、そんなエアレースの魅力に迫る10問のクイズを用意しました。エアレースの歴史や安全性、使用機材など、さまざまな角度からファンの知識を深めていただければと思います。エアレースの魅力を存分に味わっていただけることを期待しています。
Q1 : レッドブル・エアレース最後の開催年となった2019年シーズンで年間総合優勝を果たしたパイロットは誰か?
2019年はシリーズ短縮と経営見直しにより全4戦のみだったが、豪州出身のマット・ホールが安定したポイント獲得で悲願の初タイトルを手にした。ブダペスト、カザン、レイクバラトンの3戦で2位・3位・1位と着実に得点し逆転王者に輝いている。ドイツのマティアス・ドルダラーは2016年王者、カナダのピート・マクラウドと米国のマイケル・グーリアンはいずれもシーズン1勝にとどまり総合では及ばなかった。
Q2 : 2010年代のマスタークラスで過半数のパイロットが採用し、クイックロール性能とメンテナンス性を武器にした機体はどれか?
Zivko Edge 540は複合材主体の軽量構造と高いロールレートを兼ね備え、マスタークラスで最も支持された機体である。室屋義秀やマティアス・ドルダラー、マイケル・グーリアンらがV2やV3型を使用し、翼端やカナードの微調整で高速域のピッチ特性を最適化するのが定番となった。Extra 330SCは主翼厚があり抵抗が増え、MX2やMXS-Rは軽量だが燃料系統容量が小さく長距離フェリーに不向きなどの課題があったため、総合力でEdge 540が主流となった。
Q3 : レッドブル・エアレースでパイロットが0.6秒以上かけて超えてはならない持続Gの上限値は何Gか?
レース中に10Gを0.6秒以上連続して掛けると即座にレッドラインオーバーと判定され、当該フライトはDNF扱いとなる。人間の許容限界と機体構造負荷の双方を考慮した値で、瞬間的に10Gを超える程度なら警告で済む場合もある。9Gは従来の曲技飛行基準、11Gや12Gはブラックアウトや機体破損の危険が急増するためレースでは禁止。上限を厳格化することで安全性と競技性の両立が図られている。
Q4 : リノ・エアレースが毎年開催される会場は、ネバダ州のどの空港か?
1964年以来続くリノ・ナショナルチャンピオンシップエアレースは、市街地から北へ約15kmに位置するリノ・ステッド空港で行われる。山に囲まれた高地砂漠で視界が良好で、楕円形のオーバルコースを設置しやすい広大な敷地が特徴である。ターミナル機能のあるリノ・タホ国際空港は商用便優先でレースには適さず、カーソンシティやフォールン基地は航空管制や騒音面でハードルが高い。退役軍用滑走路を転用したステッド空港は観客席や整備ピットを設ける余裕があるため長年メイン会場となっている。
Q5 : レッドブル・エアレースのエアゲート(パイロン)に使用され、機体が触れても安全に裂けるよう設計された布素材は何か?
エアゲートの醍醐味は接触しても翼やプロペラが損傷しにくく、破片が瞬時に裂けて衝撃を吸収する点にある。この特性を実現するのが厚さ0.1mm前後のスピネーカー用ポリエステル布で、ヨットの軽風用セイルとほぼ同じ素材だ。ケブラーは強靭すぎて切れず危険、マイラーは破断面が鋭利となりやすく運営側が採用を見送った。ダクロンは重量が嵩み設営・交換に時間がかかる。ポリエステル布なら軽量で柔軟、交換も数分で済み、年間何百回もの設置作業にも耐えるコストパフォーマンスが評価されている。
Q6 : レッドブル・エアレースの第1シーズンが開催された年はどれか?
2003年はレッドブル・エアレースが正式な世界選手権としてスタートした年で、ロンドン・ドックランズとズルテの2戦が行われた。2001年はエアショー的なデモ飛行のみ、2005年はすでに第3シーズン、2007年は第5シーズンに相当する。初年度は2003年であり、この年から空気充填式エアゲートなど現在に通じる安全概念が導入され、後の世界選手権拡大の礎となった。
Q7 : レッドブル・エアレースで使用されるエアゲート(パイロン)の高さはおよそ何メートルに設定されているか?
エアゲートは空気で膨らませた2本の円錐形パイロンで構成され、高さは約25メートルに統一されている。これは旅客機の翼端高さより低く、パイロットがハイG旋回直後でも目測しやすい絶妙な高さとされる。15mや20mでは機体が容易に超えてしまい緊張感が薄れ、30m以上では風による揺れが増すため安全性が損なわれる。25mという設定はテスト飛行と風洞実験の結果導き出されたバランスの良い数値である。
Q8 : レッドブル・エアレースで日本人として初めて決勝レース優勝を果たしたパイロットは誰か?
2016年千葉大会で優勝し、日本人初の決勝勝利という快挙を成し遂げたのは福島県出身の室屋義秀である。彼は長年アジア唯一のマスタークラス常連として活動し、地元開催の強いプレッシャーの中でトップタイムを記録した。他の選択肢のナイジェル・ラムは2014年王者、カービー・チャンブリスは2004・2006年王者、マット・ホールは2019年王者で、それぞれ国籍も異なる。したがって正解は室屋義秀となる。
Q9 : リノ・ナショナルチャンピオンシップエアレースで、改造P-51ムスタングやシーフューリーが時速800km近くで競うクラスはどれか?
リノのUnlimited Classは第二次大戦期の大型レシプロ戦闘機を大幅に改造し、過給圧増強や冷却系改良で3,000馬力以上を発揮させて秒単位の勝負を繰り広げる看板カテゴリーである。Sport Classはキット機中心、T-6は練習機限定、Formula Oneは小排気量単座機で、最高速度も400〜600km/hと控えめ。最高速と観客動員の象徴はUnlimitedであり、ムスタング同士の接戦が毎年注目を集める。
Q10 : レッドブル・エアレースで機体がエアゲートに接触すると科せられるタイムペナルティは何秒か?
エアゲートに触れて布を破いた場合、現行ルールでは3秒のタイム加算が行われる。これはわずかな接触で安全性が担保されているため、重大な失格とせず順位変動の要素として扱われるためである。1秒では罰則として軽すぎ、5秒や10秒では高速競技の性質上勝負がほぼ決してしまう。2009年以前は2秒だったが安全基準強化に合わせ3秒へ改定された。パイロットはペナルティ発生をLEDで把握し、残り区間の戦略を即座に組み替える必要がある。
まとめ
いかがでしたか? 今回はエアレースクイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はエアレースクイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。