フェンシングの歴史と魅力がつまった10の質問をご紹介します。サーブルの斬撃が認められる理由、エペの特徴的な得点方式、フェンシング連盟の拠点など、競技ルールの背景にある興味深い事実が満載。フェンシングの奥深さを堪能できるでしょう。クイズに挑戦して、この洗練された競技の真髄に迫ってみてください。
Q1 : 国際大会で主審が『プレ、アレ!』と掛け声をかけますが、この『アレ(Allez)』が示す意味として最も適切なのはどれ? 攻撃を開始せよ 試合を中断せよ 装備を確認せよ 得点を申告せよ
主審は試合開始時に『アンガルド(構え)』『プレ(用意)』『アレ(進め)』の順にフランス語で号令をかける。アレは直訳すると行け・進めを意味し、実際には攻撃の開始を許可する合図である。号令が出る前に動くとフライングで警告を受ける場合がある。アレ後は時計が動き両選手は自由に攻防を展開できるため、試合の実質的なスタートを示す重要なコマンドとなっている。フェンシング用語の多くがフランス語由来なのは、近代競技が19世紀後半のパリで体系化されたためである。
Q2 : サーブルの有効面に含まれるのはどの部位までか? 腰から下のみ 胸より下のみ 剣先が触れた全身 上半身(腰から上)およびマスク・両腕・手
サーブルの有効面は腰のベルトラインより上、すなわち頭部、両腕、手首、胴体の前後を含む。騎兵戦で馬上の相手を切る想定から脚は対象外となっており、誤って脚に当てても無効の白ランプが点く。従来ベルトラインを越えて下に突き出す攻撃は危険なため意図的に除外されたとされる。マスクやグローブにも導電性ジャケットが取り付けられており、これらを通電させて判定している。大会ではライン違反を避けるため電気ジャケットを腰を境に二色で縫い分けるなど視覚的な工夫も行われている。
Q3 : フェンシング3種目のうち、斬撃(切る動作)による得点が認められている唯一の種目はどれ? サーブル フルーレ エペ どの種目でも切撃は認められない
サーブルは、3種目の中で唯一、有効面が上半身全体であり、さらに切る動作、すなわち刀身の側面や背で相手に触れても有効となる点が最大の特徴である。フルーレとエペは突きのみが得点手段で、スラッシュでは機械が反応しない。歴史的には騎兵の軍刀術が起源で、馬上でも素早く相手を切り払う必要があったことがルールに反映されている。したがって斬撃が得点になるのはサーブルだけである。
Q4 : 優先権(ライト・オブ・ウェイ)の判定が適用されるのはどの種目? エペのみ フルーレとサーブル フルーレとエペ 全種目に適用される
優先権は、両者がほぼ同時に突きをヒットさせたとき、攻撃を先に組み立てた選手に得点を与えるための審判上の概念である。フルーレとサーブルではこの概念が導入されており、同時点灯でもどちらか一方しか得点できない。一方エペは右左どちらでも先に突けばよい競技で、0.04秒以内に同着した場合は両者得点となる。したがって優先権が適用されるのはフルーレとサーブルの2種目である。
Q5 : 国際フェンシング連盟(FIE)の本部所在地はどこ? パリ(フランス) ローマ(イタリア) ローザンヌ(スイス) ブダペスト(ハンガリー)
FIEはフランス語でFédération Internationale d'Escrimeと表記され、国際オリンピック委員会と同様にスイスのスポーツ都市ローザンヌに本部を置く。1921年に創設されて以来、ルール改訂や世界ランキング管理など国際フェンシング競技の統括を担っている。かつてはパリに事務局があったが、1997年に多くの国際競技連盟が集まるローザンヌへ正式移転した。よって本部所在地として正しいのはスイス・ローザンヌである。
Q6 : 国際大会で使用されるフェンシングのピスト(試合場)の規格として正しいものはどれ? 長さ10m・幅1m 長さ12m・幅1.5m 長さ14m・幅2mで終端に落下溝なし 長さ14mの有効エリアに加え両端各1.5mの安全地帯を合わせた全長18m、幅1.5〜2m
FIEルールではピストの有効長は14メートル、幅は1.5〜2メートルと定められている。さらに選手が勢い余って出ても安全に減速できるよう、両端に最低1.5メートルずつの安全地帯(リザーブゾーン)が必要で、実際の設置全長は18メートル以上となる。ピスト外に出ると相手に1点または距離を戻すなどのペナルティが科されるため、この余裕スペースの確保は競技運営に不可欠である。よって選択肢4の規格が正解となる。
Q7 : 日本フェンシング史上初のオリンピック金メダルをもたらした種目は? 東京2020男子エペ団体 リオ2016女子フルーレ個人 ロンドン2012男子フルーレ団体 アテネ2004女子サーブル個人
日本フェンシング界が悲願の金メダルを手にしたのは2021年に開催された東京2020オリンピックの男子エペ団体である。山田優、加納虹輝、見延和靖、宇山賢がフランスやROCを破って頂点に立ち、アジア勢としても史上初の快挙となった。これ以前、日本は2008年北京の太田雄貴、2012年ロンドンの男子フルーレ団体などで銀メダルを獲得していたが、金には届かなかった。したがって初の金は男子エペ団体である。
Q8 : 審判がピスト正面から見たとき、記録機器の赤ランプが点灯する側に立っているのは通常どちらの選手? 審判の右側の選手 審判の左側の選手 センターに位置する選手 色は選手が自由に選べるため定まっていない
電気審判機には赤と緑のランプがあり、赤は審判席から見て左側の選手、緑は右側の選手に割り当てられる。これは国際大会でも一貫しており、配線やスコアボードの表示も同様に対応しているため、審判は素早く左右を判別でき観客も視認しやすい。選手はピスト中央で握手をし、自陣に戻る際に必ず赤=左、緑=右になるよう配置を確認する。従って赤ランプが点くのは審判の左に立つ選手である。
Q9 : 個人戦のダイレクトエリミネーション方式の試合で、勝利するために必要なタッチ数は? 5本 10本 15本 30本(ラリー制)
個人戦の本戦にあたるダイレクトエリミネーションは3分×3ピリオド、またはどちらかが15タッチに到達した時点で終了するノックアウト方式で実施される。15本制は1960年代に導入され、体力面と攻防の妙をバランスさせる基準として定着した。予選プールでは5本先取だが、本戦では15本先取のため戦略も時間配分も大きく変わる。この15本の中間で9点を先取した選手には1分間の休憩が与えられるなど、試合運びの参考になるルールも盛り込まれている。
Q10 : フルーレで有効面に含まれない部位はどれ? 背中 腹部 胸部 腕と手
フルーレは突剣競技であり、有効面は胴着で覆われるトルソー部分、すなわち胸・腹・背中および肩甲骨付近までに限定される。頭部、首、両腕、手、脚は無効面で、そこにヒットすると審判機は白ランプで無効を示す。これは実戦で急所となる心肺部だけを狙う伝統的ルールに由来する。したがって選択肢の中で唯一有効面に含まれない「腕と手」が正しい答えである。
まとめ
いかがでしたか? 今回はフェンシングクイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回はフェンシングクイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。